国土交通省
 運輸審議会答申書(運審第12号)
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 主  文
  京都市の申請に係る京都府宇治市六地蔵奈良町(六地蔵)から京都府京都市伏見区醍醐高畑町(醍醐)までの間(2.4キロメートル)における第一種鉄道事業の経営については、免許することが適当である。

 理  由

1.  京都市東西線(醍醐・二条間 12.7キロメートル)は、京都市東部地域と京都市都心部とを結ぶ路線として平成9年10月12日に開業したところであるが、同線の起点である醍醐からその南部に位置する宇治市六地蔵に至る地域は、既に市街化された地域であるうえ、さらに近年、住宅開発等が進み、周辺人口の増加の著しい地域であり、幹線道路等において慢性的な道路混雑を生じている状況にある。
 そこで、申請者は、既設東西線を醍醐から六地蔵まで延伸することにより増大する旅客需要に対処し、当該沿線地域と京都市都心部を結ぶとともに、JR奈良線、京阪宇治線との六地蔵での結節を図り、大阪、奈良方面をも含む利便性の高い鉄道ネットワークを形成しようとして、本申請に及んだものである。
  
2.  当審議会に提出された資料その他によって検討した結果は、次のとおりである。
  
(1)  申請路線は、運輸政策審議会の平成元年5月の答申において建設することが適当とされている路線であり、当該路線の開設により、近年、住宅開発等が進んでいる沿線地域と京都市都心部を結ぶとともに、JR奈良線、京阪宇治線等と結節する鉄道ネットワークを形成することにより、当該地城の旅客流動に対応し、かつ、利便性の高い鉄道輸送を可能とするものであり、当該事業の開始は、輸送需要に対し適切なものであると認められる。
  
(2)  申請路線に係る輸送需給については、平成16年10月に予定されている開業時において1日当たり54千人程度の輸送需要量が見込まれるとともに、既設東西線においても着実な輸送需要の増加が予想される。これに対し申請者は6両編成により1日最大122往復の列車運行を行うこととしていることから、供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡にならないものであると認められる。
  
(3)  申請路線の収支については、前記の推定輸送需要量等に基づいて算定すれば、開業12年目以降継続的に利益を生ずるとともに、開業21年目には累積赤字の解消が図られるものと認められる。
 また、申請路線の輸送計画及び施設計画が適切であり、安全上十分配慮がなされていること等を考慮すれば、事業基本計画は、経営上及び輸送の安全上適切なものと認められる。
  
(4)  申請路線の建設に要する費用については、概算712億円と見込まれるが、その資金は、建設費補助金、一般会計出資金、企業債等により賄うこととしており、申請者の資力、信用状態等を考慮すれば、必要資金の調達は可能であり、かつ、申請者の鉄道敷設能力及び運営能力は十分であるので、申請事業を自ら的確に遂行するに足る能力を有するものであると認められる。
  
(5)  申請事業の開始は、これにより、沿線地域住民の輸送利便の向上を図ることができるとともに、沿線地域の開発、整備等の地域振興に寄与するものであるので、公益上必要なものであり、かつ、適切なものであると認められる。
  
3.  以上に掲げる理由により、この申請は、鉄道事業法第5条第1項各号の免許基準に適合するものと認める。

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