国土交通省 
運輸審議会答申書(運審第39号)
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 主  文
1.  北海道国際航空株式会社の申請に係る東京〜札幌間(東京国際空港起点894キロメートル)における定期航空運送事業は、免許することが適当である。
 
2.  北海道国際航空株式会社の申請に係る上記の定期航空運送事業における旅客運賃の設定は、次のとおり認可することが適当である。
旅客運賃(消費税を含む。)
大人普通運賃最高額 小児普通運賃
26,469円 設定される大人普通運賃(消費税込み)に0.5を乗じた額を端数処理した額


 理  由

1.  申請者は、北海道に本社を置く資本金35億7,680万円の株式会社であるが、東京〜札幌間において新たに定期航空運送事業を経営することにより、両地域間の流動を一層拡大させ、北海道経済の活性化に寄与したいとして、この申請に及んだものである。
 申請者の事業計画によれば、平成10年12月20日から東京(東京国際空港)〜札幌間に、B−767型機を使用して1日3往復の運航を行おうとするもので、所要時間は往路、復路ともに1時間30分を予定している。
 なお、両地域間においては、現在、日本航空株式会社がB−747型機等を使用して1日13往復、全日本空輸株式会社がB−747型機等を使用して1日14往復、株式会社日本エアシステムがB−777型機等を使用して1日11往復の運航による定期航空運送事業をそれぞれ経営している。
 
2.  当審議会においては、本事案の審議に当たり、申請者の意見を聴取するとともに、当審議会に提出された資料その他によって検討を行ったが、その結果は、次のとおりである。
 
(1)  この申請事業の開始は、平成9年度における輸送実績が812万人を超え、座席利用率も3社平均68.1%の高需要路線である東京〜札幌間における輸送需要に対応し、両地域間における利用者の利便の向上に資するものであり、公衆の利用に適応するものであると認められる。
 
(2)  輸送需給については、両地域間の航空利用旅客の輸送実績等を勘案して予測すれば、日本航空株式会社等の運航と競合すること等を考慮に入れても、平成10年度における平均座席利用率は64.7%程度と見込まれており、平成11年度以降も堅調な需要の増加が見込まれることから、申請者が申請どおり運航を行うとしても、航空輸送力が著しく供給過剰になることはないものと認められる。
 
(3)  事業収支は、上記の推定輸送量及び申請者が設定しようとしている運賃額と使用航空機についての運送原価等に基づいて算定すれば、平成11年度において、収入6,537百万円、支出6,913百万円、差引き376百万円の損失を生ずることとなるが、その後堅調な需要の増加に伴う増収が見込まれること等から、平成14年度以降は概ね収支の均衡が得られるものと見込まれる。
 航空保安上の諸点については、使用空港及び申請路線に係る航行援助施設は整備されており、必要な航空機及び乗員等の要員も確保されている。
 また、運航及び整備関係業務に関しては、運航業務については必要な資格・経験を有する者を運航管理者等として配置して自社で行うこととし、整備業務については当該業務遂行体制の整っている日本航空株式会社に委託することとしており、更に、委託業務の管理を含む安全管理業務を遂行するため、十分な知識・経験を有する者を各部門の責任者として配置するなど必要な体制が整備されている。乗員等の訓練についても、設備及び体制が整っている日本航空株式会社に委託して行うこととしている。
 以上により、申請に係る事業計画は経営上及び航空保安上特段の問題はないものと認められる。
 
(4)  申請者は、定期航空運送事業の経営に係るそれぞれの部門に必要な知識・経験を有する者を役職員として配置するとともに、整備業務、旅客取扱業務等を日本航空株式会社に委託し、当該受託者と連携して定期航空運送事業の運営に当たることとしており、当面の事業を経営するために必要な資金の確保、乗客等に対する賠償のための保険の付保についても措置されていることから、経営面及び安全確保の面において申請事業を適確に遂行するに足る能力を有するものと認められる。また、欠格事由に該当しないものと認められる。
 
(5)  運賃については、その最高額は、全定期航空運送事業者について調査して得られた適正な原価に基づき算定された標準原価に相当する額とされており、適正な経費に適正な利潤を加えたものの範囲を超えていないものと認められる。
 なお、申請者は、申請に当たり運賃の下限を設定せず、当審議会における意見聴取の場において、大人普通運賃の額を運航開始後平成11年3月末までの間は16,000円、その後においては通常期16,000円、繁忙期22,000円とするとともに、事前購入割引等の営業割引は行わないことを表明している。これを前提とすれば、申請者の適用運賃は、既存各社の事前購入割引等を適用した場合の運賃と大差がないこと、当該路線における申請者の供給輸送力のシェアが低いこと等から、不当な競争をひき起こすこととなるおそれがないものであると認められる。
 
3.  以上に掲げる理由により、この申請は航空法第101条第1項各号及び第105条第2項各号に掲げる基準に適合するものと認める。
  

 要望事項

 政府においては、申請者が新たに定期航空運送事業に参入するものであることから、特に、次の事項について申請者を十分に指導されたい。
1.  多数の人命を輸送する公共輸送機関としての使命を十分自覚し、安全運航の徹底に努めること。
2.  運航・整備の体制、サービス内容等に関する情報について適切に開示すること。

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