国土交通省
 運輸審議会答申書(運審第1号)
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 主  文
 帝都高速度交通営団の申請に係る東京都豊島区西池袋三丁目(池袋)から東京都渋谷区渋谷二丁目(渋谷)までの間(8.9キロメートル)における第一種鉄道事業の経営については、免許することが適当である。
 理  由
. 東京都北西部及び埼玉県南西部における夜間人口は現在も増加傾向にあり、東京都のベッドタウンとして発展を続けている。また、副都心である池袋地区、新宿地区及び渋谷地区においては、超高層ビルの整備や都庁の移転完成等に伴う事業所数の増大、業務人口の増加や商業機能の拡充も進んでおり、これら地区には今後とも業務集積が進むものと考えられる。
  そこで、申請者は池袋より新宿三丁目を経て渋谷に至る路線を整備し、有楽町線を経由して西武有楽町線・池袋線及び東武東上線と相互直通運転を行うことにより、東京都北西部及び埼玉県南西部と、池袋、新宿、渋谷の3副都心間の重要なアクセス手段を整備し、全国有数の大規模鉄道ターミナルである池袋、新宿、渋谷の各駅の混雑緩和を図るとともに、池袋駅で丸の内線、有楽町線、JR、山手線、同埼京線、西武池袋線、東武東上線と、新宿三丁目で丸の内線、都営新宿線と、渋谷で銀座線・半蔵門線、JR山手線、同埼京線、京王井の頭線、東急東横線、同新玉川線と接続するほか、千代田線及び建設中の都営12号線とも接続すること等により、効率的な鉄道ネットワークを形成しようとして、本申請に及んだものである。
. 当審議会に提出された資料その他によって検討した結果は、次のとおりである。
(1 ) 申請路線は、運輸政策審議会の昭和60年7月の答申において建設することが適当とされている路線の一部であり、申請路線の開設並びに西武有楽町線・池袋線及び東武東上線との相互直通運転により、東京都北西部及び埼玉県南西部と池袋、新宿、渋谷の3副都心間の重要なアクセス手段を整備するとともに沿線地域における輸送需要に対応し、首都圏における効率的な鉄道ネットワークを形成するものであるので、申請事業の開始は、輸送需要に対し適切なものであると認められる。
(2 ) 申請路線に係る輸送需給については、平成19年4月に予定されている開業時において1日当たり271千人程度の輸送需要量が見込まれ、これに対し申請者は10両編成により1日最大188往復の列車運行を行うこととしていることから、供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡にならないものであると認められる。
(3 ) 申請路線の収支については、前記の推定輸送需要量等に基づいて算定すれば、開業14年目以降継続的に利益を生ずるとともに、開業26年目には累積赤字の解消が図られるものと認められる。
  また、申請路線の輸送計画及び施設計画が適切であり、安全上十分配慮がなされていること等を考慮すれば、事業基本計画は、経営上及び輸送の安全上適切なものと認められる。
(4 ) 申請路線の建設に.要する費用については、概算2,407億円と見込まれるが、建設費補助金、無利子借入金、財政投融資による借入金及び交通債券の発行により賄うこととしており、申請者の資力、信用状態等を考慮すれば、必要資金の調達は可能であり、かつ、申請者の鉄道敷設能力及び運営能力は十分であるので、申請事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであると認められる。
(5 ) 申請事業の開始は、これにより、沿線地域住民の輸送利便の向上を図り、沿線地域等の開発、整備等の地域振興に寄与するものであるとともに、全国有数の大規模鉄道ターミナル地区である池袋、新宿及び渋谷における鉄道輸送の混雑緩和に資するものであるので、公益上必要なものであり、かつ、適切なものであると認められる。
. 以上に掲げる理由により、これらの申請は、鉄道事業法第5条第1項各号の免許基準 に適合するものであると認める。
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