申請者は、モノレール浜松町・羽田空港間(16.9キロメートル)の鉄道を経営しており、平成5年9月27日に運賃の変更及び設定を行った後、消費税の引上げ及び地方消費税の導入に伴い、税負担の転嫁を図るための運賃変更を平成9年4月1日に行い、同日から現行の運賃を実施しているものであるが、羽田空港の沖合展開事業に対応した延伸区間(整備場・羽田空港間、5.1キロメートル)の開業(平成5年9月)に伴う資本費の負担等がなお大きいことに加え、同じく羽田空港の沖合展開事業に対応して延伸した京浜急行空港線天空橋・羽田空港間の開業(平成10年11月)に伴う空港関係旅客輸送人員の減少等により、経営合理化努力にもかかわらず、鉄道事業における収支の均衡を保つことが困難となると見込まれるため、旅客運賃を改定することにより収支の改善を図ろうとして、この申請に及んだものである。
当審議会に提出された資料その他によって検討した結果、新運賃の算定の基礎となるべき適正な総括原価及びこれに基づく平年度である平成11年度から13年度までの3年間の合計の収支状況は、次のとおりである。
現行運賃による総収入は41,927百万円、総括原価は48,342百万円と推定され、差引き6,415百万円の不足を生ずるものと見込まれる。
これに対し、運賃を主文のとおり改定すれば、総収入は45,798百万円、総括原価は48,261百万円と推定され、運賃改定後において、なお差引き2,463百万円の不足を生ずるものと見込まれる。
以上のように、申請者の当該事業については、改定後の運賃によってもただちに収支の均衡は得られないが、ワンマン運転の実施等、より一層の経営の合理化等により平成15年度頃には収支が均衡すると考えられること及び利用者の運賃負担力等諸般の事情を考慮すれば、この申請は、鉄道事業法第16条第2項各号に掲げる基準に適合するものと認める。 |