国土交通省
 運輸審議会答申書(運審第20号)
ラインBack to Top


 主  文
  大阪市の申請に係る大阪市東淀川区北江口四丁目(井高野)から大阪市東成区大今里三丁目(今里)までの間(11.9キロメートル)における軌道事業の経営については、特許することが適当である。
 理  由
1.  大阪市は西日本の中心都市にふさわしい都市基盤整備を進めており、都市交通政策としての総合交通体系の確立を目的に、高速鉄道を根幹としてバス輸送網を有機的に結合した公共交通機関の整備に努めているところである。
 このようななかで、大阪市東部地域は、人口密度の高い既成市街地域であり、さらに今後とも中高層住宅の整備等新しい地域整備も計画されているが、同地域は鉄道利用が不便であり、自動車交通の増加に伴い慢性的な交通渋滞が発生し、バス輸送の定時性の確保をはじめ円滑な道路交通の確保ができない状況になっている。
 そこで、申請者は、大阪市東淀川区北江口四丁目(井高野)から同市東成区大今里三丁目(今里)までの間に地下高速鉄道の路線を新設することにより、沿線地域の交通利便性の改善を図るとともに、効率的な鉄道ネットワークを形成しようとして、本申請に及んだものである。
2.  当審議会に提出された資料その他によって検討した結果は、次のとおりである。
 申請路線は、その開設並びに大阪市地下高速鉄道谷町線、中央線及び千日前線等との接続により、大阪市東部地域と都心との重要なアクセス手段を整備するとともに、大阪圏における効率的な鉄道ネットワークを形成するものであるので、利用者の利便の増進に資するものと認められる。
 申請路線は、長堀鶴見緑地線と同様、いわゆるリニアメトロ方式の小型地下鉄として建設することが予定されており、その建設に要する費用は、 概算3,156億円と見込まれるが、一般会計出資金、建設費補助金及び企業債により賄うこととしており、申請者の資力、信用状態等を考慮すれば、必要資金の調達は可能であり、かつ、申請者の軌道敷設能力及び運営能力も十分であるので、申請事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであると認められる。
 申請路線に係る輸送人員については、平成18年度に予定されている開業時において1日当たり164千人程度と見込まれ、申請路線の収支については、この推定輸送需要量等に基づいて算定すれば、開業17年目以降継続的に利益を生ずるとともに、開業28年目には累積赤字の解消が図られるものと認められる。
 よって、この申請については、主文のとおり特許することが適当であると認める。
             ラインライン
All Rights Reserved, Copyright (C) 2001, Ministry of Land, Infrastructure and Transport