国土交通省
 運輸審議会答申書(運審第23号)
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 主  文
  神戸市の申請に係る鉄道の旅客運賃の変更については、次の額を最高額として認可することが適当である。
1. 普通旅客運賃
3キロメートルまで 200円
3キロメートルを超え7キロメートルまで 230円
7キロメートルを超え10キロメートルまで 260円
10キロメートルを超え13キロメートルまで 300円
13キロメートルを超え19キロメートルまで
3キロメートルまでを増すごとに30円加算
19キロメートルを超え23キロメートルまで 390円
2. 定期旅客運賃(1か月)
前記の普通旅客運賃を基礎に次の割引率を適用して算定した額
(1)通勤定期             35パーセント
(2)通学定期             60パーセント
 理  由
 申請者は、平成4年4月1日から現行運賃を実施しているものであるが、減価償却費等の資本費の負担がなお大きいことに加え、平成9年4月の消費税率の引上げ及び地方消費税の導入に伴う税負担の転嫁を行っていないこと、旅客輸送需要は伸び悩みの傾向にあること等により依然として収支の均衡が得られていない状況にあることから、旅客運賃を改定することにより、収支を改善し、経営の健全化を図ろうとして、この申請に及んだものである。
 当審議会に提出された資料、申請者から聴取した意見その他によって検討した結果、新運賃の算定の基礎となるべき適正な総括原価及びこれに基づく平年度である平成12年度から14年度までの3年間の合計の収支状況は、次のとおりである。
 平年度における適正な総括原価は、線路費、電路費、車両費、列車運転費及び駅務費の適正コスト32,188百万円、動力費1,824百万円、減価償却費24,599百万円、支払利息27,228百万円、消費税2,729百万円、その他支出1,824百万円、合計90,392百万円と推定されるのに対し、収入は、旅客運賃収入57,680百万円、運輸雑収その他の収入7,743百万円、合計65,423百万円と推定され、差引き24,969百万円の不足を生ずるものと見込まれる。
 これに対し、旅客運賃を主文のとおり改定すれば、収入は、旅客運賃収入63,744百万円、運輸雑収その他の収入7,743百万円、合計71,487百万円と推定され、増収額に対する消費税額を考慮して、運賃改定後において,なお差引き19,192百万円の不足を生ずるものと認められる。
 以上のように、申請者の当該事業については、改定後の運賃によっても収支の均衡は得られないが、利用者の運賃負担力等諸般の事情を考慮すれば、この申請は、鉄道事業法第16条第2項の基準に適合するものと認められる。
 要望事項
  政府においては、神戸市の鉄道事業が、運賃改定後においてもなお厳しい経営環境下に置かれる一方、運賃改定により利用者の負担が増加することにかんがみ、経営健全化計画を着実に実施するとともに、引き続き一層の事業の効率化、経費の節減等に努め、改定後の運賃水準が可能な限り長期間維持されるよう、同市を強力に指導されたい。なお、同市が講じた措置及びその結果について適時報告を聴取するようにされたい。
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