申請者は、平成4年4月1日から現行運賃を実施しているものであるが、減価償却費等の資本費の負担がなお大きいことに加え、平成9年4月の消費税率の引上げ及び地方消費税の導入に伴う税負担の転嫁を行っていないこと、旅客輸送需要は伸び悩みの傾向にあること等により依然として収支の均衡が得られていない状況にあることから、旅客運賃を改定することにより、収支を改善し、経営の健全化を図ろうとして、この申請に及んだものである。
当審議会に提出された資料、申請者から聴取した意見その他によって検討した結果、新運賃の算定の基礎となるべき適正な総括原価及びこれに基づく平年度である平成12年度から14年度までの3年間の合計の収支状況は、次のとおりである。
平年度における適正な総括原価は、線路費、電路費、車両費、列車運転費及び駅務費の適正コスト32,188百万円、動力費1,824百万円、減価償却費24,599百万円、支払利息27,228百万円、消費税2,729百万円、その他支出1,824百万円、合計90,392百万円と推定されるのに対し、収入は、旅客運賃収入57,680百万円、運輸雑収その他の収入7,743百万円、合計65,423百万円と推定され、差引き24,969百万円の不足を生ずるものと見込まれる。
これに対し、旅客運賃を主文のとおり改定すれば、収入は、旅客運賃収入63,744百万円、運輸雑収その他の収入7,743百万円、合計71,487百万円と推定され、増収額に対する消費税額を考慮して、運賃改定後において,なお差引き19,192百万円の不足を生ずるものと認められる。
以上のように、申請者の当該事業については、改定後の運賃によっても収支の均衡は得られないが、利用者の運賃負担力等諸般の事情を考慮すれば、この申請は、鉄道事業法第16条第2項の基準に適合するものと認められる。 |