II 計画の概要

1.空港の整備

(1)大都市圏における拠点空港の整備
 第7次空港整備五箇年計画においては、新東京国際空港の整備及び東京国際空港 の沖合展開事業の完成に加え、関西国際空港の2期事業、中部新国際空港及び首都圏空港をこれまでの三大空港プロジェクトに続く新たなプロジェクトとして位置づけ、以下のとおり推進する。

1)首都圏における拠点空港の整備

a.新東京国際空港については、円卓会議の結論を尊重し、共生策の実施、地域の整備と一体のものとして平行滑走路等の整備を推進し、その完成をめざす。また 、第1旅客ターミナルビルの改修等諸施設の能力増強等の整備を推進する。なお、空港処理能力が拡大した段階で、一定の国内線の乗り入れを認め、空港周辺地域の利便性向上と際内乗り継ぎ機能の向上を図る。
b.東京国際空港については、沖合展開事業の3期計画(新B・新C滑走路の供用等)の早期完成を図る。
c.東京国際空港は、沖合展開事業が完成しても国内線で21世紀初頭には再びその能力が限界に達することが予測される。
 したがって、首都圏における将来の航空需要に対応するため、海上を中心とした新たな拠点空港を建設することを前提として、事業着手をめざし、関係地方公共団体と連携しつつ、総合的な調査検討を進める必要がある。
 なお、今後の検討に当たっては、首都機能移転に関する議論の展開にも十分留意する必要がある。

2)近畿圏における拠点空港の整備

 関西国際空港は、1期施設の能力向上のための所要の整備が図られたとしても 、21世紀初頭には処理能力の限界に達すると予測されることから、関係者が連携して、残る2本の滑走路を整備する全体構想のうち、当面、2期事業として平行滑走路等の整備を推進する。
 なお、関西国際空港の開港後の利用状況等を踏まえ、近畿圏における空港の役割分担について改めて検討する必要がある。

3)中部圏における拠点空港の整備

 現在の名古屋空港の滑走路等の処理能力は、21世紀初頭に限界に達すると予測されるため、新しい空港について、関係者が連携して、総合的な調査検討を進め、早期に結論を得た上、その事業の推進を図る。
 この場合、空域利用について調整が必要であり、また、地元において、定期航 空路線の新空港への一元化を前提とした現空港のあり方につき十分な調整が図られるとともに、開港時における適切なアクセスの確保のための方策が確立される必要がある。
 また、新空港の採算性について十分な検討を行うとともに、主体分離方式の導入等事業の推進方策を早急に検討し、結論を得る必要がある。

(2)地域拠点空港及び地方空港の整備

a.空港の新設及び滑走路の延長については、継続事業を中心として整備を進める。
 また、新規事業については、需要への対応を基本としつつ、就航率の向上等既存施設の高質化を図るための滑走路の延長等所要の整備を進める。
 なお、地域開発・振興を主眼とした空港整備については、地域の創意工夫の下に、地域が従来以上に主体的役割を発揮していくことが必要であり、中でも地方公共団体の管理する空港において地域振興の観点から行う空港の高質化のための滑走路延長事業については、国と地方の役割分担を見直した上で、地域が主体的に進めることができるようにする必要がある。
 また、共用飛行場の整備については、新たに地方公共団体に負担を求め、国と地方の役割分担の明確化を図ることが必要である。
b.ターミナル地域等の整備については、今後とも、需要への対応を基本としつつ、所要の整備を推進する。

(3)離島空港、コミューター空港等の整備

a.離島空港については、民生の安定、地域の振興及び高速交通ニーズへの対応の観点から、ジェット化等所要の整備を着実に推進する。
b.コミューター空港については、その輸送特性が発揮される場合には、地域の創意工夫による事業運営を確保するための方策を検討した上で、所要の整備を推進 する。さらに、公共用ヘリポート等についても、地域における計画の熟度等を勘案し、所要の整備を行う。

(4)航空貨物施設の整備

 今後の貨物取扱量の動向等を踏まえ、必要に応じた施設の整備を推進する。

2.空港周辺環境対策事業の推進

 所要の防音工事、移転補償、緩衝緑地帯の整備等の空港周辺環境対策事業を推進し、空港と周辺地域との調和ある発展を図る。

3.航空保安施設の整備

 運輸多目的衛星を用いた航空衛星システム、管制データリンク等の次世代航空保安 システムの開発・整備を図るとともに、航空路監視レーダー、2次レーダーのロングレンジ化、計器着陸装置(ILS)、精密進入用灯火等の現行航空保安施設を引き続き整備する。


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