II.制度見直しに当たっての基本的視点


 航空機の安全性は、航空機の使用者、航空機や装備品の製造者、整備事業者、国等がそれぞれの役割を果たすことによって確保されているが、国の役割のあり方について は、航空機の製造者、整備事業者等の能力の向上の他、諸外国における制度整合化の動向、使用者の安全意識の変化等に応じて変わっていくべきものである。
 国が個々の航空機等を自ら直接に検査することを基本とした現行の制度は、第2次大戦後停止されていた我が国民間航空の活動が再開された直後の航空法制定当時においては、民間において十分な技術的能力が蓄積されておらず、また、登録航空機数も限られていたため、安全確保の観点から必要かつ効率的であったと考えられる。
 しかしながら、近年の民間能力の向上、国際的な相互承認の進展等検査制度を取り巻く内外の情勢の変化を踏まえると、現行制度は必ずしも合理的なものとは言えなくなってきている。従って国が行ってきた個々の航空機の直接検査については、民間事業者の能力、外国の証明等を十分に活用していくこととし、国は、設計検査、安全確保等に必要な情報の収集、分析及び提供、適切な安全基準の策定等の国として一層充実すべき業務を推進することにより、更なる航空機の安全性の向上を図っていくことが必要である。
 また、航空機の環境規制についても、我が国における環境保全を図るとともに、国際的な取組みに積極的に参画していくことが重要な課題となっている。
 この他、手法や効果が重複する制度の一元化を図るなど各種規制の簡素・合理化に取組み、使用者の負担軽減に資することも必要である。
 このような認識のもとに、現行の航空機検査制度について、見直しを行うことが必要である。


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