バリアフリー

東京大学高齢社会総合研究機構 「住まい」と「ケア」などが一体的に整備されたコミュニティケア型仮設住宅地の提案

【講評】
 受賞者は、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県釜石市及び被災者を受け入れた遠野市において、仮設住宅地を一つの「まち」として捉え、地域交流、デイサービス、診療等の機能を有するサポートセンターを含め一体的に整備する「コミュニティケア型仮設住宅地」を提案して実現するなど、先駆的な事業に取り組んだ点を高く評価し、表彰することとした。

【受賞者の取組み】
●取組みの概要
 東京大学高齢社会総合研究機構は、超高齢社会への対応として、高齢者が安心して暮らし続けることができる「住まい」と「ケア」を一体的に整備したまちづくりを研究している。東日本大震災発生後、被災地に積極的に足を運び、岩手県釜石市及び遠野市において、コミュニティの力で高齢者との引きこもりや虚弱化、自殺、孤独死などを防ぐことを目的として、住民間の交流を促進する住環境の整備や、日常生活支援機能との連接などを図った「コミュニティケア型仮設住宅地を提案し、地方自治体や地元自治会等と連携して平成23年8月に実現させた。

●住民間の交流を促進する住環境の整備
 仮設住宅地内にケアゾーンを設定することにより、独居高齢者や障害者などに集住してもらい、より支援が行き届きやすくしている。また、玄関を向かい合わせに設けることや、ウッドデッキを設けバリアフリー化を図ると共に、天井に屋根をかけることによって交流の場を創出している。

●日常生活支援機能との連接の実現
 設計段階から関係機関と連携することにより、高齢者の生活を支援する拠点として厚生労働省が設置するサポートセンターや、被災した商店を再生した仮設店舗、路線バスの停留所、子育てゾーンなどの日常生活支援機能との連続性を確保している。

●コミュニティの包摂力向上の支援
 自治会の立ち上げ支援や、東京大学、地元自治体、自治会等の代表者が参画するまちづくり協議会を設置し、仮設住宅地で発生する様々な課題の話し合いなどのコミュニティマネジメントを行っている。

【今後期待される取組み】
 我が国は自然災害が多い上、今後ますます高齢化が進展することを考慮すると、高齢者等に配慮した仮設住宅地の整備は、重要な課題である。コミュニティケア型仮設住宅地はこれらの課題に対応する取組みとして参考となるものであり、今後この成果を踏まえ、一層の研究が進められることが期待される。

【連絡先】
 東京都文京区本郷7-3-1 工学部8号館701号室
 TEL 03-5841-1662

【Web-URL】
 http://www.iog.u-tokyo.ac.jp/shinsai/shinsai.html

  • コミュニティケア型仮設住宅団地平面図(岩手県釜石市)                 ※市内から約6km離れた平岡総合公園内(0.5ha)に建設

  • 屋根付きウッドデッキの設置

  • まちづくり協議会の定例会議

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