バリアフリー

倉敷市・倉敷美観地区バリアフリー推進会議 市と住民の連携による重要伝統的建造物群保存地区のバリアフリー化

【講評】
 受賞者である倉敷市と倉敷美観地区バリアフリー推進会議は、文化財保護の観点からハード整備によるバリアフリー化が難しい地区である重要伝統的建造物群保存地区に指定された倉敷市美観地区内において、ハードにおけるバリアを“心のバリアフリー”により補完するために「おもてなしマイスター制度」を実施し、さらに地区内の道路整備において、住民主体によるバリアフリー化を実施するなど、市と住民が協働したまちのバリアフリー化に取組んだ点を高く評価し、表彰することとした。

【受賞者の取組み】
●取組みの概要
 倉敷市美観地区は、重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)に指定されており、文化財保護の観点からバリアフリー化による改修が難しい地区である。そのなかで、倉敷市と住民主体の推進会議とが連携して、以下の取組みを積極的に進めた。

●市独自のバリアフリー整備計画の策定
 倉敷市は、美観地区におけるバリアフリー整備のあり方について検討し、平成20年3月に市独自の整備計画「倉敷市美観地区バリアフリー整備計画」を策定するとともに、その整備計画を推進するために、平成20年11月に地元住民・事業者・民間団体からなる「倉敷美観地区バリアフリー推進会議」が組織された。

●「おもてなしマイスター制度」の実施
 ハード整備によるバリアフリー化が難しい伝建地区において、残った段差を「ひとの手」で解消する目的から、地区内で働いている方、活動されている方、ボランティアされている方、存在の方を対象に、おもてなしの「こころ」を育むとともに、おもてなしの「技術」を習得し、観光などで倉敷を訪れ、手助けを必要としている方に対して、“おもてなし”ができる人(マイスター)を育てていく制度を、推進会議が提案し、市と協働で実施している。
 この制度では、人に対するマイスター認定だけでなく、店舗・事業所に対しても「おもてなし処」として認定を行っており、美観地区全体での取組みとなっている。

●道のあり方検討会の実施
 地区内の道路の電線地中化を契機として、地元住民などが主体となり、道路構造・デザイン、交通規制導入による通過交通の排除などの検討や合意形成を行い、その結果を市に提案し、市はそれに基づき伝建地区にふさわしいバリアフリー・美装化工事を行った。結果として、工事が円滑に進捗し、地元住民が道路の維持管理に協力するなどの動きが出てきている。

【今後期待される取組み】
 おもてなしマイスター制度は、美観地区にとどまらず、全市的に展開するとともに、同様の課題を抱えた全国の伝建地区にも広がることが期待され、また道のあり方検討会での住民主体による取組みは、同市の他の公共事業においても導入されることが期待される。

【連絡先】
(倉敷市)
 岡山県倉敷市西中新田640
 TEL 086-426-3545(交通政策課)

【Web-URL】
 http://www.city.kurashiki.okayama.jp/

  • 倉敷美観地区の風景

  • マイスター認定を受けた店員の方々

  • 店頭に設置されたおもてなし処の掲示板

  • バリアフリー・美装化された美観地区内の道路

  • マイスター認定者に貸与される認定証と認定バッジのイメージ

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