バリアフリー

北海道空港株式会社 障害当事者等の参画による空港のバリアフリー化

【講評】
 受賞者は、国際線ターミナルビルの新設に当たり、基本設計時から有識者や障害当事者等によるUD検討委員会のほか、多様な障害者が参加した当事者WGやUDの専門家WGを高頻度に開催し、当事者等の意見を設計や工事に反映。手動車いすで利用できる一般便房、弱視者に配慮した設備、エスカレーター逆進入防止設備、6カ国語によるサインの整備など、高度なバリアフリー化を実施したことを高く評価し、また、地方空港のモデルとして今後の取組みにも期待し、表彰することとした。

【受賞者の取組み】
●有識者や障害当事者等の意見反映
 受賞者は新千歳空港に国際線ターミナルビルが新設されることにあたり、基本設計時より、「ユニバーサルデザイン検討委員会」を設置し、有識者や空港利用者として想定される障害当事者、高齢者、子供連れの方、東アジア地域を中心とした外国人等、100名程度の幅広い関係者が参加し、案内誘導(視覚・聴覚)WG、授乳室WG、オストメイトWG、多言語WG、専門家WG等の各種WGやモックアップ(実寸大模型)での検証を重ね、設計や工事に反映した。

●主なバリアフリー設備の整備
・利用しやすいトイレの整備
(1)手動車いすで利用できる一般便房
 奥行きが200㎝、幅が120㎝と一般便房のスペースを広く確保しており、手動車いす使用者が容易に便房内で便座での移乗を可能としている。また、スーツケース等大きな荷物を所持している空港利用者にとっても十分な寸法となっている。
(2)一般便房へのオストメイト用パウチ洗浄器具設置
 オストメイトの方からの意見を踏まえ、一般便房でもパウチ洗浄ができないか検討し、メーカーと協力して新たな製品を一般便房へ導入した。

・6カ国語によるサインの整備
 東アジア地域の観光客等が多く利用されることを想定し、隣国の6カ国の言語(日本語、英語、繁体語、簡体語、韓国語、ロシア語)をサインとして表示。また、言語間の意味の統一も可能な限り図った。

・弱視者に配慮した設備
 トイレは、壁に照明を当てたり、天井部の輪郭に間接照明を当て、空間の視認性を高める配慮をしている。
 また、便器周辺の壁は黒色とし、コントラストをはっきりさせた。なお、サイン表示は、ピクトや盤面の色、フロアマップなど弱視者の確認を踏まえたものとしている。

・授乳室の整備
(1)車いす使用者も利用できる設計
 車いす使用者でも洗面台が使えるようカウンターに蹴込みを入れ、また鏡の位置を低くする等の配慮を行った。
(2)子供連れの方の意見を踏まえた配慮
 ミルクを作る際の熱湯の使用について、安全に熱湯を汲むことができるサーバを設置した。また、授乳スペースは個室となるため、すぐに呼び出しができるよう緊急用ブザーを母親が押しやすい場所へ設置した。

・エスカレーター等への逆進入防止装置設置
 エスカレーター及び歩く歩道の進入口にLEDの誘導灯を設置し、運転時であっても逆方向からの進入時にはブザー音が鳴るセンサーを新たに開発し、設置している。

【今後期待される取組み】
 今後も障害当事者等の参加によるチェック・評価を継続的実施することはもとより、国際線ターミナルビルのみならず、隣接する国内線ターミナルビルや別事業者が管理する駐車場・JRなどの空港周辺施設について、一体化したバリアフリー化に取組むことが期待される。

【連絡先】
 TEL 0123-46-5111(代表)

【Web-URL】
 http://www.new-chitose-airport.jp/ja/

  • ターミナル内部

  • モックアップ検証の様子

  • 一般便房(外観)

  • 一般便房(内部)

  • 逆進入防止装置(囲み部分)

  • 授乳室

  • サイン

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