バリアフリー

東京国際空港ターミナル株式会社・京浜急行電鉄株式会社・東京モノレール株式会社 空港ビルと駅が一体となった先導的なバリアフリー化

【講評】
 受賞者は、東京国際空港国際線ターミナルの新設に当たり、有識者や障害当事者等を中心とする「UD検討委員会」の設立や、委員としての参画、多様な障害者を招き高頻度で開催された当事者ワークショップにおける意見等を設計や工事へ反映するなど、ターミナル全体におけるユニバーサルデザインに配慮を行うほか、鉄道駅ホーム階と到着・出発階を直接結ぶ複数の大型エレベーターの整備、モノレールのホームから出発ロビーまで短く、フラットな動線の確保など、ターミナル施設全体における高度なバリアフリー化を実現したことを評価し、表彰することとした。

【受賞者の取組み】
●取組みの概要
 東京国際空港国際線地区旅客ターミナルビル等整備・運営事業において、「高齢者、障害者をはじめ、すべての利用者が安全かつ円滑に利用できること」を基本とした、ターミナルの設計段階から幅広い関係者からの多様な意見・提案を反映させた「参加型」のユニバーサルデザインを導入し、整備を進めた。また、異なる三者の事業主体が一体となって、階層構成、利用者動線、駅の位置などの検討がなされた。

●当事者参加型のデザイン設計
 国際線ターミナルの設計・施工段階において、整備計画の検証・評価・改善することを目的に有識者・障害者・関係事業者・地方自治体等をメンバーとした『UD検討委員会』において設計内容の改善等の検討及びその反映を行った。
 また、具体的な評価・検証を行うに当たって、多様な利用者の視点にて実施するため、多様な障害者を中心に有識者・設計者・施工者等をメンバーとする『UDワークショップ』を40回程度実施し、そこで既存施設の実地確認や整備計画に基づくサンプル及びモックアップを作成した上で多角度からの検証・分析を行い、改善提案・施工反映を行った。

●補助犬トイレの設置
 補助犬を使用する者のため、長時間飛行の前後における補助犬の排泄に配慮するため、補助犬トイレをターミナルビル内の案内カウンターに近接した場所に設置した。

●ソフト面での対応
 国際線ターミナルの案内カウンター及び館内各所にコンシェルジュを配置し、視覚障害者のために作成した『手で見るフロアマップ』『点字パンフレット』や聴覚障害者のために作成したコミュニケーション支援ボードや磁気ループを設置することで、より円滑なコミュニケーションを図ることができることとした。
 また、駅においてもコンシェルジュを配置するほか、モノレールにおいては車両とホームとの隙間を無くす可動ステップの導入、京浜急行においては可動式ホーム柵を設置するなど、利便性と安全の向上について配慮した。

● 鉄道駅・ターミナルビル間の乗継円滑化
 国際線ターミナルビルの建設に合わせ、京浜急行電鉄が羽田空港国際線ターミナル駅を新設し、地下に設置されるホームと到着・出発階をダイレクトに結ぶ複数の大型エレベーターや直通エスカレーターを設置した。
 また、東京モノレールは、国際線ターミナルビルに隣接するように軌道を変更し、羽田空港国際線ビル駅を新設し、モノレールのホームから出発ロビーまでフラットな動線を確保した。

【今後期待される取組み】
 供用開始後も『UD 検討委員会』を引き続き設置することとしていることから、ターミナル利用者の利便性を維持・向上するため、継続的にユニバーサルデザインの検証を行い、必要に応じて「スパイラルアップ」を行うことが期待される。

【連絡先】
 TEL  03-6428-5931 [東京国際空港ターミナル株式会社]
 TEL  03-5789-8686 [京浜急行電鉄株式会社]
 TEL  03-5470-3816 [東京モノレール株式会社]

【Web-URL】
 http://www.haneda-airport.jp/inter/ [東京国際空港ターミナル株式会社]
 http://www.keikyu.co.jp [京浜急行電鉄株式会社]
 http://www.tokyo-monorail.co.jp/ [東京モノレール株式会社]

  • 国際線ターミナル内部

  • 聴覚障害者専用の非常ボタンを設置したエレベーター           (非常ボタン写真)

  • モノレール・空港ターミナル間乗換口

  • 京浜急行・空港ターミナルビル間乗換口

  • 『手でみるフロアマップ』

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