【講評】
受賞者は、国宝であり世界文化遺産でもある「姫路城」において、文化財の保存修理の現場を全国ではじめて公開する見学施設「天空の白鷺」を開館し、エレベーターや身障者用仮設トイレを整備するなどして車椅子使用者でも見学可能な環境を整えるとともに、城内のバリア軽減策としてスロープの設置、路面補強、介助専門員の配置などを行った。このように、文化財保護の観点からハード整備によるバリアフリー化が困難な城郭における取組みを進めた点を高く評価し、表彰することとした。
【受賞者の取組み】
■ 取組みの概要
姫路市では、世界文化遺産にも登録された国宝の姫路城大天守保存修理事業の実施にあたり、工事期間中にその様子を公開する見学施設「天空の白鷺」をバリアフリー対応により開館するとともに、あわせて登閣ルートをバリアフリー化するなど、坂や階段が多く、また文化財の歴史的価値を損なうおそれがあり、バリアの解消工事には困難が伴う城郭において、車椅子利用者による見学環境を整える取組みを行った。
● バリアフリー対策を講じた保存修理見学施設「天空の白鷺」の開館
姫路城大天守の大規模改修の実施にあたり、世界遺産の価値と大規模改修の啓発・PR の観点から、工事状況を常時公開する全国初の取組みとして、天守閣を完全に覆う修理見学施設「天空の白鷺」を開館した。館内にはスロープやエレベーターを設置し、上層階から大天守の大屋根や最上層を近くで見られるよう連続的なバリアフリー整備を行うとともに、介助専門員を配置して移動のサポートを行うなど、車椅子利用者でも見学を可能とした。
● 城内登閣ルートのバリアフリー化
保存修理時の公開検討を契機として、登閣が困難な方の見学機会を確保するため、障害当事者も参画した登閣経路のバリア調査を実施し、調査結果に基づき、スロープの設置や路面補修などを行うとともに、多目的トイレの整備や既存トイレの増設・改修を行った。また、急勾配の移動をサポートするため、貸出用に電動アシスト付車椅子を導入した。
【今後期待される取組み】
観光施設としても重要な役割を果たしている文化財において、その保護との兼ね合いの壁を乗り越えて進めたバリアフリー化の取組みを、今後も継続していくことが期待される。
【連絡先】
姫路市本町68
TEL 079-285-1146(城管理事務所)
姫路市安田四丁目1番地
TEL 079-221-2541(まちづくり指導課)
【Web-URL】
http://www.city.himeji.lg.jp/
バリアフリー対応の見学施設「天空の白鷺」
施設内に整備したエレベーター
登閣ルートに整備したスロープ
貸出用電動アシスト付車椅子の用意