バリアフリー

島 信一朗・北海道ユニバーサル上映映画祭実行委員会 誰もが楽しめる映画祭を通じたユニバーサルデザインのまちづくり

講評
受賞者は、「誰もが共に生きる意識を持った優しい社会環境の実現」、「地域のユニバーサルデザイン化の普及」、「子どもたちの世代からインクルージョンの意識を持つ人づくり」を目指し、障害がある方や健常者、高齢者や子供などを問わず、参加した誰もが同じ環境で楽しむことができる映画祭をはじめとして様々なユニバーサルデザインへの取組みを継続して行っている。このように、インクルージョンの理念の下に地域や人に優しいまちづくりを継続して進めた点を高く評価し、表彰することとした。
受賞者の取組み
■ 取組みの概要
島信一朗氏を代表とする北海道ユニバーサル上映映画祭実行委員会では、映画を鑑賞する全ての人が総合芸術として楽しむための取組みとして、複数ジャンルにわたる上映映画全てに「日本語字幕」、「音声ガイド」に加え、他に例のない「ミュージックサイン(※)」を、司会や関連企画に「要約筆記」「手話通訳」を用意するとともに、会場には「補聴援助システム(磁気ループ席)」や「選べる車椅子席」の設置、「託児所」を完備するなど、映画鑑賞をすること自体にバリアのある方にも応じた、様々な映画の楽しみ方を用意している。また、映画祭を通してシンポジウムやワークショップ、モニターツアーなど、自治体や団体、地域などと協同し、多様な関連企画にも取り組んでいる。
(※) ミュージックサイン:音楽や音(背景音など)を手話や動作、絵などを使って視覚化表現するもの。上映中の映画の横で映像にかからず、目から映像がずれない位置で行っている。

映画祭 看板
● 北海道ユニバーサル上映映画祭ワークショップ
開催地である北海道北斗市内などの小・中・高校生が年代に応じたユニバーサルデザインをテーマに時間をかけて取り組み、映画祭の案内ガイドやサポートなどの実体験、ワークショップとして成果発表などを行っている。高校生では上映映画の日本語字幕や音声ガイドの作成に取り組むとともに、当日の音声ガイドナレーションや字幕オペレートを担当するなど企画・制作段階から携わっている。また、今年度からは社会教育、地域のユニバーサル化プロジェクトの一環として教育大学の授業とするなど、将来を見据えた人づくりを継続している。

中学生ワークショップ舞台発表(北斗市かなで~る会場)

ミュージックサイン(北斗市かなで~る会場)
● 映画祭PRを兼ねた上映会
函館市企業局交通部の低床車両「らっくる号」の走行中車内で、液晶化された料金表示画面を利用した上映会「市電シネマ」は、ユニバーサル上映とユニバーサルデザイン化された低床車両を広く地域に広報する役割を担っている。

低床車両「らっくる号(北海道新幹線カラー)」

「らっくる号」での上映会(音声ガイド入り)
● ユニバーサルツーリズムへの取組み
第10 回映画祭では七飯上映会に併せて、車いす使用者、視覚障害者等を対象に、「大沼観光モニタリング(UD検証)体験コースツアー」を、北斗市開催では「視覚障がい者モニターツアー」を企画し、障害者の旅行・外出機会の増進と公共交通、観光地・商業施設等の受入れ側の意識改革に取り組んでいる。

大沼公園でのUDツアーカヌー体験

誰もが共に楽しめます!
今後期待される取組み
映画祭は今年で10 年目を迎え、当事者への広がりのみならず子供世代から理解を深める活動、企画の充実や新たな取組みなど、まちづくりとして発展させている地域のユニバーサルデザイン化の取組みを、今後も継続していくことが期待される。
連絡先
北海道函館市湯川町2丁目29-28
TEL 0138-57-3157
Web - URL】 
http://inclusive-t.com/







 

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