バリアフリー

仙台市 「バリアフリー化された津波避難タワー等による、 齢者・障害者等にも対応した面的避難エリアの実現」

講評

受賞者は、東日本大震災の経験から大津波からの避難行動の分析と避難場所の確保を最大の目標として本津波避難タワーを計画した。整備にあたっては、高齢者、障害者、乳幼児連れなど多様な市民の参画を得て避難計画を立案し、建設後も避難訓練を重ねている。また避難タワーは地区住民全員が避難できるよう避難エリア計画ごとに建設が行われ、地域住民の防災意識の向上と安心・安全な生活環境をより強固に構築している。国内外からの視察も多く今後の波及効果が十分期待できるものであり、表彰することとした。

受賞者の取り組み等

■ 取組みの概要
仙台市では、東日本大震災の津波により被害を受けた沿岸部において、津波避難施設を計画的に整備することにより、面的避難エリアの形成を目指している。その計画にあたっては、高齢者や障害者等を「災害時要援護者」と位置づけ、その特性に応じた施設配置やバリアフリー化された施設整備を進めている。
●「 津波避難施設の整備に関する基本的考え方」の策定
仙台市では、東日本大震災の津波により被害を受けた沿岸部の再生に向けて、地域住民の代表者や津波工学等を専門とする有識者等で構成する検討委員会における審議や、住民説明会等での意見などを踏まえ、平成25 年3 月に「津波避難施設の整備に関する基本的考え方」を策定した。この中で避難施設は、集落の位置や人口想定に加え、災害時要援護者等を含めた避難行動も踏まえて配置を考えることとされており、これにより、高齢者・障害者等にも対応した面的避難エリアが形成されることになる。
避難行動の考え方(「基本的考え方」より)

● バリアフリー化された津波避難タワーの整備
「基本的考え方」においては、各施設の整備にあたり、要援護者への配慮として、高所への移動や備蓄について配慮することが定められている。この考え方により、平成27 年2 月、第1 基目となる津波避難タワーが完成した。
 

  東日本大震災における寒冷地での避難の教訓も踏まえ、タワー上部には屋内避難スペースを設けており、内部に車椅子対応のトイレ等やベンチを備えるなど、高齢者・障害者等の避難に配慮されている。屋内スペースの上部にも屋外の避難スペースがあり、地上とこれらの空間の間の移動は、階段またはスロープいずれの方法でも可能となっている。
 

津波避難タワー外観(スロープ側)

● 地域住民による避難計画づくりと防災意識の啓発
 地域ごとの避難計画を住民自らがまち歩きやワークショップを行いながら作成しており、その中で、自力で避難が困難な方の避難方法等についても検討を行っている。また、地域住民及び小学生等を対象に、車椅子使用者や高齢者等の避難を想定し、実際にスロープも利用した避難訓練を頻繁に実施しており、地域住民の防災意識の向上と共に、災害時要援護者に対する心のバリアフリーの促進にも寄与している。
 

車椅子でスロープを利用する様子

津波警報発表時に使われた屋内避難スペース

◎ 今後期待される取組み
 今後、障害当事者を含めた総合的な避難訓練を行うなど、実際に利用する中で避難施設の検証を進め、設備やコスト面においてさらに改良を加え、全国的にも普及するモデルの一つを作り上げていくことが期待される。

仙台市
【連絡先】
 〒980-8671 仙台市青葉区国分町三丁目7番1号(危機管理室防災計画課)
 電話 022-214-3047 / Fax 022-214-8096
【Web − URL】 
  http://www.city.sendai.jp/hinan/kurashi/anzen/saigaitaisaku/torikumi/hinan/sebi.html(外部サイト)
 

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