成田国際空港株式会社は、日本の表玄関である成田空港を利用する国内外の多数の旅客等に対して、世界トップレベルのユニバーサルデザインの視点によるサービス提供を目的として、障害当事者・研究者や専門家・事業者が一体となって粘り強く計画を策定し、着実に整備改善に取り組んでいる。中でも、発達障害者に向けたクールダウン・カームダウン設備の導入や航空会社と協働で企画した機上体験の実施は先進的であり、情報通信技術を活用した多様なコミュニケーション手段の導入や、障害児向けの事前情報提供手段の充実に加えて、空港スタッフの教育研修にも力を入れており、ステークホルダーを巻き込んだアプローチは、他の空港会社においても好事例として共有化ができる取組であると高く評価できる。
■取組の概要
成田国際空港株式会社では、障害当事者、有識者、空港関係者で構成される「成田空港UD推進委員会」を設立し、成田空港UD基本計画と具体的な取組を決定し総合的なバリアフリー化を推進している。
◆「成田空港UD推進委員会」をを設立し、取組を推進するための指針として「成田空港UD基本計画」を策定
2017年5月「成田空港UD推進委員会」を設立し、UDに関する基本的な考え方や取組の方向性について検討を進め、2018年4月に具体的な取組を推進するための指針となる「成田空港UD基本計画」と、それに基づいて2020年までに実施する具体的な取組を決定するなど着実な取組として評価される。
成田空港UD推進委員会
◆「成田空港UD基本計画」にもとづいた総合的なユニバーサルデザインの推進
「成田空港UD基本計画」にもとづき、障害者・有識者・関係職員で議論を行い、2018年度以降、発達障害への対応、コミュニケーション・情報提供の充実、スタッフ研修などを実現させている。
スタッフ研修の様子
◆発達障害の特性のある方や知的、精神障害の方に対する各種施策の実施
航空会社と共同した搭乗体験プログラムの実施、カームダウン・クールダウン用のスペースの設置、空港予習冊子の導入といった発達障害の特性のある方や知的、精神障害の方に対する各種施策を実施。
カームダウン用スペース 子供向け空港予習冊子
◎今後期待される取組
既存の施設設備の改善には費用も時間もかかる上に、バリアフリー、ユニバーサルデザインへの期待はより高度化、多様化していく中で、計画を着実に実行し続けるのは容易いことではないが、2020年のオリンピック・パラリンピック以降のさらなる利用拡大に向けて、空港を利用する誰もが快適に安心して行動できるように、利用者視点で常に計画を見直し、国際空港としての誇りを持って他の範となる効果的な取組を期待する。
【連絡先】成田市古込字古込1-1
【Web-URL】 https://www.naa.jp