日フィリピン経済連携交渉・建設分野の大 筋合意について
−フィリピン建設業特別免許制度の改善−
 
平成16年11月29日
国土交通省国際建設経済室
 
 11月29日、日比経済連携協定締結について日比首脳間で大筋合意した ところ、建設分野における合意事項は概ね下記のとおり。
 
1.建設分野における合意事項
 日系建設会社に対して、
 @特別免許の対象に、国際入札とBOT案件のほか、
  比建設会社とのJV等を条件として、
  PEZA, BOI, SBMA登録企業からの受注を認める。
 A特別免許を取得した場合、当該年度2件目以降の申請に対し、
・同等の格付けを認める。
・既に提出した書類の再提出を省略する。
 
*現行制度の概要
 現在、フィリピンで建設業を営むには建設業免許委員会(PCAB, Philippine Contractors Accreditation Board)が発行する免許取得が必要。免許は外国資本比率により下記の2種類に分かれている。
免許種類 外国資本比率 対象受注案件 免許手続
一般免許 40%を上限 制限なし 1年毎の更新

特別免許
 

制限なし
 
BOT案件、国際
入札案件に限定

 
1案件毎取得かつ
1年毎の更新
取得手続の負担大
 
*PEZA:フィリピン経済区庁Philippine Economic Zone Authority
 PEZA法に基づき経済特区Ecozonesを所管する。 Ecozones内に投資する企業はPEZAに登録することにより税制上の優遇措置等各種優遇措置を受けることができる。
 
*BOI:投資委員会Board of Investment
 投資優先計画で指定された分野に投資する企業はBOIに登録することに より各種優遇措置を受けることができる。
*SBMA:スービック湾首都圏庁Subic Bay Metropolitan Authority
 米軍基地跡のスービック湾港に投資する企業はSBMAに登録することに より各種優遇措置を受けることができる。
 
*格付け:建設業免許付与の際には、工事種別 classificationに応じて格付けcategorizationが付与される。例えば「一般建築」はAAAからDまで6段階で分かれている。
 
*@「JV等」の「等」とは、比海外建設許可業者との日本含む他国での契 約実績を有するこ とが望ましいこと。
 
*現在、在比日系建設会社の受注のうち、概ね件数で全体の約5割超が PEZA, BOI, SMBA登 録企業のもの。
  なお、海外建設協会の調べによると、過去3年間の在比会員企業(日系 建設会社)の受注 計210件の内訳は下記のとおり。



 
     件数・比率   金額比率
 国際入札
 PEZA等
   計
  34件(16.2%)
 107件(51.1%)
 210件
 63.4%
 16.8%
 
 
2.期待される効果
(1)現在進出している日系建設会社にとって、@本邦支店(日本資本 100%)  での受注、売上・利益計上できる機会が増えるとともに、A手続の見直し  により、負担軽減が図られる。
(2)併せて、日系建設会社の比への新規参入が容易となる。
 
3.建設業に係る日比官民協力の推進
 今回のEPA交渉を機会に、日比建設会社のビジネスマッチングと将来の 協働関係構築を目指して、今後、以下のような取り組みを推進していく予定。
(1)日比官民合同会議の開催(2005年)
(2)日比建設業に係る調査研究
(3)在比日系建設会社や我が国の建設業制度に係る情報提供体制の充実