環 境 政 策 大 綱
建 設 省
平成六年一月
目 次
    前文

T 国土形成における環境政策の理念

1 ゆとりとうるおいのある美しい環境の創造と継承
2 健全で恵み豊かな環境の保全
3 地球環境問題への貢献と国際協力の推進
U 環境政策の推進方策
1 環境計画の策定
2 法令、基準等における環境に関する規定の充実
3 環境に関する施策の重点的、総合的推進
4 環境影響評価等の充実
5 環境リーディング事業の推進
V 環境政策の推進体制
1 国民と行政が協力して進める環境保全・環境創造
2 建設産業における環境対策への取組の充実
3 環境技術開発と環境教育の充実
4 推進体制の充実

環境政策大綱骨子



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一  「環境」は、大気、水、土、生物などの自然物と公共施設、住宅・建築物な
 どの人工物から構成され、人間の諸活動は、このような広い意味での「環境」
 を基盤として、その上で展開されてきた。われわれ人類は、長い歴史を通じて、
 自然の脅威から生活を守る安全の確保、人々の営みの活力の増進などのため、
 人間活動の基盤となる環境を、人間の生存・活動に適したものに作り変えてき
 た。

二 人間活動の活発化にともなって、その規模が大きくなり、環境への働きかけ、
 環境への影響が大きくなってくると、環境保全をいかに図るかが重要なものと
 なってきた。住宅・社会資本の整備は、事業実施の過程で自然環境に働きかけ
 る行為であることから、より良い環境を創造するという使命を果たす一方で、
 環境の保全に対して最大限の配慮を尽くすことが求められている。また、より
 良い環境の創造のためには、国土建設の役割は重要であり、景観や歴史など優
 れた文化が総合的に反映された空間として整備する必要がある。

三 さらに、近年、環境問題は地球規模へと拡がってきている。その中で、地球
 温暖化、オゾン層の破壊などは、国内での取組が必要な分野である。例えば、
 地球温暖化対策は、生活における省エネ・省資源と深い関係があり、地球環境
 保全においても住宅・社会資本整備の果たす役割は大きい。また、開発途上国
 では、社会資本整備の遅れが、自然破壊や公害の発生の原因になっている場合
 もあるため、環境保全のための施設整備とともに、産業、生活の基盤となる社
 会資本整備に対して、技術移転をはじめとする国際協力を積極的に進めていか
 なければならない。

四 自然や生態系は物質の循環系を形成するため、人間の活動がこれらに与える
 影響も複雑であり、これらに対する科学的な知見を蓄積し、解明し、国土建設
 分野の環境技術の一層の高度化を図ることが重要である。また、環境への影響
 を軽減・解消するミティゲーションを積極的に推進するほか、施設の長寿化を
 図るなど、そのライフサイクルを通じた資源エネルギー消費を軽減し、環境影
 響を軽減することが必要である。さらに、自然・生態系の重要性と、安全性や
 利便性という生活者のニーズへの対応を適切に調和させていかなければならな
 い。

五 こうした視点から、健全で恵み豊かな環境を保全しながら、人と自然との触
 れ合いが保たれた、ゆとりとうるおいのある美しい環境を創造するとともに、
 地球環境問題の解決に貢献することが建設行政の本来的使命であるとの認識を
 すること、すなわち「環境」を建設行政において内部目的化するものとする。
  この基本理念のもとに、制度面の充実、目標の明確化を進め、所要予算の適
 切な確保、国民の理解の増進、関係省庁、地方公共団体、建設産業、民間団体
 等との連携などを図りつつ、将来の建設行政全般にわたって、経済・社会の変
 化を先取りするとともに、国民のニーズを的確に反映させることにより、質の
 高い環境を備えた国土の実現を図ることとする。

六 この政策大綱は、平成四年十二月十八日に建設大臣の諮問を受けて設置され
 た「豊かな環境づくり委員会」(委員長 近藤次郎日本学術会議会長、現中央
 環境審議会会長)の提言(平成五年六月三十日)及びその後、平成五年十一月
 十九日に公布・施行された環境基本法の基本理念を踏まえ、二十一世紀初頭を
 視野においた、建設省の環境政策の基本的な考え方を明らかにするとともに、
 豊かさが実感できるような環境の創造を目指して中長期的に展開すべき政策課
 題と施策の展開の方向等を総合的にとりまとめたものである。


T  国土形成における環境政策の理念

 1 ゆとりとうるおいのある美しい環境の創造と継承    目次に戻る

  緑やオープンスペース、清らかで豊かな水による「ゆとりとうるおい」に恵
 まれた美しい環境を形成するとともに、人と人とが交流し、地域の個性をいか
 した文化の香り豊かな環境を形成する。
  このことにより、豊かさや満足の実感を伴う調和のとれた地域社会の基盤を
 形成するとともに、その文化性豊かな環境を、時代を超えて、将来へ継承する。

 @ 住宅・社会資本の整備やまちなみ形成を通じて、文化の香り高い地域づく
  り・まちづくりを推進する。

 ・美しく快適な都市空間の形成を目指して、市町村における街並み・まちづく
   り総合計画の策定を進め、これに基づいて景観形成を促進するための基盤の
  整備等を総合的に推進する。

 ・市街地整備事業等の推進、地区計画、建築協定、緑化協定の活用等により、
  文化性の高い落ち着きのあるまちなみなど質の高い都市空間を形成する。
  この場合、電線類の地中化の推進や屋外広告物の規制などにより、景観阻害
  要素の積極的排除を進めるとともに、市民、行政、企業を共同者として組織
  し、身近な地域環境整備をすすめるグラウンドワーク的な取組を支援する。

 ・道路、河川、公園、公共住宅、公共建築物等の施設について、景観デザイン
  を工夫し、緑地、ふれあいの場などを適切に配置するなどにより、利用者が、
  その地域のなかで、くつろぎ、交流することができる場を提供する。

 ・地域のニーズに対応しつつ、文化活動の中核となる施設を整備、誘導し、周
  辺の道路、公園、河川、下水道等と一体となった文化ゾーンを形成する。
  また、伝統的な芸能、祭り、イベント等の場として、道路、河川、公園等の
  施設を提供するとともに、関連施設を整備する。このことにより、地域社会
  のにぎわいの創出と地域文化の育成に貢献する。

 A 緑とオープンスペースの保全・創出を進める。

 ・緑の地区プランによるきめ細かな緑の保全・創出を行う新・緑のマスタープ
  ランに基づき、市町村の役割を強化しつつ、都市公園の整備、緑地の保全や
  緑化を推進する。

 ・緑地保全制度を充実し、民有緑地の適正な保全と利用を促進する。

 ・都市域の斜面を緑あふれる空間として整備する。

 ・土地区画整理事業等により宅地開発等の市街地整備を行う場合、緑とオープ
  ンスペースの整備を推進する。

 ・公共施設の整備に当たり、緑とオープンスペースをその構造上の要素として
  組み込み、その確保を図る。

 ・道路を、歩きやすさや緑とオープンスペースの確保などの視点に立って、環
  境空間として整備する。

 ・河川、海岸、都市下水路の水辺等を、人々にやすらぎ、うるおい、憩いを与
  え、多様性豊かな生態系を育む緑豊かなオープンスペースとして、また水と
  緑のネットワークとして整備する。

 B 清らかな水質と豊かな水量に恵まれた水環境の形成を進める。

 ・公共用水域や水道水源の水質等を改善するため、流域別下水道整備総合計画、
  河川環境管理基本計画等に基づき、高度処理を含む下水道整備、高度合併処
  理浄化槽の設置、河川浄化等の一層の推進を図り、計画的に水環境形成を進
  める。

 ・特に重点的に水質の改善を要する河川、湖沼において、清流ルネッサンス21、
  湖沼水環境改善長期計画に基づく緊急的・重点的水質改善を進める。

 ・治水、利水のための管理に加え、環境の観点から必要な流量を満たすような
  正常流量を設定・確保するため、様々な手法による総合的な施策の展開を図
  る。

 C 地域の歴史的、文化的遺産を継承する。

 ・桜づつみ、歴史国道、歴史的な建築物や構造物、史跡・名勝その他の地域固
  有の優れた歴史的、文化的遺産を保全し、整備し、活用することにより、将
  来に継承する。

 ・住宅・社会資本を整備する際には、歴史的、文化的遺産と一体となった良好
  な周辺環境を形成することに努め、地域全域における歴史や文化の育成、継
  承を図る。

 2 健全で恵み豊かな環境の保全    目次に戻る

  すぐれた自然環境をできるだけ保全し、環境への影響を軽減、解消する再自
 然化その他ミティゲーションを積極的に行う。
  また、環境と調和した施設整備を進めるとともに施設の長寿化、省資源・省
 エネルギー、資源のリサイクル、未利用エネルギーの活用などを含め、環境影
 響の軽減に役立つ住宅・社会資本整備を進める。
  さらに、エネルギー、資源、自然などを包括的に視野に入れた質の高い都市
 環境を実現する。

 @ 自然環境の保全などの総合的な環境施策を進める。
 
 ・河川内の動植物の生息状況、河川の利用状況を明らかにし、河川及びその流
  域に分布する貴重な生態系及び野生生物種を保全する。

 ・河川において、自然を保全する区域、人間の利用のために整備する区域など
  にゾーニングすることにより、自然と人間との整然とした共生を図る。

 ・多様性豊かな生態系の保全・育成を図るため、多自然型川づくり等により多
  様性豊かな環境条件の再生創出に努める。

 ・道路のルートや構造の検討にあたって、動植物の分布状況等の地域の自然環
  境等に関する調査を踏まえ、自然との調和を目指したルート選定等を行う。

 A 自然環境・生態系への影響を最小限とするため、自然の改変にあたっては
  ミティゲーションを積極的に推進する。

 ・魚道や野生生物の横断用施設など、環境へのマイナスの影響を軽減・解消す
  るための施設構造や工法上の対応を行い、影響を受ける動植物の適切な保護
  ・増殖を行う。

 ・住宅・社会資本の整備をする際に、潜在自然植生の活用等による改変した自
  然の現地又は近傍での復元を行う。

 B 道路交通における省エネルギー、沿道環境の保全など総合的な環境施策を
  進める。

 ・体系的道路網整備、モーダルミックス政策、交通需要マネジメント、物流施
  策等により道路交通における省エネルギー化を図るとともに、交通の円滑化
  を進める。

 ・環境施設帯や、沿道景観の保全及びドライバーの快適性を確保する新型遮音
  壁等の遮音壁の設置、緑化等の道路構造対策により良好な道路空間を形成す
  る。

 ・緩衝建築物の建築など幹線道路に適した沿道の土地利用の誘導を進める。

 ・高架道路の併設された道路、堀割り部、トンネル坑口等において、吸音板を
  設置するほか、低騒音舗装を実施することにより、沿道の道路騒音を低減す
  る。

 C 都市における総合的な環境の取組を推進する。

 ・質の高い都市環境を形成するため、省エネ・省資源、都市内の自然・生態系
  の保全・創出、うるおいのある空間形成などを目指して、土地利用、公園、
  下水道、河川、都市交通分野などにおける都市環境基盤を形成する施策を総
  合的に推進する。

 D 都市域における適正な水循環を形成するための取組を推進する。

 ・雨水貯留浸透施設の設置、透水性舗装、下水道の再生水の利用等を進め、都
  市域における適正な水循環の形成を図る。

 E 社会資本を活用した省資源・省エネルギー等の推進を図る。

 ・宅地開発、土地区画整理や再開発などの市街地整備等を行う際に、地域冷暖
  房、中水道、廃棄物処理システムの導入を検討する。

 ・太陽光、地熱、河川水熱、下水処理水熱等の未利用のクリーンエネルギーを
  活用するための社会資本を整備する。

 ・下水処理水の再利用、雨水の利用、下水汚泥の有効利用など、資源の有効活
  用を進める。

 F住宅・建築物の分野における省エネルギーなどの環境施策を推進する。

 ・住宅や建築物の省エネルギー基準を充実するとともに、住宅金融公庫融資等
  を活用し、省エネルギー化を推進する。

 ・省資源、省エネルギー、自然との調和等を総合的に組み込んだ環境共生住宅、
  環境低負荷型建築物の建設を低利融資や税制上の措置等により促進する。

 ・建築物のライフサイクルを通じた省エネルギーに資するため、官公庁施設等
  において総合的維持管理手法の開発、普及を図る。

 G 建設副産物の発生抑制、再生利用、適正処分など、総合的な建設副産物施
  策を推進する。

 ・地方の状況等に即して地方ごとの建設副産物再利用推進計画(アクションプ
  ログラム)を策定し、再利用のための情報システムの整備、ストックヤード
  等再生利用に必要な施設を誘導する。

 ・税制上の措置や低利融資等により建設副産物の発生抑制・再生利用のための
  技術開発、再資源化施設整備を促進する。

 ・技術基準・積算基準を整備するとともに、リサイクルモデル事業を推進する
  ことにより再生材の利用を促進する。

 3 地球環境問題への貢献と国際協力の推進    目次に戻る

  地球温暖化、オゾン層の破壊、熱帯林の減少等の地球環境問題に貢献すると
 ともに、環境問題に関する先進国及び開発途上国との協力を促進し、開発途上
 国に対しわが国の経験を生かしつつその国の状況に適したきめ細かな支援を行
 う。

 @ 住宅・社会資本の整備に際し、地球環境問題に資する施策を行う。

 ・地球温暖化の防止として、2に述べたエネルギー消費の削減策や緑化の推進
  により、CO2 排出の少ないまちづくり等を推進する。

 ・特定フロン(フロン11、12等)等の建設分野での使用量を削減して、オゾン
  層の破壊への対応を行う。官庁施設整備においては、オゾン層を破壊する特
  定フロンを使用した冷房システムの採用を全廃する。

 ・熱帯木材を用いた合板製型枠の効率的・合理的利用を図るため、技術開発や
  パイロット事業等を推進する。

 A 開発途上国に対しきめ細かな支援を行う。

 ・地球温暖化の影響評価、開発途上国に適した下水処理技術等の研究開発を国
  際的な協力の下で推進する。

 ・開発途上国援助に際し、開発プロジェクトの発掘・形成段階から、環境面を
  含めた検討の強化を図り、直接、居住環境改善に資する事業の推進に向けて
  協力を強める。

 ・開発途上国の大都市において、モデル都市を定め、国土利用計画、土地利用
  計画を含めた環境整備の総合計画を策定するとともに、その普及を図るため、
  大都市環境創出マスタープラン策定調査を推進する。

 ・人工衛星を利用したリモートセンシング技術を活用して内外の地理情報を整
  備・管理し、地球規模の環境問題を正確に把握・分析するため、技術開発の
  推進等について国際協力の確立を図る。

 ・砂漠地域の環境改善や広域的な水管理等の一国の枠を超えた課題に対応した
  社会資本整備の推進に貢献する。

 ・開発途上国に対するきめ細かな支援を進めるため、人的交流を通じた技術・
  意見の交換を行うとともに、協力・支援のための意欲的な人材の養成に努め
  る。


U 環境政策の推進方策

 1 環境計画の策定    目次に戻る

  住宅・社会資本を整備し、ゆとりとうるおいのある環境を創造し、人間の諸
 活動から生じる環境への影響を軽減し、環境との調和を図ることを積極的に推
 進するため、環境政策達成のための計画を明らかにする。

(1)建設行政の各々の分野において環境計画を作成し、良好な生活環境の創造、
  自然との共生、省エネルギー、リサイクルをはじめとした環境施策を実施す
  る。

 ・環境共生住宅推進計画
  地球温暖化防止行動計画の達成に貢献するため、住宅部門において、省エネ
  ルギー、省資源、自然との共生を図った環境共生住宅の普及目標、目標達成
  に向けての普及促進策等を「環境共生住宅推進計画」としてとりまとめ、所
  要の施策の総合的な推進を図る。

 ・都市環境計画
  環境負荷の軽減、自然との共生及びアメニティの創出を図った質の高い都市
  環境の形成を目標とする都市環境計画を市町村が作成し、これに基づき環境
  共生都市の総合的、計画的整備を図る。

 ・河川環境管理基本計画等
  河川水辺の国勢調査等の基礎的環境調査により把握された河川等の特性、利
  用形態等を踏まえ、地方公共団体等の意見を広く求めて、河川等の良好な環
  境の保全と創出に係る基本的事項を河川等の管理者が定める河川環境管理基
  本計画、渓流環境整備計画、沿岸域保全利用指針を策定し、施策の総合的な
  推進を図る。

 ・道路環境計画
  地域の環境の現状、社会・経済の状況、道路交通の状況等の地域特性を踏ま
  え、地域の道路環境形成の基本方針、個別の路線や地区についての道路環境
  形成の目標、目標達成に向けての施策等を「地域道路環境計画」として関係
  道路管理者がとりまとめ、所要の施策の総合的な推進を図る。

 ・新・緑のマスタープラン
  緑地の総合的な整備、保全を図るために、都市計画における基本的な計画の
  一つとして、「新・緑のマスタープラン」を都市計画区域ごとに市町村が策
  定する。

 ・流域別下水道整備総合計画等
  河川等公共用水域の水質環境基準を達成するため、水域または海域ごとに河
  川流量等の自然的条件、土地利用の見通し等を勘案し、下水道整備の総合的
  な基本計画として都道府県が策定する。また、高度処理を計画的に促進し湖
  沼、閉鎖性海域、水源となる河川等の水質の保全を図り、併せて良好な水環
  境の形成や増大する水需給に対応するための計画として「特定水域高度処理
  基本計画」を都道府県等が策定するなど各種計画を策定する。
  また、こうした計画に併せ、環境施策に係る整備の目標・水準や投資規模等
  を明らかにし、建設行政に係る環境施策を総覧するための長期計画を策定す
  る。

(2)五箇年計画、緑のマスタープラン、流域別下水道整備総合計画等に基づく
  目標のみならず、現在目標を定めていない分野においてもその設定を検討す
  る。

 ・建設副産物について地方別再利用目標を設定する。

(3)自然、緑、景観などの施策の効果についての目標の定量化が難しい分野に
  おいても事業量の目標を定める。

 ・生態系に着目した水と緑を体系的に整備するエコネットワーク、エコロード
  について、目指すべき目標や水準、その整備手法などを検討し、その計画を
  明らかにする。

 2 法令、基準等における環境に関する規定の充実    目次に戻る

  建設行政において環境の視点の明確化を図るため、

 ・まちなみ形成、緑とオープンスペースや水環境の形成など文化性の高い美し
  い環境の創造と継承への要請に対応する。

 ・自然環境の保全、環境影響の軽減、省資源・省エネ、建設副産物や下水汚泥
  等のリサイクルなどの要請に対応する。

 ・環境に関して新たに得られた知見や新技術を実際の事業や諸基準、指針等に
  迅速に反映させる。

 などを基本的な視点にすえて、社会資本の整備、管理、構造に関する法令や環
 境に関する諸基準、指針等について所要規定等の見直し又は策定を行う。

 3 環境に関する施策の重点的・総合的推進    目次に戻る

  施策のプライオリティを明確にするとともに、総合的な推進を図る。

 @ 価値観やニーズの変化、問題の緊急性、先取り的対応の必要性、わかりや
  すさなどを勘案し、施策のプライオリティについて不断の見直しを進める。

 A 類似目的の施策については、各施策の目標、計画の整合化を図る。例えば、
  下水道及びその類似施設については、広域的、総合的な汚水適正処理構想の
  策定などを推進する。

 B 河川に対する流域からの汚濁物質の排出あるいは道路の利用に伴う環境へ
  の影響などの問題は、広範な人間活動や企業活動に起因するものであり、施
  設整備による対応とあわせ、施設利用の背景である産業、土地利用、生活な
  どの需要側を含めた多面的アプローチを行う。

 ・河川の浄化、下水道の整備等に併せ、流域を含めた総合的対応として、生活
  排水対策、節水に関する意識の啓発をはじめとする各家庭における対策につ
  いて行政部内で連携を図りつつ推進する。

 ・沿道の都市構造、土地利用に係る施策、モーダルミックス政策、交通需要マ
  ネジメントを活用した総合的な渋滞対策、物流システムの高度化・効率化な
  どの施策について、総合的に推進する。

 C 施設の物理的・経済社会的耐用性を高め、また高水準の維持管理により施
  設の機能の十分な発揮を図ることが、環境への影響を軽減する観点からも重
  要である。施設の耐久性に関する技術の高度化とともに、これらを一体的に
  視野に入れた官庁施設の計画・整備、住宅の耐久性の向上を図るためのセン
  チュリーハウジングシステムの普及、ロングライフ住宅の整備等を推進し、
  更新による資源・エネルギー消費と副産物の発生を抑制する。

 4 環境影響評価等の充実    目次に戻る

  環境と調和した住宅・社会資本整備を進める上では、環境への影響を的確に
 予測・評価することが不可欠であり、環境影響評価を中心とする事業の評価シ
 ステムを一層充実させていくこととする。
  また、環境影響評価のあり方について調査研究を進め、その結果を踏まえ、
 経済社会情勢の変化等を勘案しつつ、必要な見直しについて検討する。

 @ 現行環境影響評価の充実

  現行の環境影響評価については、経済社会情勢の変化等を勘案しつつ、対象
 事業、事業規模要件について必要な検討を行うとともに、科学的知見の進展に
 応じ、必要な技術基準等の見直しを行う。

 A 諸外国の環境影響評価の調査及び成果の活用

  環境影響評価及びその運用の充実・改善を図るため、諸外国における環境影
 響評価や事業実施に関する諸制度について、制度・運営の実態や技術的手法の
 開発の状況に関する調査・研究を推進する。

 B 環境技術懇話会(仮称)による科学的知見の充実

  各専門分野の有識者からなる「環境技術懇話会」(仮称)を設置するととも
 に幅広い分野から最新の科学的知見を得て、環境影響評価等の環境技術の向上
 を図る。

 C 計画段階における調査・検討の充実

  公共事業の構想・計画段階においては、環境面を含めた十分な調査、環境へ
 の影響の防止のための対策の検討等を行い、総合的にみて最適な事業計画の作
 成が行えるよう、最新の知見により、計画段階における調査・検討を充実する。

 D フォローアップの充実

  公共事業を進めるにあたり、環境影響評価の予測の正確さや講じた対策の実
 際の効果を把握し、当該事業又は同種の事業への反映の仕組みを確立する。

 E 総合的な評価システムの検討

  公共事業については、安全性、利便性への配慮はもとより、環境面への影響
 を十分配慮して総合的な判断の下に的確に実施することとし、そのための総合
 的評価システムの構築について検討を行う。

 F CO2 収支の観点からの評価

  CO2 の排出が地球環境に及ぼす影響の重要性に鑑み、事業に係るCO2 収
 支を評価するための手法の開発について検討する。

 5 環境リーディング事業の推進    目次に戻る

  環境政策を先導する事業を実施し、住宅・社会資本整備の環境に対する効果
 を目に見える形で示し、利用者など国民の理解を促進する。

 @ 環境共生住宅、環境低負荷型建築物の普及及び供給の促進を図る。

  太陽や風のエネルギー、緑等の自然の活用、雨水・排水の再利用、生ゴミを
 分解処理し、肥料とするコンポストの活用、省エネルギー型建築設備の導入等
 により省エネルギー、リサイクル及び自然環境との調和を図る21世紀に向けた
 先導的な住宅・建築物の普及及び供給並びにこれらに係る宅地開発の促進を図
 る。

 A エコシティ(環境共生都市)の整備を推進する。

  環境と共生した都市づくりを推進するため、モデル都市を選定し、環境負荷
 の軽減、自然との共生及びアメニティの創出を図った質の高い都市環境の形成
 を目指した都市環境計画を策定し、それに基づき、省エネルギー、リサイクル、
 適切な水循環等各種の先導的な環境保全・創造施策や技術を導入しつつ、モデ
 ル的、先導的に都市環境整備を推進する。

 B 多自然型川づくりを推進する。

  河川改修等に当たって、瀬と淵を保全又は再生し、川幅を広くとれるところ
 は広くし、植生や自然石を利用した護岸を採用するなど、自然の川の持つ多様
 な機能を尊重し、多様性に富んだ環境の保全を図ることにより、生物の良好な
 生息・生育環境及び自然の川らしい美しい風景を保全・創出するほか、海から
 川をさかのぼる魚等に配慮して、堰、ダム、砂防ダム等にロック式魚道等を設
 置し、そ上や降下にできるだけ支障を与えないようにする。
  また、河川における多様な生態系の保存、復元のため、ビオトープの形成を
 図る。

 C エコロードの整備を推進する。

  道路のルートや構造の検討に当たって、動植物の分布状況等の地域の自然環
 境等に関する調査を踏まえ、自然との調和を目指したルート選定等を行うとと
 もに、自然環境の豊かな地域では、必要に応じ、橋梁・トンネル構造等地形・
 植生の大きな改変を避けるための構造形式の採用を図る。
  また、動物が道路を横断するための「けもの道」の確保、野鳥の飛行コース
 に配慮した植樹、小動物がはい出せる側溝、産卵池の移設等、生態系全般との
 共生を図るための構造・工法の採用を推進する。

 D 環境と共生した公共建築物の整備を推進する。

  省資源・省エネルギーに配慮した建築材料、機材の活用や、まちなみと調和
 のとれた外部環境の設計、緑化等を取り入れるなど、公共建築物の立地条件、
 規模等に応じた対策を的確に講じ、官庁オフィス21計画の実施等により公共建
 築物の整備を推進する。

 E 下水処理水の再利用・熱利用等を行う下水道事業を推進する。

  下水処理水、熱、下水汚泥などを資源・エネルギー源として、雑用水、冷暖
 房、コンポスト等の用途への有効利用を推進することによって、リサイクル社
 会の実現を図る。

 F 自然生態観察公園(アーバンエコロジーパーク)の整備を推進する。

  野鳥等の小動物の生息地、代表的な植物群落など質の高い緑地環境の保全・
 創出を図るとともに、都市に自然を呼びもどし、人間と生物がふれあえる拠点
 となる自然生態観察公園(アーバンエコロジーパーク)の整備を推進する。


V 環境政策の推進体制

 1 国民と行政が協力して進める環境保全・環境創造    目次に戻る

  国土を、すべての国民が共有する真に豊かな環境を備えたものとするために
 は、国民と行政が密接に協力して、環境保全と環境創造を進めていく必要があ
 る。特に、身近な地域の環境づくりの分野、住宅・社会資本の整備・管理に当
 たって必要な地域環境情報の把握及びその提供の分野並びに住宅・社会資本の
 利用の分野にあっては、国民と行政の協力が不可欠である。

 @ 国民の理解を得るための情報の提供を行う。

 ・良好な社会資本の整備を行うため、事業の内容及びそれに係る環境の状況、
  環境の保全に関する施策や類似事例などに関する情報を、適切に提供するよ
  うに努める。

 A 地域環境情報等有益な情報提供や提案を活用する。

 ・住宅・社会資本の整備・管理に当たっての地域環境情報等有益な情報提供や
  提案の活用を進めるため、河川環境保全モニター制度等のシステムの活用・
  拡大、地域に密着して研究活動を行っている人々や市民団体からの情報提供
  システムの構築、民間団体等への支援を推進する。

 B ボランティア活動に対する支援を強化する。

 ・各種まちづくり団体、河川、道路、公園等愛護団体、自然保護団体等が身近
  な地域について行う市街地緑化、水質汚濁防止、廃棄物再利用等のボランテ
  ィア活動に対する支援を強化する。

 ・市民と連携した環境づくりに資するため、市民、行政、企業を共同者として
  組織し、身近な地域の環境づくりを進めるいわゆるグラウンドワーク的な活
  動を支援する。

 C 住宅・社会資本の利用者である国民に対し、環境に対する影響の少ない利
  用のあり方等を提案するため、次のような施策を講ずる。

 ・環境と調和した社会資本の整備や省エネ、省資源、リサイクルなどに対応す
  ることが時間やコストなどの増加を伴う面があることについての理解を求め
  る。

 ・道路については、相乗りの促進や時差出勤、フレックスタイムの導入や物流
  システムの高度化・効率化等により自動車交通の円滑化を図る交通需要マネ
  ジメントのための施策を推進する。

 ・日常生活の中で環境に対する負荷の軽減を促進し、環境と調和したライフス
  タイルの確立と普及を図るため、適切な冷暖房温度のあり方等環境に対する
  影響の少ない生活をチェックできる環境共生ライフガイドを作成・公表する。

 ・生活排水による汚濁負荷を削除するため、各家庭でできる対策や、節水に対
  する意識を向上させるための施策を推進する。

 2 建設産業における環境対策への取組の充実    目次に戻る

  建設業、不動産業、住宅産業等のいわゆる建設産業においては、既に、熱帯
 材の使用削減目標の設定、企業ベースでの開発途上国の環境対策への支援など
 が進められているが、建設産業の魅力を増し、環境創造産業としての更なる発
 展を図るため、建設業界全体として行う取組の強化について、行政においても
 支援を行う。

 @ 建設産業全体が環境対策として自主的に取り組むべき事項を網羅した行動
  規範の策定を推進する。

 ・建設産業団体及び行政からなる「地球環境問題に関する検討委員会(仮称)」
  を設け、地球環境問題に対処する建設産業の行動規範のとりまとめを図り、
  これに沿った建設産業団体、個別企業ごとの行動の規範づくりを推進してい
  く。

 A 地球環境問題等の解決に役立つ技術開発の総合的推進を図る。また、民間
  における環境技術等の研究開発に対し、官民共同研究の実施、研究成果のパ
  イロット事業等での積極的活用等を行う。

 B 環境の観点からの資材や機械の選別を行うなど、資材業界、建設機械業界
  等の関係分野との連携を強化する。

 C 発注者及び設計者に対し、建設副産物のリサイクル、熱帯木材型枠の使用
  削減を行うこと等環境配慮事項について積極的に提案する。

 D 海外で活動する企業は、地球環境保全を含め、幅広い国際貢献を推進する。

 ・海外で活動する企業が行っている環境保護のための技術移転、施設整備など
  現地社会における地球環境の保全・創造に係る貢献に対し、国として公益法
  人と共同しつつ、 これら民間による国際貢献を促進する事業を実施する。

 E 建設産業として地域社会への貢献、海外環境協力、環境技術開発等を進め
  るため、専門的組織の設置の検討も含め、的確な組織体制を整備する。

 3 環境技術開発と環境教育の充実    目次に戻る

(1)技術開発の目標を明確にし、計画的に技術開発を進めるとともに、開発さ
  れた新技術・新工法を積極的に現場で活用し、技術の普及を促進する。また、
  環境関係の技術やデータの蓄積及びそのデータベース化を推進する

 @ 環境の保全だけでなく、持続可能な発展とよりよい環境の実現を目指して
  いくためには、

 ・環境と調和した国土建設のための環境技術の開発

 ・豊かな環境の創造のための環境技術の開発

 ・省エネルギー、リサイクル等に関わる環境技術の開発

 ・地球環境の保護のための環境技術の開発

 ・環境の調査、観測、予測、評価技術の開発

 などの技術的側面の取組が不可欠である。

 A 技術開発に当たっては、事業実施部門から研究開発部門へのフィードバッ
  クを図り、開発された新技術・新工法の現場での技術的検証、現場の必要と
  する技術的課題に対応した新技術の開発の促進など、実証的、即地的な取組
  を行う。

 B また、先駆的な環境技術には、民間ベースでは革新的な技術やアイデアを
  持っていながら、開発リスクの負担や公共事業への適用可能性の問題もあり、
  十分な開発・普及が図られにくいものがある。したがって、官民による共同
  研究、パイロット事業等の公共事業の現場における検証等により、その積極
  的な開発・普及を図る。

 C 地形、植生、土地利用等の地理情報データベースや、さらに地理情報に生
  態系、水質、騒音、振動等の環境に関するデータ及び交通、産業等のデータ
  を加えた国土環境情報データベースを開発、整備するなど、環境関係の技術
  やデータの蓄積及びそのデータベース化を推進する。

 D 研究開発を円滑に進めるために、土木研究所及び建築研究所における環境
  に関する調査研究や国土地理院における「地球地図」の作成等環境の保全・
  創造に役立つ業務や国際的な研究協力の充実を図る。

(2)豊かな環境を創造するために、それを支える人材の養成を行う。そのため、
  研修の充実や様々な分野の有識者との交流をさらに活発に行う。

 ・建設大学校、地方建設局等建設省の各機関、地方公共団体、環境関連公益法
  人において、「環境」について、識見、意欲、感性のある「人」を得るため、
  人材の養成に努める。

 ・その一環として、各機関、法人の研修カリキュラムの環境コースの充実を図
  る。

 ・「環境」への取組には、動植物、気象、水文、経済、地域の歴史・文化など
  をはじめ、自然科学、人文・社会科学を通じた幅広い専門的知見を必要とす
  ることから、様々な分野の有識者との交流を図るとともに、国内外を問わず、
  大学、民間等の研究機関等との交流・連携を強化する。

 4 推進体制の充実    目次に戻る

  この大綱に盛り込まれた各種施策を円滑かつ的確に実施していくためには、
 実施体制の充実を着実に図っていく必要がある。このため、次のような施策を
 講ずる。

 @ 環境施策の推進体制等を充実する。

 ・建設省環境本部(本部長 事務次官)において、環境施策に係る基本的な方針
  等をとりまとめることにより、施策の総合的な展開を図る。

 ・その進捗状況については、建設白書を通じて明確にする等により、フォロー
  アップを充実する。

 A 研究機関の横断的な研究体制を整える。

 ・技術開発五箇年計画や建設技術研究開発のビジョンに環境に係る技術開発の
  推進を重点課題に位置づけるとともに、総合技術開発プロジェクト等を通じ、
  国土地理院、土木研究所及び建築研究所の環境分野における横断的な研究体
  制を整える。

 B 第三者の意見を反映させる仕組みを作る。

 ・幅広い分野から第三者の意見を各種施策や事業に積極的に反映させるため環
  境アドバイザー制度等を設ける。

 C 環境事業団等の基金業務による民間団体等に対する支援を図るとともに、

  環境関連公益法人においては、各種データの蓄積、技術のデータベース化、
  調査・研究、人材育成、啓発普及を行うなど、環境問題への対応を高度化す
  る。

 D 広報機能を充実する。

 ・住宅・社会資本整備に対する国民の理解を得るため、環境施策の概要や適切
  な事例の紹介をはじめとした広報機能を充実し、事業の企画から実施に至る
  各段階ごとに、事業の必要性、効果、環境施策等をわかりやすく説明するな
  ど表示方法を含め、様々の工夫を進める。







          環境政策大綱骨子    目次に戻る


 「環境」は、大気、水、土、生物などの自然物と公共施設、住宅・建築物など
の人工物で構成され、人間の諸活動はこのような「環境」を基盤として展開され
ている。建設行政は、住宅・社会資本の整備を通じて、自然の脅威から人々の生
活を守り、清潔でうるおいのある空間を創出し、人々の営みの活力を増進する基
盤を形成するなど、安全、快適で豊かな環境を創造する努力を積み重ねている。
 このような人間生活の基盤づくりの中で、健全で恵み豊かな環境を保全しなが
ら、人と自然との触れ合いが保たれた、ゆとりとうるおいのある美しい環境を創
造するとともに、地球環境問題の解決に貢献することが建設行政の本来的使命で
あるとの認識をすること、すなわち「環境」を内部目的化するものとする。
 質の高い環境を備えた国土の実現のために、所要の予算の適切な確保や国民の
理解の増進を図りつつ、以下に示す基本方針に基づき、施策を着実に推進する。


T 国土形成における環境政策の理念

(ゆとりとうるおいのある美しい環境の創造と継承)
一 人と人とが交流し、緑やオープンスペース、清らかで豊かな水による「ゆと
 りとうるおい」に恵まれた、文化の香り豊かな美しい環境を形成するため、地
 域の特色や個性を活かした住宅・社会資本の整備を推進する。

(健全で恵み豊かな環境の保全)
二 すぐれた自然環境をできる限り保全し、環境への影響を軽減、解消する再自
 然化その他のミティゲーションを行う。また、環境への影響を軽減するため、
 沿道環境の整備を推進するとともに、省資源・省エネルギー、リサイクルを推
 進する。

(地球環境問題への貢献と国際協力の推進)
三 被害、影響が国境を越え、地球規模にまで広がる環境問題、または、先進国
 をも含めた国際的な取組が必要とされる開発途上国の環境問題について、国際
 協力を含め、積極的な対応を行う。


U 環境政策の推進方策

(環境計画の策定)
一 建設行政の各々の分野において環境計画を作成し、良好な生活環境の創造、
 自然との共生、省エネルギー、リサイクルをはじめとした環境施策を実施する。
  また、こうした計画に併せ、環境施策の整備目標・水準や投資規模等を明ら
 かにし、建設行政に係る環境施策を総覧するための長期計画を策定する。

(法令、基準等における環境に関する規定の充実)
二 建設行政において環境の視点の明確化を図るため、社会資本の整備、管理、
 構造に関する法令や環境に関する諸基準、指針等について所要規定等の見直し
 又は策定を行う。

(環境に関する施策の重点的・総合的推進)
三 多くの分野にわたる環境施策を実効あるものとするために、施策のプライオ
 リティを明確にし、多岐にわたる施策を集中的かつ重点的に実施するとともに、
 施策の総合的展開を図る。

(環境影響評価等の充実)
四 環境と調和した住宅・社会資本整備を進める上では、環境への影響を的確に
 予測・評価することが不可欠であり、環境影響評価を中心とする事業の評価シ
 ステムを一層充実させていくこととする。

(環境リーディング事業の推進)
五 環境政策を先導する事業を実施し、住宅・社会資本整備の環境に対する効果
 を目に見える形で示すことにより、利用者など国民の理解を促進する。


V 環境政策推進体制

(国民と行政が協力して進める環境保全・環境創造)
一 国民の理解を得るための情報の提供を行うとともに、各種団体等が行う環境
 整備に関するボランティア活動等への支援を行う。また、住宅・社会資本の整
 備・管理に当たっての地域環境情報等国民からの有益な情報提供や提案の活用
 を図るとともに、住宅・社会資本の利用のあり方についての行政側からの提案
 等を行う。

(建設産業における環境対策への取組の充実)
二 建設産業を環境創造産業として位置づけ、建設産業が取り組むべき事項を網
 羅した行動規範の策定、地球環境問題などの解決に役立つ技術開発の推進、国
 際貢献の推進、環境問題への体制整備等の取組を強化するとともに、行政にお
 いても、このような取組に対して支援を行う。

(環境技術開発と環境教育の充実)
三 環境の創造、保全、再生に資する技術の開発と民間技術開発への支援を行う。
  また、技術研修の充実や様々な分野の人との交流などを通じた人材の養成を
 行う。

(推進体制の充実)
四 この大綱を円滑かつ的確に実施するため、実施体制等を充実するとともに、
 住宅・社会資本整備と環境との関わりについて国民の理解を得るため、広報機
 能を強化する。