日本の行政、企業社会は「微調整」は得意だが、大きなパラダイムの変化に応 じて既存のルール・システムを大変革することは、先輩や伝統、過去の経緯への
しがらみもあるのか消極的だ。現在の日本は、旧い秩序、制度、慣行などが音を たてて崩れ、新しい時代を迎えているが、その時代にあった新しいルール・シス
テムを作るには、まず「原則を自由にする」という発想からスタートすることが 大切ではないか。古いしがらみ、経緯にあまりとらわれることなく、新しい時代
の価値観をさぐりながら、よりよいものを創っていってもらいたい。
物事が成功するには法則がある。1番目は「夢」と「構想力」を持つというこ と、2番目は構想を実現する「方法」・「技術」と「システム」を作るというこ
と、3番目は「情熱」と「志」を持ってそれをやりとげるということである。行 政は「技術」「システム」作りを得意としてきたが、これからは、「夢」や「構
想」を描き、「情熱」「志」を保ちながらその実現に向けて取り組んで欲しいと 思う。
また、現代のキーワードとして、「変われないと生き残れない」ということを あげておきたい。かつては優良と言われた企業であっても、古いシステムや慣習
に縛られていたところは生き残れていない。行政もかつてのスタイルのままで は、時代のニーズに合わなくなり、生き残れなくなる可能性がある。欧米型の近
代化に追いつく「夢」と「構想力」の時代は終わった。今後は「上」からでな く、国民から「居心地良い、品性のある社会」の構想やアイディアについて対話
を行う、コミュニケーション型行政への転換を図り、新しいルール・システムの もとで、自らを変革していって欲しい。
人間にとって「奉仕」をすることは、最高の喜びであり、贅沢だと言われる。 どんな富や名声も結局は空しく、最後は必ず「奉仕」こそがもっとも人間的な喜
びだと言うのだ。その意味で行政マンや国会議員は実は最高に贅沢な職業につい ているのだということを自覚し、国家・国民への奉仕に対し、大きな志をもって
もらいたいと思う。
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