長野県・飯田市


16 りんご並木


写真1
 飯田市では、昭和二十二年に市内の約七割が焼失するという大火が発生し、復興時に造られた都市計画道路に、飯田東中学校の生徒により四十本のりんごの木が植えられた。
 この「りんご並木」は、生徒たちを中心に維持されてきたが、植えられてから約半世紀が経過し、木が大きく成長するとともに、車社会の進展により人や車との共存が難しくなってきた。
 そのため、りんごが育つ環境を都市の中に作り上げ、人が集まる楽しい街、次世代の子供のために誇れる整備を目標に、飯田市復興のシンボルともいえるりんご並木の再整備を行った。このプランは、飯田東中学校をはじめ十五の市民団体等で構成された、りんご並木まちづくりフォーラムにより策定された。
 整備にあたっては、りんご並木の心を引き継ぎ、人とりんごがふれあえる並木をめざし、りんごの植栽部分を大きく取りながら芝生を植えている。また、人々が自由に歩き、りんごの木と親しめるように、歩道と車道の区分けをなくし、飯田が城下町であったことから大手門広場や用水路を設けている。
 周辺は樹木も増やされ、電線の地中化も行われ、路面は煉瓦敷きにするなど、落ち着いたムードに包まれた公園のような道路に生まれ変わった。
 りんご並木の手入れや収穫は、飯田東中学校の生徒や市民によって行われており、まちづくりの中にふるさとの心が受け継がれた事業となっている。

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