兵庫県・朝来町


20 あさご芸術の森


写真1
 朝来町の多々良木地区は、奥行き七キロメートルほどの細長い谷にあり、中ほどに自然石を積み上げたロックフイルダムが設けられており、周辺には里山集落や竹林、雑木林が点在している。
 「あさご芸術の森」は、ロックフィルダムを巨大なキャンバスに仕立て、その前に野外彫刻を配置し、周囲の自然や景観を取り込んだ芸術公園として整備されたものである。
 整備にあたっては、大規模な造成等は行わず、使われなくなった田畑を修景する程度に留めており、これまで保たれてきた地域の風土・景観を重視し、谷全体がひとつの空間となるように工夫した。
 また、最初に植生調査を行い自然環境に配慮するとともに、自然を再生するためにビオトープの手法も取り入れ、人と自然にやさしい公園整備とした。美術館の建物についても、電力会社の工事終了を待って工事事務所を改築して再利用している。
 計画に際しては、地域住民をはじめ、アーティスト、専門家等による芸術の森作成委員会が結成され、整備内容や運営方法等が検討され、維持管理についても地域住民の協力を得ている。
 整備後は、スポーツ大会やフリーマーケット、コンサートなど、多彩なイベントの会場としても利用されており、美術館主催の講座も定期的に開催されている。

戻る