リサイクル:建設リサイクル推進計画 - 国土交通省

リサイクル

建設リサイクル推進懇談会

建設リサイクル推進懇談会提言(要約版)
「建設リサイクル推進の在り方について」

平成8年11月20日

1.背景(現状と課題)

  • 建設産業の環境行動の実践のための具体的な行動指針の要請
    建設産業界でもISO14001を見据え「環境創造産業」への転換を目指した自主的な取り組みの機運がある。
    本年10月に策定した「建設産業環境行動ビジョン」の具体的な行動指針として、建設副産物への新たな取り組みの在り方が求められている。

  • 他産業に比べ遅れている建設副産物のリサイクル
    建設廃棄物は全産業廃棄物に対し、排出量で21%、最終処分量で44%を占め、業種別では最大(H5)。
    建設廃棄物のリサイクル率は58%(H7速報値)と、産業廃棄物全体の79%(H5)に比較して低い。
    リサイクルプラン21により一定の成果は上がっているが、建設汚泥、建設混合廃棄物等のリサイクルは低迷。
    建設発生土については、搬出量が利用量の2倍以上ある等需給バランスが大きく崩れている中で、公共工事系での建設発生土の利用率は、H2からH7にかけ36%から32%(速報値)へと減少するなど後退。

  • 産業廃棄物処理システムへの依存と不法投棄問題等への対応
    建設産業はリサイクルの再資源化施設から最終処分場まで産業廃棄物処理システムに強く依存。
    この産業廃棄物処理システムは不法投棄問題などにより社会不信を招き、処分場の新設はほとんど困難な状況。
    不法投棄量の90%(重量ベース)は建設廃棄物とも言われており、排出事業者としての自立的な取り組み強化が求められている。

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2.新たな理念と基本目標

(理念)
建設工事に係る主体は、環境負荷の削減に向け、建設資源の省資源化及び循環利用を自主的かつ自立的に推進する。
あわせて、他産業等との連携を強化し、省資源・資源循環型社会の構築に向けて先導 的役割を果たし、建設産業を「ゼロ・エミッション」産業システムの中核として、活と魅力ある環境創造産業に転換する。

(基本目標)
建設副産物の発生を抑制し、とりわけ有害・危険な建設廃棄物については極小化を図る。他産業から発生するものも含め、建設資源のリサイクルの徹底を図り、新材投入量の可能な限りの削減に努め、再生利用可能な建設副産物(建設再生資源)の処分量ゼロを指す。

「建設リサイクル」とは、従来の建設副産物を対象とした取り組みの枠を越え、他産業からの再生資源も含む「建設資源」を対象にした省資源・資源循環への取り組みを表す新たな用語

「建設工事に係る主体」とは、工事発注者、建設業者及び建設コンサルタント等の建設関連業者
→基本目標イメージ図

3.施策の再構築

(1) 『自立』と『連携』の視点から基本施策を再構築

 建設リサイクルを推進するためには、建設工事に係る主体の認識を高めることが必要であり、それぞれの主体が「自立」して、自らの責任を果たすことが重要である。また、建設産業は、受注産業、組立産業、現地単品生産業という特殊な産業であり、典型的な受注産業であることから各産業等との「連携」が不可欠であり、「自立」と「連携」の視点から基本施策を再構築した。

→施策の再構築イメージ図

(2) 3つの基本施策

発生の抑制

  • 住宅等の一斉更新期を迎え、建て替えには発生抑制を第一とした施策の推進が必要
  • 計画、設計段階の取り組みが特に重要、工事発注者の自立した取り組みを促進
  • 発生抑制の数値目標を設定しガイドラインを策定
  • 建築物の長寿命化等に対する支援等を検討
  • 建材業界との連携による建築資材・製品のモジュールの統一化等を推進

再利用の促進

  • 公共事業等による再生資源の積極的利用拡大
    (リサイクルリーディング事業、大規模再生資源活用事業等、リサイクルモデルタウン事業の創設)
  • リサイクル目標の設定、再利用基準等の整備、情報交換体制を整備等
  • リサイクル施設の立地支援、民間事業におけるリサイクル促進への公的支援等
  • 公共工事自らによる再資源化施設整備(ストックヤード、土質改良プラント等)

適正処理の推進

  • 排出事業者、工事発注者が自立的な取り組みを強化することでその責任を果たし、不法投棄を生じさせない産業システムの構築に貢献
  • 廃棄物処理行政と連携し、優良廃棄物処理業者の選定及び適正な評価、経営的・技術的支援等により廃棄物処理業界の近代化に寄与

(3) 基本施策を支える3つの基盤施策を構築・推進

しくみづくり

  • 自立的な取り組みを促すための監視、評価等への公的な関与が必要
  • しくみとして自立的な取り組みが可能となるまでの支援措置、あるいはリサイクル施設等の社会基盤の公的整備といった公的な支援の実施

技術開発

  • さらなる技術フロンティアを開拓し、ライフサイクルアセスメント(LCA)の確立、既存技術の総合化、情報の高度化、市場形成のコスト分析等を、大学等を加えた幅広い連携の中で推進

理解と参画

  • 国民全体が自らの問題として建設リサイクルへの取り組みに参画する意識を醸成するため、広報活動の充実、わかりやすい目標の設定、教育・研修の充実等を推進

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4.具体施策の提言(代表例)

 提言においては、3つの基本施策及び3つの基盤施策について具体的な施策を示し、また、個別課題への対応として、建設副産物の品目ごとの取り組みの在り方を示した。
 それらの中から、以下に代表的な施策を取り上げる。

(1)発生抑制に対して具体的施策を

  • 発生抑制等の数値目標(ガイドライン)設定
    事業種別、工事種別ごとのきめ細やかな発生量、再利用量等に関するガイドラインを設定し、計画・設計、施工計画策定等へ反映する。
  • ISO14001等による環境管理システムの導入(パイロット事業等)
  • 建材業界との連携による建築資材・製品のモジュール化の統一

(2)公共工事におけるリサイクルの徹底

  • 建設省直轄工事3R(Reduce,Reuse,Recycle)徹底事業
  • リサイクルリーディング事業
    技術開発、リサイクル市場形成等の面でのフロンティア開拓事業を創設する。
  • 大規模再生資源活用事業の推進
    スーパー堤防整備事業、浸食対策事業、公園事業等について特定の事業を指定し、再生資源等の積極的な需要拡大を図る。
  • リサイクルモデルタウン事業
    先進的取り組みを行う地域をリサイクルモデルタウンとして指定し、地域が策定した計画を建設省及び関係省庁が連携して所管施策により支援するモデル事業を創設する。

(3)適正処理への自己責任の徹底、監督強化、監視システムの導入

  • マニフェストの積極的導入、電算化による事務の簡素化
  • 公共事業での条件明示、写真管理等による適正処理結果の確認
    公共工事における排出責任は工事発注者にあるとの認識で取り組む。
  • 建設業者の指導・監督体制の強化
    建築物の解体・新築工事における適正処理の指導体制の整備や、解体工事業者に対する指導強化、廃棄物処理に関する委託契約内容の適正化等のしくみを整備する。
  • 建設業者自らの不法投棄監視体制の整備、情報公開による監視
    廃棄物処理行政サイドの対策強化と連携して自らの監視体制を整備する。
  • 廃棄物処理行政と連携し、優良廃棄物処理業者の選定等を通じた廃棄物処理業界の近代化促進

(4)建設リサイクル推進には公的な支援が必要

  • 民間建築物の長寿命化、リサイクル施設整備等に対する融資、税制等の支援の拡充
    (産業界の自立的取り組みが可能となるまでの措置)
  • 土質改良プラント、建設発生土ストックヤード等の公的整備の推進

(5)建設汚泥、建設混合廃棄物のリサイクルに道をひらく

  • 建設汚泥の再利用のしくみづくり
    一定の性状、プロセス等の条件の下に、建設汚泥の再利用のしくみを整備する。
  • 建設混合廃棄物の選別徹底による再利用推進
    十分な選別機能を有する中間処理施設の立地促進、当該施設への搬出の義務づけ等により建設混合廃棄物の再利用を推進する。

(6)ライフサイクルアセスメント(LCA)の技術の確立等(技術開発の推進)

  • 建設分野からリサイクルを評価する技術としてLCAの技術の確立
  • コスト内部化、市場形成等の社会システム分析を踏まえた関連技術開発の推進
  • 建設分野の関係者が連携し、関係省庁、大学等の研究機関の参画を得て、建設リサイクルに関して研究開発等を推進するための研究センターの設置

(7)広報活動の多面的な展開・人づくりのネットワーク

  • 建設リサイクルの広報機能等の拡充
    各地方副産物対策連絡協議会、建設業界団体、関係公益法人からなる建設副産物リサイクル広報推進会議の機能の拡充や新たな表彰制度の創設等を行う。
    また、機関誌の発刊、交流センターの設置等人づくりのネットワーク化を進める。
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