リサイクル:建設リサイクル推進計画 - 国土交通省

リサイクル

特定建設資材に係る分別解体等及び
特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等に関する基本方針
(建設リサイクル法基本方針)


目次
  前文
特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等の基本的方向
建設資材廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項
特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標の設定その他特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策に関する事項
特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進のための方策に関する事項
環境の保全に資するものとしての特定建設資材に係る分別解体等、特定建設資材廃棄物の再資源化等及び特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の意義に関する知識の普及に係る事項
その他特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等に関する重要事項
 我が国においては、経済発展に伴う生産及び消費の拡大、生活様式の多様化及び高度化による住宅・社会資本の整備及び更新等に伴い、建設資材廃棄物の排出量が増大している。建設産業は我が国で利用される資源の相当部分を利用している産業であることから、産業廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第二条第四項に規定する産業廃棄物をいう。以下同じ。)及びその最終処分量に占める建設資材廃棄物の割合も高いものとなっている。
 その一方で、廃棄物の処理施設の確保はこれまでにも増して困難なものとなってきており、最終処分場がひっ迫しつつあるほか、建設資材廃棄物の不法投棄が全国で多く見られるなど、建設資材廃棄物の処理をめぐる問題が深刻となっている。
 また、主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国にとっては、これらの廃棄物から得られる資源を有効に利用していくことが求められている。このような状況の中で、我が国における生活環境の保全と健全な経済発展を長期的に確保するためには、関係者の適切な役割分担の下で、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量を図っていくことが重要である。
 この基本方針は、このような認識の下に、建設工事に係る資材の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図るため、必要な事項を定めるものである。

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特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等の基本的方向

1.基本理念

平成12年5月31日に公布された「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」については、総則、基本方針等に関する規定が平成12年11月30日より施行されているところですが、解体工事業の登録等に関する規定については、平成13年5月30日から施行されます。これに伴い、今般、解体工事業に係る登録等に関する省令(平成13年5月18日国土交通省令第92号)を制定いたしました。
  1. 特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の基本的な理念

    資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図るためには、建設資材の開発、製造から建築物等の設計、建設資材の選択、分別解体等を含む建設工事の施工、建設資材廃棄物の廃棄等に至る各段階において、廃棄物の排出の抑制、建設工事に使用された建設資材の再使用及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進という観点を持った、環境への負荷の少ない循環型社会経済システムを構築することが必要である。このため、建設資材廃棄物という個別の廃棄物に着目して、その再資源化等を促進するために、建設工事の実態や建設業の産業特性を踏まえつつ、必要な措置を一体的に講ずるべきである。

  2. 建設資材に係る廃棄物・リサイクル対策の考え方

    建設資材に係る廃棄物・リサイクル対策の考え方としては、循環型社会形成推進基本法(平成十二年法律第百十号)における基本的な考え方を原則とし、まず、建設資材廃棄物の発生抑制、次に、建設工事に使用された建設資材の再使用を行う。これらの措置を行った後に発生した建設資材廃棄物については、再生利用(マテリアル・リサイクル)を行い、それが技術的な困難性、環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合には、燃焼の用に供することができるもの又はその可能性のあるものについて、熱回収(サーマル・リサイクル)を行う。最後に、これらの措置が行われないものについては、最終処分するものとする。なお、発生した建設資材廃棄物については、廃棄物処理法に基づいた適正な処理を行わなければならない。

2.関係者の役割

 特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進に当たって、関係者は、適切な役割分担の下でそれぞれが連携しつつ積極的に参加することが必要である。
建設資材の製造に携わる者は、端材の発生が抑制される建設資材の開発及び製造、建設資材として使用される際の材質、品質等の表示、有害物質等を含む素材等分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等が困難となる素材の非使用等により、建設資材廃棄物の排出の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施が容易となるよう努める必要がある。
 建築物等の設計に携わる者は、端材の発生が抑制され、また、分別解体等の実施が容易となる設計、建設資材廃棄物の再資源化等の実施が容易となる建設資材の選択など設計時における工夫により、建設資材廃棄物の排出の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施が効果的に行われるようにするほか、これらに要する費用の低減に努める必要がある。なお、建設資材の選択に当たっては、有害物質等を含む建設資材等建設資材廃棄物の再資源化が困難となる建設資材を選択しないよう努める必要がある。
 発注者は、元請業者に対して、建設資材廃棄物の排出の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施について明確な指示を行うよう努める必要がある。
 元請業者は、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進に関し、中心的な役割を担っていることを認識し、その下請負人に対して、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施について明確な指示を行うよう努める必要がある。
 建設工事を施工する者は、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等を適正に実施するほか、施工方法の工夫、適切な建設資材の選択、施工技術の開発等により建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施が容易となるよう努める必要がある。
 排出した建設資材廃棄物について自らその処理を行う事業者及び建設資材廃棄物を排出する事業者から委託を受けてその処理を行う者(以下「建設資材廃棄物の処理を行う者」という。)は、建設資材廃棄物の再資源化等を適正に実施しなければならない。
 国は、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等を促進するために必要な調査、研究開発、情報提供、普及啓発及び資金の確保に努めることとする。
 地方公共団体は、国の施策と相まって、必要な措置を講ずるよう努める必要がある。

3.特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進に関する基本的方向

  1. 特定建設資材に係る分別解体等の促進についての基本的方向

    特定建設資材に係る分別解体等の実施により特定建設資材廃棄物をその種類ごとに分別することを確保し、特定建設資材廃棄物の再資源化等を促進するためには、特定建設資材に係る分別解体等が一定の技術基準に従って実施される必要がある。この技術は、特定建設資材に係る分別解体等の実施の対象となる建築物等により異なる場合があり、建設工事に従事する者の技能、施工技術、建設機械等の現状を踏まえ、建築物等に応じ、適切な施工方法により分別解体等が実施される必要がある。
    また、特に施工に当たって大量の建設資材廃棄物を排出することとなる解体工事については、最新の知識及び技術を有する者による施工が必要であるため、解体工事を施工する者の知識及び技術力の向上を図るほか、このような技術を有する者に関する情報の提供、適切な施工の監視、監督等を行う必要がある。

  2. 特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進についての基本的方向
    建設資材廃棄物に係る現状及び課題を踏まえると、その再資源化等の促進を図ることが重要であることから、対象建設工事のみならず対象建設工事以外の建設工事に伴って生じた特定建設資材廃棄物についても、再生資源として利用すること等を促進する必要があり、工事現場の状況等を勘案して、できる限り工事現場において特定建設資材に係る分別解体等を実施し、これに伴って排出された特定建設資材廃棄物について再資源化等を実施することが望ましい。また、分別解体等が困難であるため混合された状態で排出された建設資材廃棄物についても、できる限り特定建設資材廃棄物を選別できる処理施設に搬出し、再資源化等を促進することが望ましい。
    なお、これらの措置が円滑に行われるようにするためには、技術開発、関係者間の連携、必要な施設の整備等を推進することにより、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用を低減することが重要である。

  3. 都道府県の実情に応じた対応についての基本的方向

    建設資材廃棄物の発生量や再資源化施設(建設資材廃棄物の再資源化をするための施設をいう。以下同じ。)の立地状況等の建設資材廃棄物を取り巻く環境は地域によって異なる。このため、各都道府県はその地域の実状を踏まえつつ、適切な対象建設工事の規模等についての調査を実施し、必要に応じ、条例によりその規模等に関し、政令等で定める基準に代えて適用すべき基準を定めることが重要である。



建設資材廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項

1.建設資材廃棄物の排出の抑制の必要性

 建設資材廃棄物は、産業廃棄物に占める割合が高い一方で、減量することが困難なものが多い。このため、限られた資源を有効に活用する観点から、最終処分量を減らすとともに、排出を抑制することが特に重要である。

2.関係者の役割

 建設資材廃棄物の排出の抑制に当たっては、建築物等に係る建設工事の計画・設計段階からの取組を行うとともに、関係者は、適切な役割分担の下でそれぞれが連携しつつ積極的に参加することが必要である。
 建築物等の所有者は、自ら所有する建築物等について適切な維持管理及び修繕を行い、建築物等の長期的使用に努める必要がある。
 建設資材の製造に携わる者は、工場等における建設資材のプレカット等の実施、その耐久性の向上並びに修繕が可能なものについてはその修繕の実施及びそのための体制の整備に努める必要がある。
 建築物等の設計に携わる者は、当該建築物等に係る建設工事を発注しようとする者の建築物等の用途、構造等に関する要求に対応しつつ、構造躯体等の耐久性の向上を図るとともに、維持管理及び修繕を容易にするなど、その長期的使用に資する設計に努めるとともに、端材の発生が抑制される施工方法の採用及び建設資材の選択に努める必要がある。
 発注者は、建築物等の用途、構造その他の建築物等に要求される性能に応じ、技術的及び経済的に可能な範囲で、建築物等の長期的使用に配慮した発注に努めるほか、建設工事に使用された建設資材の再使用に配慮するよう努める必要がある。
 建設工事を施工する者は、端材の発生が抑制される施工方法の採用及び建設資材の選択に努めるほか、端材の発生の抑制、再使用できる物を再使用できる状態にする施工方法の採用及び耐久性の高い建築物等の建築等に努める必要がある。特に、使用済コンクリート型枠の再使用に努めるほか、建築物等の長期的使用に資する施工技術の開発及び維持修繕体制の整備に努める必要がある。
 国は、自ら建設工事の発注者となる場合においては、建設資材廃棄物の排出の抑制に率先して取り組むこととする。
 地方公共団体は、国の施策と相まって、必要な措置を講ずるよう努める必要がある。




特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標の設定その他特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策に関する事項

1.特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標の設定に関する事項

 資源化施設の立地状況が地域によって異なることを勘案しつつ、すべての関係者が再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量をできるだけ速やかに、かつ、着実に実施することが重要であることから、今後十年を目途に特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進に重点的に取り組むこととし、平成二十二年度における再資源化等率(工事現場から排出された特定建設資材廃棄物の重量に対する再資源化等されたものの重量の百分率をいう。)は、次表の上欄に掲げる特定建設資材廃棄物の種類に応じ、同表の下欄に掲げる率とする。

コンクリート塊(コンクリートが廃棄物となったもの並びにコンクリート及び鉄から成る建設資材に含まれるコンクリートが廃棄物となったものをいう。以下同じ。) 九十五パーセント
建設発生木材(木材が廃棄物となったものをいう。以下同じ。)
アスファルト・コンクリート塊(アスファルト・コンクリートが廃棄物となったものをいう。以下同じ。)

 特に、国の直轄事業においては、再資源化等を先導する観点から、コンクリート塊、建設発生木材及びアスファルト・コンクリート塊について、平成十七年度までに最終処分する量をゼロにすることを目指すこととする。
 なお、特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標については、建設資材廃棄物に関する調査の結果、再資源化等に関する目標の達成状況及び社会経済情勢の変化等を踏まえて必要な見直しを行うものとする。

2.特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策に関する事項

  1. 特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策に関する基本的事項

    特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標を達成するためには、必要な再資源化施設の確保、再資源化を促進するために必要となるコスト削減等に資する技術開発及び再資源化により得られた物の利用の促進が必要となる。
    具体的には、国は、税制上の優遇措置、政府系金融機関の融資等を積極的に活用することにより、再資源化施設の整備を促進する必要がある。地方公共団体は、地域ごとに特定建設資材廃棄物の再資源化施設の実態を把握し、その整備を促進するために必要な施策を行うほか、国とともに産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律(平成四年法律第六十二号)に基づく施策を推進する。

  2. 特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための具体的方策等
    1. コンクリート塊
      コンクリート塊については、破砕、選別、混合物除去、粒度調整等を行うことにより、再生クラッシャーラン、再生コンクリート砂、再生粒度調整砕石等(以下「再生骨材等」という。)として、道路、港湾、空港、駐車場及び建築物等の敷地内の舗装(以下「道路等の舗装」という。)の路盤材、建築物等の埋め戻し材又は基礎材、コンクリート用骨材等に利用することを促進する。
      また、コンクリート塊の再資源化施設については、新たな施設整備と併せて既存施設の効率的な稼動を推進するための措置を講ずるよう努める必要がある。
      なお、現状においては、コンクリート塊をコンクリート用骨材として再資源化する費用は、コンクリート用骨材以外のものとして再資源化する費用に比較して高いことから、その費用の低減のための技術の開発等を行う必要がある。

    2. 建設発生木材
      建設発生木材については、チップ化し、木質ボード、堆肥等の原材料として利用することを促進する。これらの利用が技術的な困難性、環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合には燃料として利用することを促進する。
      なお、建設発生木材の再資源化を更に促進するためには、再生木質ボード(建設発生木材を破砕したものを用いて製造した木質ボードをいう。以下同じ。)、再生木質マルチング材(雑草防止材及び植物の生育を保護・促進する材料等として建設発生木材を再資源化したものをいう。以下同じ。)等について、更なる技術開発及び用途開発を行う必要がある。具体的には、住宅構造用建材、コンクリート型枠等として利用することのできる高性能・高機能の再生木質ボードの製造技術の開発、再生木質マルチング材の利用を促進するための用途開発、燃料用チップの発電燃料としての利用等新たな利用を促進するための技術開発等を行う必要がある。
      また、このような技術開発等の動向を踏まえつつ、建設発生木材については、建設発生木材の再資源化施設等の必要な施設の整備について必要な措置を講ずるよう努める必要がある。

    3. アスファルト・コンクリート塊
      アスファルト・コンクリート塊については、破砕、選別、混合物除去、粒度調整等を行うことにより、再生加熱アスファルト安定処理混合物及び表層基層用再生加熱アスファルト混合物(以下「再生加熱アスファルト混合物」という。)として、道路等の舗装の上層路盤材、基層用材料又は表層用材料に利用することを促進する。また、再生骨材等として、道路等の舗装の路盤材、建築物等の埋め戻し材又は基礎材等に利用することを促進する。
      加えて、アスファルト・コンクリート塊に係る再資源化施設については、新たな施設整備と併せて既存施設の効率的な稼動を推進するための措置を講ずるよう努める必要がある。
      なお、近年、道路等の舗装の表層用材料として、ガラス、ゴム、樹脂等が混入した加熱アスファルト混合物を用いる場合もあるが、再資源化の可能性が実証されていない材料又は再資源化が困難な材料があることから、その再資源化のための技術開発等を行う必要がある。

    4. その他
      特定建設資材以外の建設資材についても、それが廃棄物となった場合に再資源化等が可能なものについてはできる限り分別解体等を実施し、その再資源化等を実施することが望ましい。また、その再資源化等についての経済性の面における制約が小さくなるよう、分別解体等の実施、技術開発の推進、収集運搬方法の検討、効率的な収集運搬の実施、必要な施設の整備等について関係者による積極的な取組が行われることが必要である。

 特定建設資材以外の建設資材についても、それが廃棄物となった場合に再資源化等が可能なものについてはできる限り分別解体等を実施し、その再資源化等を実施することが望ましい。また、その再資源化等についての経済性の面における制約が小さくなるよう、分別解体等の実施、技術開発の推進、収集運搬方法の検討、効率的な収集運搬の実施、必要な施設の整備等について関係者による積極的な取組が行われることが必要である。 具体的には、次のとおりである。
 プラスチック製品は、建設工事に使用される量が多いことから、建築物の解体の急増に伴い、廃プラスチック(プラスチック製品が廃棄物となったものをいう。以下同じ。)の発生が急増すると予想されており、廃プラスチックの再資源化を促進する必要がある。このため、廃プラスチックの再資源化について、経済性の面における制約が小さくなるよう、関係者による積極的な取組が行われることが重要である。特に、廃プラスチックに係る再資源化施設等が工事現場の近傍にあり、当該施設等に運搬する費用が過大とならないなど、その再資源化が経済性の面において制約が著しくないと認められる場合は、できる限り他の建設資材廃棄物と分別し、当該施設等に搬出するよう努める必要がある。このうち、建設資材として使用されている塩化ビニル管・継手等については、これらの製造に携わる者によるリサイクルの取組が行われ始めているため、関係者はできる限りこの取組に協力するよう努める必要がある。
 石膏ボードは、高度成長期以降建築物の内装材として広く利用されており、建築物の解体の急増に伴い、廃石膏ボード(石膏ボードが廃棄物となったものをいう。以下同じ。)の発生が急増すると予想されることから、ひっ迫が特に著しい管理型最終処分場(環境に影響を及ぼすおそれのある産業廃棄物(以下「管理型処分品目」という。)の最終処分場をいう。以下同じ。)の状況を勘案すると、その再資源化を促進する必要がある。このため、廃石膏ボードの再資源化について、経済性の面における制約が小さくなるよう、関係者による積極的な取組が行われることが重要である。また、石膏ボードの製造に携わる者により新築工事の工事現場から排出される廃石膏ボードの収集、運搬及び再利用に向けた取組が行われているため、関係者はできる限りこの取組に協力するよう努める必要がある。
 また、再資源化等が困難な建設資材廃棄物を最終処分する場合は、安定型処分品目(環境に影響を及ぼすおそれの少ない産業廃棄物をいう。以下同じ。)については管理型処分品目が混入しないように分別した上で安定型最終処分場(安定型処分品目の最終処分場をいう。)で処分し、管理型最終処分場で処分する量を減らすよう努める必要がある。
 なお、特定建設資材以外の建設資材について、それが廃棄物となった場合における再資源化が資源の有効な利用及び廃棄物の減量を図る上で特に必要であるものについては、その再資源化に係る経済性の面における制約について調査、検討等を行い、特定建設資材として指定することについても検討を行うこととする。




特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進のための方策に関する事項

1.特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用についての考え方

 特定建設資材廃棄物の再資源化を促進するためには、その再資源化により得られた物を積極的に利用していくことが不可欠であることから、関係者の連携の下で、特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物に係る需要の創出及び拡大に積極的に取り組む必要がある。また、特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用に当たっては、必要な品質が確保されていること並びに環境に対する安全性及び自然環境の保全に配慮することが重要である。

2.関係者の役割

 建設資材の製造に携わる者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物をできる限り多く含む建設資材の開発及び製造に努める必要がある。
 建築物等の設計に携わる者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材をできる限り利用した設計に努める必要がある。また、このような建設資材の利用について、発注しようとする者の理解を得るよう努める必要がある。
 発注者は、建設工事の発注に当たり、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材をできる限り選択するよう努める必要がある。
 建設工事を施工する者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材をできる限り利用するよう努める必要がある。また、これを利用することについての発注者の理解を得るよう努める必要がある。
 建設資材廃棄物の処理を行う者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の品質の安定及び安全性の確保に努める必要がある。
 国は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進のために必要となる調査、研究開発、情報提供、普及啓発、資金の確保並びに品質基準の策定及び規格化の推進に努めるほか、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物を率先して利用するよう努めることとする。
 地方公共団体は、国の施策と相まって、必要な措置を講ずるよう努める必要がある。

3.再資源化により得られた物の公共事業での率先利用

 国の直轄事業においては、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成十二年法律第百号)の趣旨を踏まえ、民間の具体的な取組の先導的役割を担うことが重要であることから、特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物を率先して利用するものとする。
 具体的には、道路等の舗装の路盤材又は建築物等の埋め戻し材若しくは基礎材の調達に当たっては、工事現場で発生する副産物の利用が優先される場合を除き、当該現場から四十キロメートルの範囲内でコンクリート塊又はアスファルト・コンクリート塊の再資源化により得られた再生骨材等が入手できる場合は、利用される用途に要求される品質等を考慮した上で、経済性にかかわらずこれを利用することを原則とするなどの方策を講ずることとする。道路等の舗装の基層用材料、表層用材料及び上層路盤材の調達に当たっては、工事現場で発生する副産物の利用が優先される場合を除き、当該現場から四十キロメートル及び運搬時間一・五時間の範囲内でアスファルト・コンクリート塊の再資源化により得られた再生加熱アスファルト混合物が入手できる場合は、利用される用途に要求される品質等を考慮した上で、経済性にかかわらずこれを利用することを原則とするなどの方策を講ずることとする。木質コンクリート型枠材については、再生木質ボードを製造する施設の立地状況及び生産能力並びに利用される用途に要求される品質等を考慮して再生木質ボードの利用を促進することとし、モデル工事等を通じて施工性、経済性等の適用性の検討を行い、これを踏まえ利用量の増大に努める。また、法面の緑化材、雑草防止材等についても、利用される用途に要求される品質等を考慮して、再生木質マルチング材等の利用を促進することとし、モデル工事等を通じて施工性、経済性等の適用性の検討を行い、これを踏まえ利用量の増大に努める。さらに、その他の用途についても、特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進が図られるよう積極的な取組を行う必要がある。
 なお、国の直轄事業以外の公共事業においても、国の直轄事業における特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進のための方策に準じた取組を行う必要がある。




環境の保全に資するものとしての特定建設資材に係る分別解体等、特定建設資材廃棄物の再資源化等及び特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の意義に関する知識の普及に係る事項

 特定建設資材に係る分別解体等、特定建設資材廃棄物の再資源化等及び特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進は、特定建設資材廃棄物の排出の抑制、再資源化により得られた熱の利用の促進等と相まって、資源エネルギー投入量の削減、廃棄物の減量、環境に影響を及ぼすおそれのある物質の環境への排出の抑制等を通じて、環境への負荷の少ない循環型社会経済システムを構築していくという意義を有する。
 かかる意義を有する特定建設資材に係る分別解体等、特定建設資材廃棄物の再資源化等及び特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の推進のためには、広範な国民の協力が必要であることにかんがみ、国及び地方公共団体は、環境の保全に資するものとしてのこれらの意義に関する知識について、広く国民への普及及び啓発を図ることとする。具体的には、環境教育、環境学習、広報活動等を通じて、これらが環境の保全に資することについての国民の理解を深めるとともに、環境の保全に留意しつつ、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等が行われるよう関係者の協力を求めることとする。
 特に、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の実施義務を負う者が当該義務を確実に履行することが重要であることから、その知識をこれらの者に対して普及させるため、必要に応じて講習の実施、資料の提供その他の措置が講じられなければならない。
 また、発注者が再資源化により得られた物をできる限り利用することが重要であることから、必要に応じて講習の実施、資料の提供その他の措置が講じられなければならない。




その他特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等に関する重要事項

1.分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用を建設工事の請負代金の額に適切に反映させるための事項

 特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等を適正に実施するためには、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用が、発注者及び受注者間で適正に負担されることが必要である。
 このため、発注者は、自らに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用の適正な負担に関する責務があることを明確に認識し、当該費用を適正に負担する必要がある。また、受注者は自らが分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等を適正に行うことができる費用を請負代金の額として受け取ることができるよう、分別解体等の実施を含む建設工事の内容を発注者に十分に説明する必要がある。
 加えて、国及び地方公共団体は、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用を建設工事の請負代金の額に反映させることが分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進に直結する重要事項であることを国民に対し積極的に周知し、当該費用の適正な負担の実現に向けてその理解と協力を得るよう努めることとする。
 また、対象建設工事の受注者間においても、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用が適正に負担されることが必要である。

2.各種情報の提供等に関する事項

 国は、対象建設工事受注者が特定建設資材廃棄物の再資源化等を行うに当たって必要となる施設の稼働情報、対象建設工事の発注者等が当該工事の注文を行うに当たって必要となる解体工事業を営む者の企業情報等の提供が十分なされるように、インターネット等を活用した情報システムの整備の支援を行う必要がある。

3.分別解体等及び建設資材廃棄物の処理等の過程における有害物質等の発生の抑制等に関する事項

 建設資材廃棄物の処理等の過程においては、廃棄物処理法、大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)、ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)等の関係法令を遵守し、有害物質等の発生の抑制及び周辺環境への影響の防止を図らなければならない。また、建設資材廃棄物の処理等の過程において、フロン類、非飛散性アスベスト等の取り扱いには十分注意し、可能な限り大気中への拡散又は飛散を防止する措置をとるよう努める必要がある。
 なお、冷凍空調機器の冷媒として使用されているフロン類に関して、特定家庭用機器再商品化法(平成十年法律第九十七号)に規定する特定家庭用機器に該当するユニット型エアコンディショナー及び電気冷蔵庫の中に含まれるものについては、特定家庭用機器再商品化法又は廃棄物処理法に従って処理されなければならない。このためには、建築物等に係る解体工事等の施工に先立ち、ユニット型エアコンディショナー及び電気冷蔵庫の所有者は、これらを建築物等の内部に残置しないようにする必要があり、過去にこれらを購入した小売業者に引取りを求めることが適当である。また、特定建設資材に係る分別解体等において、これと一体不可分の作業により冷凍空調機器中のフロン類が大気中へ拡散するおそれがある場合は、事前に回収することによりこれを防止する必要がある。
 さらに、断熱材に使用されているフロン類については、建築物の解体時におけるフロン類の残存量が不明確であること、経済的な回収・処理技術が未確立であること等の課題がある。このため、これらの課題について技術的・経済的な面からの調査・検討を行い、適正かつ能率的な断熱材の回収、フロン類の回収・処理のための技術開発・施設整備等必要な措置を講ずるよう努める必要がある。
 非飛散性アスベストについては、粉砕することによりアスベスト粉じんが飛散するおそれがあるため、解体工事の施工及び非飛散性アスベストの処理においては、粉じん飛散を起こさないような措置を講ずる必要がある。
 防腐・防蟻のため木材にCCA(クロム、銅及びヒ素化合物系木材防腐剤をいう。以下同じ。)を注入した部分(以下「CCA処理木材」という。)については、不適正な焼却を行った場合にヒ素を含む有毒ガスが発生するほか、焼却灰に有害物である六価クロム及びヒ素が含まれることとなる。このため、CCA処理木材については、それ以外の部分と分離・分別し、それが困難な場合には、CCAが注入されている可能性がある部分を含めてこれをすべてCCA処理木材として焼却又は埋立を適正に行う必要がある。また、この施設の整備等について関係者による取組が行われることが必要である。なお、このCCA処理木材については、残存するCCAに関する経済的な判別・分離・処理技術が未確立であること等の課題があるため、これらの課題について技術的・経済的な面からの調査・検討を行い、適正かつ能率的なCCA処理木材の分離・回収、再資源化のための技術開発・施設整備等必要な措置を講じ、CCA処理木材の再資源化の推進に努める必要がある。
 PCBを含有する電気機器等についても、これらを建築物等の内部に残置しないようにする必要があるため、建築物等の解体に先立ち、これらは撤去され、廃棄物処理法に従って適切に措置されなければならない。

4.環境への負荷の評価についての考え方

 関係者は、特定建設資材の開発、製造、流通、特定建設資材を使用する建築物等の設計、特定建設資材を使用する建設工事の施工、特定建設資材廃棄物の再資源化等、最終処分等の各段階における環境への負荷の評価(ライフ・サイクル・アセスメント)の手法について、調査研究を進めその確立を図るとともに、その手法の活用に努める必要がある。




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