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読者が取材!神田川流域を浸水被害ゼロへ

読者が取材−神田川流域を浸水被害ゼロへ

昨年は、台風、地震など災害の多い年でした。実は東京 都の都心を流れる神田川も、平成5年ごろまでは大雨のたびに浸水被害が報じられていました。なぜ神田川は浸水しなくなったのでしょうか。国土交通省関東地方整備局で 「くらしサポート通信」制作のために神田川について調べた與義さん、黒澤さん、大内さんに、読者の小泉さんと恵さんが話を聞きにいきました。

■神田川があふれなくなったのはなぜ?

環状七号線の地下に巨大トンネル
24万m3の水を貯留できます

トンネル内部はこんなに広い!

小泉:子供のころの神田川の思い出は、氾濫したときアパートのベランダからシーツにつかまってボートに乗り移ったこと。そのときの“怖い”という思いがずっと残っていて、今でも警報が鳴ると恐怖を感じます。

:小学生のときは警報が鳴ると、「早く帰れる!」と喜んでいましたが、大人になって被害を目の当たりにするようになってからは怖くなりました。神田川にはまだ整備されていない箇所があるのに、浸水しなくなったのはなぜですか?

與儀:実は神田川は、昔に比べて深さ、幅とも広がっているのです。ただ都市部なのでそれももう限界、ということで、環状7号線の地下50mのところに巨大なトンネル型の調節池をつくることになりました。平成9年に約2kmのトンネルができて、24万mの貯水が可能になりました。降雨量は平成9年以前と以降でそれほど変わっていませんが、明らかに浸水被害は少なくなっています。先日、この事業を行っている東京都に取材に行ってきましたので、こういう事業が行われていることを、今日はぜひ知っていただきたいと思っています。

小泉:24万m3の水が貯まるのですよ、と言われても、その“立方メートル”というのが、どれくらいの雨が降ったら貯まるのか実感としてわかりません。例えばこの前の台風の時には調節池のどれくらいまで水が貯まった、というように具体的に教えてほしいです。

黒澤:神田川地下調節池のトンネルはだいたい高さ12mなのですが、平成11年の台風のときは、もう残りあと何cm残すだけ、というくらいに水が貯まりました。平成11年というと、地下鉄丸の内線霞ヶ関駅の水没や、多摩川の洪水で河川敷に人が取り残されるなど、東京に大変な量の雨が降ったのですが、このときも神田川はあふれていません。ただ、この調節池があるからもう大丈夫、安心、というわけではありません。去年の新潟の豪雨のような大量な雨には、未だ対処できてなく、調節池の第二期事業(54万m3、地図参照)とあわせて、ほかにも河川・下水道の整備が進められています。

:以前は川の水位が上がった後、雨がやむとあっという間にひいていく、という印象でしたが、最近は雨が上がった後もずっと高い水位が続くような気がするのですが…。

黒澤:いつなんどき、次の雨のピークが来ても対応できるように、トンネル内の水は流して、空にしておく必要があるのです。それで、水位が下がってきたら、貯留していた水を逆に川に戻しているのです。

地下調節池の仕組み
地下のトンネルと川
1 大雨が降ったら…
2 川の水が地下のトンネルに流されます
3 その後、水位が下がったら、地下にためておいた水をポンプでまた川にもどします

地図

わかりやすい言葉や身近な話題で
“社会資本整備”について説明

與儀:国土交通省では、多摩川や荒川などの河川沿いにテレビカメラを設置して、インターネットでリアルタイムに川の状況を見ることができるようにしています。

小泉:インターネットもいいのですが、例えば区報とか小冊子、リビング新聞の折り込みとか掲示板とかで、情報を流していただきたいです。きれいなパンフレットでなくてもいいんです。

與儀:今回、私たち関東地方整備局では、延社会資本整備怨について、それが毎日の暮らしの中でどのように役に立っているかということをわかりやすく広報したいと考えて、この「くらしサポート通信」を作りました。このような情報はいかがですか。

小泉:字も大きいし、イラストもかわいくてわかりやすいですね。

大内:今回のパンフレットでは神田川地下トンネルや中野坂上の地下の状況を取り上げたので、中野区の小・中・高校に、一校につき一学年分配布しました。すると向台小学校の校長先生が…。

:ウチの子供が通っている小学校です!

大内:そうですか。その校長先生から、近くの施設がたくさん取り上げられているし、わかりやすいので、全校生徒分くださいとおっしゃっていただきました。もしかしたら、恵さんのお子さんのところにも届いているかもしれませんね。

:そうですね。ぜひ子供たちにこういう新しい情報を教えてあげたいと思います。小学校の総合学習の時間などで、このパンフレットを活用してほしいですね。

與儀:一番最後のページに書かせていただいたのですが、みなさんが暮らしている中で、“社会資本整備”なんて、なかなか聞かない言葉ですよね。道路や川などは、便利に、だれでも使えるもので、私たちみんなの共有財産なんですね。みんなが安心して安全に暮らしていくための共有財産を整えていくこと、それが“社会資本整備”なのです。そのことを、このようなパンフレットで少しずつ、わかりやすく発信していきたいと思います。

:ここに住んでいるから仕方ない、とあきらめるのではなく、もっと良く暮らすことができる、という発想を持つことが大切ですね。このパンフレットを見て、“そういうことってできるんだ”と気付きました。

くらしサポート通信
くらしサポート通信
「このパンフレットを作った趣旨は、“社会資本整備”について知っていただきたい、ということ。特に若い女性やお年寄りの中で“社会資本整備”にはあまり関心のなさそうな方にも、ちょっと手にとって読んでみようかなと思ってほしいので、できるだけ生活している人たちの疑問をたくさん聞いて、その視点で、ここでこういうものが造られているんですよ、という形の情報を発信していきたいです」と與儀さん

「くらしサポート通信」はインターネットでも見られます

小泉:地域センターのような人が多く集まるところにも置いてほしいです。そして、私たちが「あれ、この道路はどうなるんだろう?」というような疑問をぶつけられる場所があって、それに対する答えが発信されるといいですね。

與儀この「くらしサポート通信」はインターネットでも見られます。その中では暮らしの中の「?」を書いてメールで送ることができますので、ぜひいろいろな意見を寄せていただきたいです。


出席者のみなさん
国土交通省関東地方整備局企画部広域計画課・黒澤綾さん
「『くらしサポート通信』の制作のために地下調節池について調べてみて、仕組み、規模など驚きの連続で、とても勉強になりました」
中野区在住・小泉恵さん
「調節池ができても、台風のたびに心配。国土交通省の方にいろいろな疑問をぶつけて不安を解消したいです」
国土交通省関東地方整備局企画部企画課・事業景観係・大内香織さん
「今まで水害被害の経験がなかったので、『くらしサポート通信』の取材で水害の恐ろしさや地下調節池について知り、驚くことばかりでした」
中野区在住・恵小波さん
「生まれてから結婚した現在もずっと神田川のそばに住んでいます。今でも神田川の水の力は忘れられません」
国土交通省関東地方整備局企画部企画課・事業調整係・與儀亜希子さん

この記事のアンケート結果

国土交通省技術調査課