公共事業の説明責任(アカウンタビリティ)向上を検討するためには、まず第一に、国民サイドから、現在の公共事業がどのように見え、どういう問題意識を持たれているかを、正確に把握することが必要である。
そこで、建設省では、以下に示す調査を実施し、「国民から見た公共事業の現状」の把握を行った。
表−2.1 調査概要
区 分 | 概 要 |
ヒアリング調査 | 学識経験者106名の方に対しヒアリングを実施した |
アンケート調査 | 任意に抽出した1000名の方にアンケートを実施し、468名の方から回答を得た |
新聞論調整理 | 中央紙6紙の過去3年分の記事を整理した中央紙と地方紙について傾向を分析した |
意見公募 | 公共事業に関する意見を公募した結果、インターネットを通じ9名、郵送により20名の 方から意見を得た |
図−2.1 ヒアリング調査対象の内訳
性 別 年 齢
都市規模 地域
職 業 公共事業から受けた影響の有無
図−2.2 アンケート調査対象の内訳
ヒアリング調査、アンケート調査等から得られた公共事業の現状は、概ね以下のように要約される。(詳細については、参考資料参照)
注1)ここでは、公共事業が国民からどのように見えているかということを、整理してある。そのため、指摘のなかには、建設省で既に実施済みのものも含まれている。なかでも、特徴的なものについては、文中で解説を付している。
○改善すべきと指摘を受けた対象としては、公共事業全般の取り組み姿勢の他、執行過程の早い段階(政策企画段階、計画調査段階、事業採択段階)に関するものが多く、次いで公共調達段階および事業等の評価が多い
全体意見数 405意見
東京 182意見
その他 223意見
図−2.3 ヒアリングにおける意見の分布
○公共事業全般の取り組み姿勢に関しては、主に次の点が指摘されている
全体意見数 121意見
東京 57意見
その他 64意見
図−2.4 ヒアリングにおける意見の分布(全般的取り組みについて)
図−2.5 アンケートにおける意見(情報提供の充実度について)
○政策企画段階としては、主に次の点が指摘されている
図−2.6 新聞論調の比較例(中央1紙とM県1紙の比較事例)
○計画調査段階としては、主に次の点が指摘されている
注2)道路整備五箇年計画、河川整備計画においては、国民が計画立案に参加する手法(PI手法等)を導入済み。
○事業採択段階としては、主に次の点が指摘されている
注3)平成10年度より、建設省所管の公共事業で実施中。
○公共調達段階としては、主に次の点が指摘されている
○事業等の評価については、主に次の点が指摘されている
注4)平成10年度より、建設省所管の公共事業で実施中。
注5)平成10年度より、第三者により構成される事業評価監視委員会を開催中。
以上のように、多岐にわたる貴重な指摘を受けた。
なお、指摘を整理すると、下記の2点に集約されると考えられる。
現在の公共事業の各実施段階について、国民から見て改善すべき(説明性が十分でない)と指摘を受けている点が多数存在している。
公共事業の情報が国民に十分伝わっておらず、また国民から見ると知りたい情報が提供されていない。今後、幅広い情報を提供し共有していく方策について具体的改善を図る必要がある。