2.社会資本に関する論点の明確化と臨機の対応
 (11) 計画説明での合意形成手法の検討




 建設省では、地域と連携しながら、社会的に大きな影響を与える可能性が高い新しい施策について社会実験を実施し、その効果の把握と課題等の明確化を図るとともに、住民の方々との合意形成に役立てています。社会実験の実施にあたっては、対象となる施策について、公募により実施地域の選定を行っています。
 平成11年度は、6地域(世田谷区、海老名市、鎌倉市、豊田市、大阪府、松江市)で社会実験を実施し、その評価について取りまとめをしています。




 社会実験とは

「社会的に大きな影響を与える可能性が高い新しい施策の導入に先立ち、場所と期間を限定して施策を試行するとともに、試行結果の評価を行い、施策を本格的に実施するか否かの判断材料を得ること」をいいます



【目的:効果把握と課題等の明確化、住民の方々との合意形成】

・新規性、先進性がありかつ実施有効性が高いと思われる施策について、本格実施に大きく関連する実験を
 実施することで、その効果を把握し、問題や課題を明確にします。
・政策の新しい進め方として有効な手段として、地域住民の方々や関係者の方々との合意形成にも役立たせます。


【内容:公募による地域選定、地域と建設省とが連携した実験の実施】

・建設省では、平成11年度から社会実験の推進に必要な費用を予算上明確に位置づけ、建設省自らが
 社会実験を実施しています。
・また、実施にあたっては、公募により地域を選定し、地域と建設省とが連携して実験計画の作成、
 実験実施、施策や実験の評価を行っています。




対象となる施策

次のテーマに対応する道路に関する施策のうち、新規性、先進性や有効性があり、今後の普及が期待できるもの。

 ・環境対策(地球温暖化対策)
 ・渋滞対策
 ・中心市街地の再生・活性化
 ・物流対策
 ・安全・安心のまちづくり




公募に実施地域の選定

地域の選定は、以下の3つの項目に基づいて評価を行います。

 ・対象となる施策が新規性、先進性を有すること
 ・実験結果が本格実施への判断や他地域への
  展開に有効であること
 ・地元や関係機関との調整等の諸環境が
  整っていること



【社会実験の実施手順】



【平成11年度の選定地域】

実施地域
内 容
 東京都世田谷区  区内京王線・小田急線間の地域へのミニバス運行による
 交通利用の転換誘導
 神奈川県海老名市  電気自動車を用いた車両共有化(複数の人間が通勤用・業務用に
 一台の車を使うシステム)したパークアンドレールランド
 神奈川県鎌倉市  休日交通の集中する観光都市におけるパークアンドライドを
 はじめとしたマイカー転換誘導施策
 愛知県豊田市  低公害者を用いた車両共有化(複数の人間が通勤用・業務用に
 一台の車を使うシステム)、カープル(複数の人間が一台の車
 に相乗りし通勤)
 大阪府  複数大手スーパー等駐車場(計約400台規模)を活用した
 通勤自動車の鉄道転換(パークアンドレールランド)
 島根県松江市  松江城下中心市街地での車線数削減による歩行幅員拡大


エコ・パークアンドライド実験(神奈川県海老名市)の例

【実験実施団体】
海老名市、神奈川県、建設省他

【地域の課題・背景】
・渋滞・環境対策と郊外都市駅前の
計画的な開発の複合対策の必要性
・駅周辺での効率的駐車場確保とパ
ークアンドライドの両立

【実験概要】
1台の電気自動車を朝夕は市民が通勤に利用し、日中は事業者が業務で利用する共同利用方式とパークアンドライドの複合システム

【評価ポイント】
利用継続性、自動車通勤からの転換可能性、企業の導入意向など