3.すべてのプロセスにおける評価の明確化
(17) 事業完了後の事後評価の導入
事業の効率性及び透明性の一層の向上を図るため、完了した事業について、事業の効果・環境影響、事業を巡る社会経済情勢等の変化などについて確認を行い、必要に応じて適切な改善措置を検討する事後評価を試行的に実施しています。
【目的:完了した事業について適切な改善措置等を検討】
事後評価は、事業の効率性及び透明性の一層の向上を図るため、完了した事業について、その効果、環境影響など実績の確認を行い、必要に応じて適切な改善措置を検討するとともに、その結果を同種事業の計画・調査等に反映することを目的とするものです。
【評価項目:事業の効果・環境影響、事業を巡る社会経済情勢等の変化】
事後評価の試行は、以下の視点から実施し、各事業ごとに適切な評価項目を設定します。
●事業の効果
●事業による環境影響
●事業を巡る社会経済情勢等の変化
●今後の事後評価の必要性
●改善措置の必要性
【事業評価監視委員会:有識者等の意見を聴取する仕組みの導入】
事後評価にあたっては、客観性、透明性を確保するため、再評価の実施にあたり設置された事業評価監視委員会の意見を聴き、その意見を尊重することとします。
【今後の取り組み:本格的な取り組みへ向けて】
平成11年度より、一部事業を対象に事後評価の試行を進めているところであり、試行の実績等を踏まえつつ、引き続き、評価手法等について、本格的な実施に向けた検討を進めることとしています。
事例 一般国道42号湯浅御坊道路(一般有料道路
【近畿地建】
【事業の目的:交通渋滞の解消による利便性の向上、沿線地域の発展】
一般国道42号は、浜松市と和歌山市を結ぶ路線で、紀伊半島沿岸唯一の主要幹線道路であり、生活道路・産業道路・観光道路等として多くの機能が要求されています。
しかし、近年の交通量の増加に伴いその機能が阻止されてほか、水越、由良峠は異常気象時には通行規制が行われる道路交通の隘路となっています。
湯浅御坊道路はこれらの解消と、高速交通ネットワークを形成して紀伊半島と京阪神都市圏との利便性の向上を図るとともに、沿線地域の発展に寄与すること等を目的とした道路であり、御坊市野口から有田郡吉備町天満までの19.4km区間を平成8年3月に完成供用しました。
【事業の効果:道路機能の向上と沿線地域の活性化】
交通円滑化の推進:
現道におけるピーク時旅行速度の向上、2箇所の主要渋滞ポイントが解消されるなど、
沿道環境が改善されました。
災害時の交通確保:
事前通行規制区間を有する区間の代替路が確保されました。
物流効率化の支援:
和歌山県南部地方生活圏の中心都市である田辺市から、県庁所在地である和歌山市
までの所要時間が25分程度短縮されました。
沿線地域の活性化:
湯浅御坊道路沿線地域においては、工業団地の造成、企業誘致が図られている
とともに、沿線市町の製造品出荷額、製造業従業員数も増加の傾向にあります。
【工夫した点:実施予告、結果速報、議事録の公表、記者発表】
・事業評価監視委員会の実施に際し、実施予告、実施直後の結果速報、議事録の後日公表と、
段階に応じて記者発表を行い、一般の方々への周知に努めています。
・委員への事業説明に際しては、OHP、パワーポイント等わかりやすく工夫して実施しています。
【再評価に係わる資料(説明資料)】
パワーポイント等により以下の事項について説明を実施しました。
・事業の概要
・事業の目的
・位置図
・事業の進捗状況
・事業を巡る社会情勢等の変化
・事業採択時の費用対効果分析の要因の変化
・コスト縮減や代替案立案等の可能性
・地方公共団体の意見
・対応方針
【事後評価審議(試行)での意見等】
●当初の計画で見込んでいた事業の効果が
発現されているのかを確認しておくべき
●土地利用の変化等の社会経済情勢の変化に
ついて、継続的にフォローしておくことが必要。
また、これらの社会経済情勢等の変化を踏まえ、
当初想定した効果が発現していたとしても、
事業効果をさらに高める為改善措置等を
検討していくべき
●当該道路の評価だけでなく、関係道路等の
ネットワークの評価についても、検討して
いってはどうか
【湯浅御坊道路供用前】
【湯浅御坊道路供用後】