4.公共調達の不断の改革継続
 (19) 公共工事コスト縮減の推進




 公共工事のコスト縮減は、平成9年4月に策定された政府の「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」及びこれを踏まえた建設省の行動計画に基づき、平成11年度までに諸施策を実施し、平成11年度のコスト縮減率は9.8%(目標値 10%)を達成しました。また、コスト縮減のための体制整備と職員の意識改革、公共工事執行システムの改革などが進んでいます。



【目的:効率的な公共事業の執行による社会資本の着実な整備】

・現下の厳しい財政状況の下、限られた財源を有効に活用し、効率的な公共事業の執行を通じて、社会資本の整備を着実に進め、本格的な高齢化社会に備えます。


【内容:平成9年度から平成11年度の3年間で19施策148項目の施策を実施し、フォローアップ結果も毎年公表】

・平成9年4月に公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議で策定された「公共工事コスト縮減対策に関する
 行動指針」及びこれを踏まえた「公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」に基づき諸施策を実施しています。
・上記行動指針・行動計画では、公共工事コスト縮減に資する諸施策を速やかに実施するとともに、遅くとも
 平成11年度末までに完了し、その効果が可及的速やかに得られるよう最大限の努力をすることとしています。
・公共工事コスト縮減の実施状況・達成状況については、毎年、フォローアップし、結果を公表しています。
・ 実施してきた3年間取り組みの成果をとりまとめ、その結果を踏まえて今後の取り組みを決定する予定であり、
 そのとりまとめに当たり、今後の施策に反映するためインターネット等の媒体を用いて、広く一般の方々から
 ご意見をいただきました。




行動指針・行動計画の特徴

●全省庁をあげた総合的な施策の展開
●計画設計段階までさかのぼり幅広い段階に
 おける施策の推進
●所要の施策を3年間で実施し、その効果により
 公共工事コストを少なくとも10%以上縮減
 するという具体的数値目標の設定
●コスト縮減にあたって、社会資本が備える
 べき機能、品質を確保しつつ進めること、
 下請企業等へしわ寄せを生起させてはなら
 ないことの明確化




インターネットによる意見の募集

 公共工事コスト縮減対策に関する取り組みの中間報告を建設省のホームページ上に掲載し、平成12年1月19日から2月10日までの間、一般の方々の意見募集を実施しました。合計246通のご意見をいただきました。

<意見例>
・民間の技術力を活かすような入札方式を
 促進すべき
・品質の確保の面も含んだトータルなコスト
 縮減を行うべき
・環境破壊につながる公共工事はやめてほしい




【成果:コスト縮減に向けた体制整備、職員の意識改革、公共工事執行システムの改革が進展、
    平成9年度から11年度までの3年間の取り組みにより9.8%のコスト縮減を達成】


●取り組み体制の整備
 各省庁が連携し、一致協力してコスト縮減に積極的に取り組む体制が構築され、幅広い施策が実施されました。


<現場での取り組みの変化>
・コスト縮減を内部目的化した新たな業務体系が構築されました。
・安くて良いモノを提供する創意工夫の姿勢が生まれてきました。

●職員の創意工夫の強化
 コスト縮減の浸透に伴い、工事担当職員においても「より安くてよいモノ」を提供することを重視して
 創意工夫する姿勢が強化されるなど、意識改革が進んでいます。


<現場からの報告>

・交差点の立体化事業において、既に予備設計が終了し、
 現地の調整や用地買収に入っていましたが、
 コスト縮減を図るために、設計VE委員会を設置し
 議論しました。

・橋長の変更に伴う橋台位置等の変更があったため、
 調整をやり直し、周辺住民の方々にご理解いただく
 ために時間を要しましたが、大きな縮減効果を
 上げることが出来ました。

       四国地方建設局 香川工事事務所
構造変更でコスト縮減




●公共工事執行システムの改革
 工事の計画・設計等の見直し、工事発注の効率化等、資材、建設機械等の工事構成要素のコスト縮減、
 工事実施段階での合理化・規制緩和等の公共工事執行システムの中で価格に影響を及ぼす様々な要因に
 ついて改革が進みました。

●これらの取り組みの成果により、平成11年度のコスト縮減率は、目標の10%に対し、9.8%(建設省
 ・関係公団)と数値目標を概ね達成しました。


【今後に向けて:コスト縮減の継続的実施、数値目標に反映されない品質・安全確保等への配慮】

 
一般の方々からの意見を踏まえて、今後に向けての課題を以下のようにとりまとめています。

●コスト縮減のための取り組みを継続
 3年間のコスト縮減に関する取り組みにより、一定の成果を上げてきましたが、なお一層の定着を図るべき
 課題や新たに取り組むべき課題があることから、今後とも全省庁を挙げて幅広く実効性のある具体的施策を
 継続していく必要があります。

●コスト縮減の数値目標に反映されない要素の評価
 コスト縮減は、数値目標により具体的であるがゆえに国民の理解を得やすいですが、過度に重視すると品質や
 安全の確保等のコスト縮減に直接結びつかない施策や金銭では計測できない施策への配慮が手薄になるおそれが
 あるため、これらについても配慮しながら事業を進める必要があります。