建設省では、行動指針に基づき、公共事業の説明責任(アカウンタビリティ)向上のための諸施策を平成12年度末までに実施し、その結果が速やかに得られるよう努力することとしています。

 平成11年度の1年間の取り組み結果を踏まえ、今後に向けての課題を整理しました。

 平成11年度の取り組みを通じて、建設省では次のような点において変化した、向上したのではないかと感じています。



▼職員に関して

(1) 徐々にではあるが、管理職を含む職員の意識が着実に変化してきている
(2) 意識の変化が、分かりやすい説明の実施、分かりやすい資料づくりという形で行動に現れてきている


▼組織体制に関して

(1) 地域づくり担当官の大幅拡大、アカウンタビリティ向上委員会や実施委員会の設置など、
  組織的な推進体制の整備が進んだ
(2) 各種会議でアカウンタビリティ向上に関する議論が増えた
(3) 様々な取り組みの中でアカウンタビリティ向上ということを意識するようになった


▼対外的な対応に関して

(1) 住民やNPO、地方自治体、各種組織とのコミュニケーション活動や連携が進展した
(2) マスコミや外部の人に対して分かりやすい資料をつくるという取り組みが進んだ



 しかしながら、このような進展の一方、次のように変化しなかった、向上しなかったと感じることなど、課題も少なくありません。


▽職員に関して

(1) 職員の意識は変化してきているが、経験やノウハウの不足などにより具体的な行動に至っていない職員が多い
(2) 国民の評価を把握できていないため、暗中模索の取り組みとなっている


▽組織体制に関して

(1) 体制づくりに事務所によるバラツキがある
(2) 組織として具体的・継続的な取り組みになっていない
(3) アカウンタビリティ向上の取り組みの効果把握を十分に行っていない


▽対外的な対応に関して

(1) 取り組みに事務所によるバラツキがある
(2) 地方自治体との連携が弱い地域や対外的な窓口が明確でない地域もある
(3) マスコミに対する対応や外部の評価の把握が十分でない地域もある
(4) アカウンタビリティ施策の体系的実施や見直しが不十分である



 このように、今後の課題は多いものの、従前と比較してアカウンタビリティ向上の取り組みは、少しずつ前進しつつあるのではないかと感じています。

 建設省としては、これまでの取り組み結果や国民の皆様のご意見を踏まえながら、改善すべき点は改善し、公共事業のアカウンタビリティ向上のための取り組みをこれまで以上に推進していく所存です。



地方建設局へのアンケート調査結果


■職員に関して

▼この1年間で変わった・向上したと感じること

○徐々に職員の意識が変化

・研修を実施していく中で、徐々に職員の意識が向上している
・アカウンタビリティ向上の必要性や重要性についてこれまで以上に理解を深める職員が増加した

○管理職の意識が変化

・各事務所で実施委員会を設置したことから事務所長等をはじめとしたトップの意識が向上した
・各種会議でアカウンタビリティ向上を議論のテーマとしてきたことから、
 管理職の意識は相当変わった

○分かりやすい説明・資料づくりの進展

・業務執行において「わかりやすさ」「丁寧さ」を意識する職員が増加している
・国民へ一方的に説明するだけでなく、相互理解に努めようとする意識が広がってきている


▼この1年間で変わらなかった・向上しなかったと感じること

○意識は変わってきているが行動に至っていない

・経験やノウハウの不足、日常業務の多忙さなどにより、国民の中に入って説明することに
 躊躇する職員や個人としてどのようにしたらいいか迷っている職員もいる
・職員一人一人のアカウンタビリティ向上に対する意識高揚の仕組みが不足している
・総論でなく具体論として何をすべきかについて議論と実践がまだ不足している
・職員は意識して行っているにもかかわらず、うまく説明できず空回りしているところがある

○分かりやすさに対する意識が不十分な職員も存在

・分かりやすい情報の発信に関して意識の徹底が十分でない
・ともすれば住民の意見ではなく自分たちの考えで進める意識がある

○外部の評価が不明なため暗中模索の取り組み

・外部からの具体的な評価がわからないため、暗中模索という感は否めない




■局・工事事務所の組織体制に関して

▼この1年間で変わった・向上したと感じること

○組織体制の整備が進んだ

・地域づくり担当官を大幅に拡大し、積極的に地域づくりを支援した
・本局にアカウンタビリティ向上委員会を設置し、計画策定・評価・改善に取り組んだ
・「道の相談室」を設置する事務所数が増加
・所長の意識改革の進展等により、組織的にアカウンタビリティ向上の取り組みを行う
 事務所が増えた
・一部の工事事務所において、調査課への広報スタッフの充実など広報部門の組織体制を
 強化する動きがでてきた
・局・事務所で実施委員会を設置し、組織体制を整備した
・行動計画を作成する過程である程度担当が定まった

○アカウンタビリティ向上を議論する場が増えた

・技術副所長会議、技術課長会議で議論や意見交換できる場ができた

○様々な取り組みでアカウンタビリティを意識化

・様々な取り組みの中でアカウンタビリティを意識するようになった
・副所長会議の提案で、各事務所で「コミュニティ型モデル事業」を試行した


▼この1年間で変わらなかった・向上しなかったと感じること

○事務所による体制づくりのバラツキ

・地域づくり担当官以外の体制について、事務所間でバラツキがある
・アカウンタビリティ向上に向け、事務所内での連携体制が確立されていない事務所もある

○具体的・継続的な取り組みが弱い

・「具体的に何が変わったのか」を国民へ明確に感じさせるに至っていない
・継続的な取り組みになっていない
・マンネリ化したイベントを継続的に実施しているところがある
・HPの再構成や各広報誌の見直し等、個々の施策の見直しが進んでいない
・HPの開設以外は事務所としての取り組みが具体的な形としてまだ見えていない

○その他

・積極的に取り組んでいる職員へのインセンティブが乏しい
・広報結果の効果把握を十分に行っていない





■対外的な対応に関して

▼この1年間で変わった・向上したと感じること

○住民とのコミュニケーション活動の進展化

・地域住民とのコミュニケーション活動・広聴活動が進展した
・すべてのEメールへの回答を実施
・HPによる意見募集・回答など一部の事務所で双方向の取り組みが進んだ
・記者発表資料の積極的な活用とHPへの掲載等が進んだ

○住民との連携の進展

・「総合的な学習の時間」、「NPOとの連携」などに対する前向きな取り組みが行われつつある

○他団体等とのコミュニケーション活動の進展

・建設事業連絡協議会などにより各県にアカウンタビリティ向上の取り組みを説明した

○分かりやすい資料づくりの進展

・対外説明資料の作成にあたって、従前以上に「わかりやすさ」を意識するようになった

○外部からの問合せ窓口の整備

・インターネットをはじめとする各種広報媒体の活用や、外部からの問合せ等に対する
 窓口の改善などが進んでいる

○マスコミへの対応の進展

・マスコミとの担当者レベルでの懇談会を開催するなど、今までより対応が進んだ
・ビジュアルな資料づくりが進んだ


▼この1年間で変わらなかった・向上しなかったと感じること

○事務所による取り組みのバラツキ

・「出前講座」の取り組みが事務所によってバラツキがある

○対外的な窓口の明確さ、NPOとの連携の弱さ

・対外的な窓口が明確でなく、NPOとの連携も乏しい

○マスコミ対応が不十分

・本局の記事掲載率が事務所と比較して少ない
・改善に関する数値目標がないことからマスコミの評価は低い
・記者発表の資料に改善の余地があるなど、マスコミに対する対応は十分でない

○地方自治体との連携が弱い

・地方自治体と連携した「広報」や「情報の共有化」の取組みが少ない

○外部の評価を把握できていない

・意識の変化は何となくみられるものの、外部の方から「わかりやすい資料になっている」
 という評価を得られるかは疑問
・対外的な対応に関する問題点の指摘や評価が聞こえてこない

○施策の実施・見直しが不十分

・施策の体系的推進が不十分である
・数多い広報誌の見直しが進んでいない
・誰を対象として説明資料をつくっているかが不明なものが多い