−記者発表資料− 平成11年6月21日 建   設   省   ISO9000シリーズ適用パイロット事業における効果把握・課題検討調査結果
 


 建設省では、平成6年9月に「品質、環境、労働安全衛生等に関する国際規格の公共工事への適用に関する調査委員会」(委員長 大臣官房技術審議官)を設置し、ISO9000シリーズ(ISO9000sと記す)の公共工事への適用性について検討を進めています。
 平成8年度からは、委員会での検討を踏まえ、実際の工事においてISO9000sによる品質マネジメントシステムを適用し、その具体的な手続き、内容及び効果を把握するとともに、適用する場合の課題及び対応策を検討することを目的として、ISO9000s適用パイロット事業を実施しています。また、平成9年11月には「ISO9000s適用パイロット工事効果把握・課題検討部会」を設置し検討を行ってきましたが、今般、検討結果を取りまとめましたので報告します。

 (1)調査実施内容(別紙参照)
  @「認証取得企業アンケート」
   ・ISO9000sを認証取得している建設関連企業へのISO9000sに関する意識調査
     配布数:295社、回収数:232社 (回収率 77%)
  A「発注者アンケート」
   ・公共工事発注機関へのISO9000sに関する意識調査
     配布数:176名、回収数:139名 (回収率 79%)
  B「パイロット工事現地調査」
   ・認証取得企業アンケートで得られた回答について、具体的な実施状況を確認するために、ISO9000s適用パイロット工事を対象に行われ    た現地調査
     23現場

 (2)主な調査結果
  各調査結果から、以下のことが確認された。
  1)「認証取得企業アンケート」及び「パイロット工事現地調査」
   @ 経営層を含めて、企業の品質に対する意識が高まっている。
   A 社内だけでなく、社外に対しても企業の品質に対する活動の透明性が高まっている。
   B 企業は、自主的に品質記録等を作成・管理することにより、自らの品質に対する活動を文書で説明できる体制を構築している。
   C ペーパーカンパニーでは審査登録機関の本審査、維持審査に合格することはできないと考えている。
  2)「発注者アンケート」
   @ 受注者の現場組織だけでなく、本社、支店等の会社組織全体の品質に対する活動が分かりやすくなることを重要と考えている。
   A 受注者の品質記録が充実し、必要な時にいつでも記録が確認できるようになることを重要と考えている。

  したがって、『公共工事にISO9000sを適用した場合の効果』は、以下の4項目にまとめられる。
    a.企業の品質に対する意識の向上
    b.企業の品質に関する活動の透明性の向上
    c.品質に関するアカウンタビリティーの向上
    d.ペーパーカンパニー排除の可能性の向上

  なお、公共工事にISO9000sを適用した場合に配慮すべき項目として@工事関係書類の簡素化・標準化、AISO9000sに対する発注者の理 解の向上、B品質システムの運用状況の確認の必要性、が挙げられた。

 (3)まとめ
  今回の調査結果から、公共工事にISO9000シリーズ(品質管理及び品質保証に関する国際規格)を適用することにより、
   ● 公共工事の品質保証がシステムとして明確になること
   ● このシステムが運用されることにより、公共工事の品質に関する透明性が確保されること
  が確認された。このことは、企業の社会的信頼性を向上させるのに有効であると共に、ペーパーカンパニーの排除にも繋がるものである。 
 

 したがって、公共工事にISO9000シリーズを適用することについては、発注者、受注者が積極的に対応することが望まれます。
  


 
 

 問い合わせ先 建設省大臣官房技術調査室
 


 
 
 
 

別 紙

1.認証取得企業アンケート
(1)調査対象者
   以下のISO9000s認証取得企業の品質管理部門の責任者295名
   (財)日本適合性認定協会の認定範囲「建設」「研究・開発」「コンクリート・セメント・石灰・石膏」における登録企業注1)と建設関連13団体   注2)の会員のうち前記にあてはまらないISO9000sの認証取得企業
   注1)登録企業
     平成10年5月末時点で(財)日本適合性認定協会のホームページに掲載されていた企業
   注2)建設関連13団体
     日本土木工業協会、建築業協会、建設コンサルタンツ協会、日本橋梁建設協会、日本道路建設業協会、河川ポンプ施設技術協会、
     日本電設工業協会、ダム・堰施設技術協会、プレストレスト・コンクリート建設業協会、全国測量設計業協会連合会、
     全国地質調査業協会連合会、セメント協会、日本空調衛生工事業協会
(2)実施日
   平成10年8月〜9月
(3)回収率
   配布数 295社   回収数 232社 (回収率=77%)

2.発注者アンケート
(1)調査対象者
   建設省 各地方建設局 工事事務所長等 136名
   日本道路公団(本社、各支局、建設局) 32名
   本州四国連絡橋公団(工務部、建設局、工事事務所長) 8名
   合計 176名
(2)実施日
   平成10年12月〜平成11年1月
(3)回収率
   配布数 176名   回収数 139名 (回収率=79%)

3.パイロット工事現地調査
(1)調査対象者
   ISO9000s適用パイロット工事受注者の現場代理人 23名
(2)実施日
   平成11年2月〜3月