事業者名  えちぜん鉄道株式会社
事例名称  京福福井線廃止からえちぜん鉄道運行へ
概要
 平成12年12月から2度にわたる列車事故等を起こした京福電気鉄道(株)は、事故後、列車運行されていない状況に加え、近年の景気の低迷やモータリゼーションの進展による鉄道利用者の減少傾向が顕著である等の理由から、将来的に鉄道経営を続けることは困難であるとして、13年10月に路線の廃止届書を提出した。
 しかし、福井県及び沿線自治体では、財政支援を行うこと等により鉄道として存続させていくこととして、14年9月、第3セクター会社「えちぜん鉄道株式会社」を設置し、京福電気鉄道鰍ゥらの事業承継を経て、15年7月運行再開に至った。  
取組の様子
えちぜん鉄道
協力者・関係者
存続に携わった関係者
鉄道事業者:京福電気鉄道梶Aえちぜん鉄道
地方自治体:福井県、福井市、勝山市、松岡町、永平寺町、上志比村、春江町、坂井町、三国町、芦原町
地域住民:サポート団体
背景
京福電気鉄道の廃止表明後、県及び沿線市町村で構成する「京福越前線活性化協議会」において、三セクにより鉄道として存続させるか代替バスに転換するかを検討。
その後、幾度となく協議会を開催し、通勤・通学などの住民の足、特に降雪時に強い交通機関として、また、魅力あるまちづくりへの活用等の地域活性化の観点から欠くことのできない社会基盤としての役割に加え、高齢化社会における福祉政策、地域や地球規模での環境対策等に資する機能を踏まえ、存続に向けて検討を続けた。最終的に知事沿線首長会議において第三セクター化により存続を図ることで合意される。
財政支援を行い、第三セクター会社「えちぜん鉄道株式会社」が事業を承継することとなった。
内容
行政及び地域住民(サポート団体)が一定の枠組みでの財政支援及び協力を行うこととなった。
【県・沿線市町村、地域住民等】
運行に伴う安全を確保するための助成措置として、運転再開に必要な工事費及び今後10年間の設備投資費については県が負担、大規模改良等については県及び沿線9市町村が協議する。
運営費の補填を含めた財政支援については、沿線9市町村が10年間で28億(資本金を含む)を負担。さらに鉄道事業に係る必要な資産獲得費についても、沿線9市町村が支援。
利用促進策としては沿線市町村が、P&R,駐輪場の整備を行うとともに、学校行事や出張等においてえちぜん鉄道叶マ極的に利用。
【国(運輸局)】
中部運輸局としては、存続決定後における県、沿線市町村、鉄道事業者等の役割分担及びスケジュール管理等を行うため、連絡調整会議を開催し、京福電鉄からえちぜん鉄道にスムーズな移行が図れるように調整。

鉄道事業者、沿線自治体の概要
事業形態   :第一種鉄道事業者
営業キロ   :53.0km
主な沿線自治体及び人口(平成15年3月末):三国町 24,019人、坂井町 13,308人、春江町 23,949人、福井市 249,639人、松岡町 10,363人、永平寺町 6,353人、上志比村 3,655人、勝山市 28,174人
効果
第三セクターとして再出発することとなり、財政的な緊迫状況が回避されたことから、ダイヤ改正による利便性向上、車両更新、駅舎の改修等のサービス改善、定期的な保守と施設の近代化対策が講じられるようになった。
各自治体におけるマイレール意識の高揚と鉄道利用促進のための諸施策、アイデア等に対する反応が期待できる
国(運輸局)が、公共交通活性化総合プログラムに採択し、沿線住民及び利用者に対するアンケート等を通じてハード・ソフト両面にわたるでニーズの把握を行うとともに、鉄道事業者、地域等の関係者が一同に会して、今後の利用促進策及び施設整備計画の方針について検討を進めている。
成功(失敗)理由
県が第三セクター化による鉄道線の存続に向けて対し主体的に働きかけ、それを受けた沿線市町村が財政面も含め積極的に関与を行ったこと等、関係自治体の支援の歩調が合わせられたこと。具体的には、運転再開に必要な初期投資額、及び今後10年間の維持管理コスト等を県及び、沿線自治体が負担することにより、第三セクター会社による事業承継をスムーズに運ぶことができたこと。
廃止後の地域交通のあり方を、代替バスへの転換等も含めた議論を行う中で、地域における鉄道の重要性(降雪時に強い交通機関としての鉄道等)が再確認されたこと。
今後の課題
コミュ二ティバス等の運行経路の見直し、新規路線の整備、さらなる利用者ニーズに則した利用促進施策の展開が望まれる。
えちぜん鉄道鰍ヘ、自治体の支援を受けており、今後、各施策の効果の検証、鉄道事業経営の情報開示等が必要。
10年間についての財政支援は決議されているものの、市町村合併等の課題があり、合併後の支援策等については議論されていない。
お問い合わせ先  中部運輸局