
交通分野における環境問題として、地球温暖化問題や大気汚染問題が深刻化するなかで、環境にやさしい社会の実現に向けた取組が急務の課題となっている。
地球温暖化問題については、平成9年の気候変動枠組み条約第3回締約国会議で採択された「京都議定書」において、日本は2008年(平成20年)から2012年(平成24年)までの間に1990年(平成2年)比で6%の温室効果ガス排出削減を行う
ことが定められている。
我が国全体のCO2排出量のうち、運輸部門の割合は約2割であるが、1990年度以降の増加率は、産業部門や民政部門等の他部門に比べて最も大きい。【表7】 さらに、運輸部門からのCO2排出量の約9割は自動車に起因するものであるため、
低公害車の開発普及等の単体対策や交通流対策に併せて、物流の効率化が重要な取組課題となっている。

物流における環境負荷について、鉄道を営業用トラックと比較した場合、輸送トンキロ当たりのCO2排出量では約8分の1【表8】、エネルギー消費原単位では約6分の1【表9】となっており、鉄道貨物輸送は物流における環境負荷の軽減という点で優れた特性を有している。

新総合物流施策推進大綱(平成13年7月閣議決定)
「地球温暖化問題等の社会的課題に対応した物流システムの構築」を施策の基本的方向の一つとして掲げ、こ
のため環境負荷の少ない大量輸送機関である鉄道・内航海運の活用(モーダルシフ
ト)を推進することとしており、モーダルシフト化率(500km以上の長距離雑貨輸送における鉄道・内航海運分担率)を平成22年までに50%超を達成することを目標 に掲げている。【表10】
地球温暖化対策推進大綱
(平成14年4月地球温暖化対策推進本部決定)
鉄道貨物輸送の推進や輸送力増強等の鉄道の利便性向上を図ることにより、鉄道へのモーダルシフトを推進することとしている。【表11】
環境負荷の小さい物流体系の構築を目指す実証実験
国土交通省では、平成14年度から、荷主・物流事業者の関係者が協力して計画的に鉄道・海運へのモーダルシフトなどの環境負荷低減策に取り組む実証実験を行う場合に、一定の効果が認められるものについては認定を行い、補助金を交付する助成制度を開始したところ。認定件数は鉄道へのモーダルシフトが全体の半分以上を占めており、鉄道へのモーダルシフトの意識が高まってきたことが伺える。(詳しくは、物流関係のホームページへ)
物流に関わる社会的課題として、環境に配慮した物流システムの構築が急務の課題とされる一方で、産業界を中心に国際競争に対応した物流業務効率化の要請が強まるなかで、鉄道、トラック及び内航海運を含めたモード間の競争が激化している状況にある。
このような競争に直面している物流市場において貨物鉄道の利用促進を図るためには、利用者のニーズに対応した優れた鉄道輸送サービスの実現が重要な課題となる。
JR貨物においても、鉄道輸送に係るリードタイムの短縮を図るため、ダイヤ改正時に併せて拠点間直行列車を増加するなど列車体系の見直しを行っている。また、貨物駅のコンテナホーム改良による荷役効率化(着発線荷役方式)などの施設整備に取り組んでいる。
国としても、鉄道特性の発揮しうる幹線コンテナ輸送を中心として、利便性の高い輸送サービスが実現されることにより、JR貨物の競争力強化や、将来に向けた経営基盤の強化が図られるよう、高性能機関車や貨車の更新投資に対する税制特例措置や、インフラ整備に対する国庫補助の助成措置等を講じている。【表12】
例えば、平成14〜18年度の間で、山陽線におけるコンテナ列車の長編成化による輸送力増強事業について、国庫補助による事業を実施している。【表13】