地下水は、良質で水温の変化が少なく、井戸による取水のため大規模な貯水・取水・供給施設を必要としないといった特徴があります。日本の地下水使用量は年間合計で約 122億m³(約百 二十二億立方メートル)であり、都市用水及び農業用水使用量の約12%を占めています。
高度経済成長の過程で地下水採取量が急激に増大したため、地盤沈下や塩水化といった地下水障害が発生し、大きな問題となりました。このため、地 下水障害が顕在化した地域を中心に、法律や条例等による採取規制や河川水への水源転換などの地下水保全対策が実施された結果、近年では一時期のような著し い地盤沈下は収まってきています。しかし、渇水の影響による地下水採取の急激な増加は、大きな地盤沈下を発生させる ことがあり、現在でも地下水採取と地盤沈下の問題は解決したということはできません。
代表的地域の地盤沈下の経年変化
(注)1.環境省「平成21年度全国の地盤沈下地域の概況」による。
2.主要地域の累積沈下量図である。
平成21年度 全国の地盤沈下の状況
(注) 環境省「平成21年度全国の地盤沈下地域の概況」による。
地下水の保全を目的に地下水の採取規制が行われています。工業用地下水を対象とする「工業用水法」、建築物用地下水を対象とする「建築物用地下水の 採取の規制に関する法律」があり、それぞれ地下水障害の発生地域を指定して地下水の採取規制をしています。また、多くの地方公共団体で地下水の採取を規制 する条例等を制定しています。広範囲に著しい地盤沈下が見られた、関東平野北部、濃尾平野、筑後・佐賀平野の3地域については関係閣僚会議において決定さ れ た地盤沈下防止等対策要綱によって総合的な対策がとられています。
水質保全の観点から、1989年より都道府県は水質汚濁防止法に基づき地下水質の汚染の状況を常時監視するようになりました。また、1996年には 水質汚濁防止法を改正し、汚染された地下水の水質浄化措置についての制度整備が行われています。 東京では地下水の揚水規制の効果が顕著であり、1960年代に比べ地下水位が約20m(二十メートル)回復しています。そのため、地下水位が低い当時に建設された建築物の基礎が不安定になるなど地 下水位の回復に伴った新たな問題も生じてくるようになっています。
作成日:平成15年7月4日/最終更新日:平成23年 1月 14日