身近な自然と触れ合う大切さ
ビオトープで見つける「自然との共生」
近江八幡近自然環境復元研究会会長
西川 勝氏
私どもの会は、まず何からやっていこうか、そして一体我々に何ができるんだろうかということで、自然との共生という大きなタイトルを掲げ、平成5年に設立を致しました。社会全体があらためて自然を語り始めた中での自然との共生ですから、とりあえず知っているところから手当たり次第に当たっていこうということで、中学校の理科の先生から、また建築屋さんから自動車屋さん、OLの方々に集まっていただきました。 この会場のすぐ近くの西の湖には日本一、二と言われております美しい水郷の葦地があります。私は昭和17年に生まれておりますが、そういった葦を見ていますと、八幡掘がやはり30年、40年前頃からどんどん変わってきたのがわかります。 とりあえず8人ぐらいでビオトープ造りをやったらどうだろうかということになりました。どの場所でどう造ったらいいのかを、色々と議論して、その結果、地元に私立の近江兄弟社学園という学校がありまして、そのこの先生にお願いしまして、西の湖の近くに新しく購入されたグランドの一角をお借りし、そこにビオトープを造り始めたわけです。聞き慣れない言葉かも分かりませんが、ビオというのは生育、トープというのは場所です。銀行と金融と考えていただいたらいいかと思います。合成語です。そんな中で、学校側と我々の考え方を整理し、色々と検討を重ねながら、小さなビオトープを造らせていただきました。 テーマとしましては、やはり自然との共生。研究活動の目的と致しましては、子どもたちに自然に触れ合える楽しい場所を与えてくれるということと、この研究によって、少しでもかつての面影のある自然を造り出して、子どもたちに身近な自然と触れ合う、楽しくすばらしいものをプレゼントしていきたいということ。時間がかかってもいいですから、そんなことを考えて進めていきました。また、生徒さんにもこの生態調査や研究ができる場所、生態系の観察園としてでもいいですからと、先生にお願いして観察していただきました。 他には地域のそういった水辺の河川、湖沼等の水生植物や小動物の生態調査を致しております。川と言っても、冬場の非常に水のひいた時にカヌーで走っていますと、大変たくさん湧き水が湧いているんです。非常にきれいな水がポコポコと吹き上がっています。 また河川のコンクリート護岸とか鉄板護岸が非常に多くなっているように思います。中学校の生徒さんを対象に、「今の川はどうですか」というアンケートをとってみますと、汚い、臭いということばかりの回答なんですね。やはり大人が感じたようなことなんです。 自然との共生の中では、蜂に刺されたら痛い、毛虫に刺されるとかゆいと、色々なことがありますが、そういうこともある程度体験をしてみないとわからない。デスクワークだけじゃなくして、やはり刺されて初めて経験をし、その経験を活かすことができる。河川でもそうで、バリケードを張って、危ない、危険というよりも、むしろ入る場所を作ってやる方が、私個人的には、昔の本当の人間の生き方じゃないかと考えています。 この、生態を大切にした川づくりをもう一度見直していただいて、まちづくりに少しでも役に立つことができたらと思っています。 |
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