維持管理の活動も、
地域のコミュニケーションを築く場となるのです
浅小井町まちづくり委員会事務局長
松村 務氏
近江八幡のまちづくりは、八幡掘は結構大々的に色々な事業をされているんですけれど、周辺の集落では、これといった活動はあまり見あたりませんでした。そこで今から10年前に、もっとおもしろい町にしようではないかというところから、この浅小井町にどういう宝があるのか、何かまちづくりをする材料はあるのかということを色々と話し合い、プランを練ってきました。 まず最初に、湧水の里というものを造ろうと。一度埋め立てられて広場になっていたところを、水が湧き出るのが見えるポケットパークにしようと、自分たちで図面を描きました。四つも五つもプランを作り、一つにまとめたものを市役所へ届け陳情しました。行政がその時うまく話に乗ってくれて、工事をしてもらったんです。協定を結んでまちづくりをこれからやっていこうという一番最初の事業だったんですけれども、その時にタイミングよく行政が動いてくれたことで、非常にまちづくりする者にとっては不安だった事業が、目に見えるものになったということで、それ以降、まちづくり活動にはずみがつきました。 それがきっかけで、同じような手法で「上の湧水公園」、「お池さん」とか、いくつかのポケットパークを造っていきました。魚を放流したり、魚つかみ大会をしたり、そしてその場所で今度は大人たちは川掃除をしたりと、色々水との関わりができてきたんですけれども、水に接する機会が増えることで、水の汚れが気になりだしました。本来であれば、この集落の川は湧き出た水だけが水源になっているので、水はきれいなはずなのですが、どうしても汚くなっている。よく調べてみると、家庭の台所の流しから出る生活排水が原因ということがわかってきました。 自分たちの汚した水は自分たちの集落内できれいにして琵琶湖へ戻そうと、家庭から流れる雑排水をパイプで分離して、集落の下流に造った浄化施設で水質浄化してその場所で放流しています。琵琶湖に一番近いところにいる集落ですので、汚せばダイレクトに琵琶湖が汚れます。市役所の職員さんを講師に呼んで、台所から流す水がいかに琵琶湖を汚しているかとか、そういう勉強会もやってきたところです。 そういうことで、水質の浄化施設を造ったり、公園や湧水のポケットパークを造ったり色々してきたわけなんですけれども、最近はものを造るというよりも、どちらかというと、ソフト的なものに活動がシフトしてきました。たくさん造ったポケットパークや公園の維持管理や、「曳山とイ草の館」という自治会立の資料館、自前で造っていますので維持管理費も全て自分たちで出さなければならない、そういう管理をしていくというのが、現在の活動の中心になっています。年に四、五回は清掃作業があり、「たくさんの公園を造ったからこんなに世話をしないといけないのや。大変だ。」という声も地域の中から聞こえてきたりもします。しかしながら、そういう維持管理をするというのも、一つの地域のコミュニケーションを築く場であり、こういうコミュニケーションができるということがこの浅小井町の宝じゃないかと、最近そんなことをまちづくりのメンバーと話し合ったりしているところです。 |
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