ドイツでは、①助成、②間接的な支援(雨水流出量の減少効果に関する優遇措置)、
③生態的な補償(ecological compensation:BAFとして制度化)、
④法規・政策といった屋上緑化の普及推進制度のカテゴリーの全てにおいて政策が用いられている屋上緑化の先進国である。
1970年代より屋上緑化に積極的に取り組んでいる。1975年には、屋上緑化の技術的なガイドライン(FLL)を作成した。
1983年から1997年、西ドイツの中庭緑化プログラム(Courtyard greening program)が行われた。
これは、1m2当たり施工費の約半額に相当する37ドルから75ドルが助成され、この期間中に63,500m2の粗放的な屋上緑化が導入された。
1983年までには、少なくとも24都市が屋上緑化に対する助成金を行っており、1997年には、それが4倍以上に増加した。
1984年より所有地からの雨水排水量も水道料金に加算されることになったため、雨水流出量の減少を目的として屋上緑化が促進された。
この制度により、屋上緑化にかかった費用は、少なくとも10年から15年で回収できると言われている。
現在、ベルリンでは、新築建物の半分が屋上緑化を導入しており、そのほとんどが粗放型の屋上緑化である。
BAFは、土地利用形態によって、係数により点数化し、所有面積当たりの環境保護に有効な面積を計算して、
目標値に達するようにランドスケープ計画を誘導するガイドラインである。
これはベルリンで、生態系に配慮した質の高い都市開発のために開発された。
住宅地の場合は0.6、商業施設の場合には0.3を目標としている。
このファクターはディベロッパーが自由に緑化形態を選択できる点と分かりやすさが評価され、
スウェーデンや北アメリカの一部の地域、韓国などで取り入れられている。
■ 表-1 BAFにおける土地利用形態と係数
近年、ドイツでは屋上緑化とソーラーパネルを組み合わせるケースが増えてきている。
屋上表面の温度が25℃以上になると、1℃上昇するごとにソーラーパネルのエネルギーの生産効率は0.5%が下がると言われている。
5年間にわたる既往研究では、屋上を緑化することによりソーラーパネルの下部の温度が下がるため、
非緑化のソーラーパネルと比較するとエネルギー生産が平均6%上昇した。
電力会社による余剰電力を買い取りが55セント/kWhで行れているため、10年以下で屋上緑化とソーラーパネルのコストが回収できると言われている。
ソーラーパネルの下は日陰になるため、様々な生育環境をつくることができ、生物多様性にも貢献している。
ソーラーパネルと屋上緑化を組み合わせる
屋上表面の温度が25℃以上になると1℃上がるごとに0.5%効率が下がる
屋上緑化によりソーラーパネルの効率が約15%良くなった
電力会社による太陽光発電の余剰電力を買取り―55セント/kWh
10年以下でコストを回収
■ 図-13 小学校における屋上緑化(シュトゥットガルト)