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土地所有権はインドネシア国民(個人)にのみ認められている。法人は国内外資本の別に関わらず所有権に代わる権利を得たうえで、建物を建てる等して操業することになる。
土地(一定の住居用の不動産を除く。)の所有権を取得できるのはインドネシア国民に限られており、法人は外国資本・内国資本に限らず原則土地の所有権を取得することができない。従って、法人は事業権、建設権、使用権等の権利を土地に設定して事業に必要な限度において当該土地を利用することになる。
事業権、建設権は、インドネシア国民またはインドネシア法に基づき設立され、インドネシア国内に本拠のある法人であれば保持することができる。
使用権、借地権は、インドネシア国民およびインドネシア法に基づき設立されたインドネシア国内に本拠を有する法人に加えて、インドネシアに居住する外国人およびインドネシアに駐在員事務所を持つ外国企業にも保有が認められている。
地域の指定、土地の指定、土地使用権の承認、建設許可の発給、公害関係法規に基づく許可は、各州投資調整局(BKPMD:Badan Koordinasi Penanaman Modal Daerah)で行われる。
自由貿易地域など保税が認められた地域に立地する企業は、当該管理庁または管理会社を通じて土地の利用に関する手続きを行う。
登記制度はあるが、日本と異なり、一般には公開されていないため、登記上の権利者に対して開示を要求することになる。土地の登記簿は、管轄の土地局において作成・管理されている。なお、登記簿の登記内容を記載した土地権利証はインドネシア語であるため、翻訳が必要となる。特に地方においては、 アダット(慣習法上の土地)と呼ばれる、未登記の土地が多く存在する。未登記の土地については、実務上、その土地の固定資産税に相当する税金を支払っていることを証する書面(Girikと呼ばれる)を確認することにより、間接的にその土地の権利を確認する方法がとられる。一般的に登記に要する期間は比較的長く、 また未登記のままの土地が特に郊外や地方において多く存在することから、土地の権利関係の調査は慎重に行う必要がある。
※譲渡税、取得税の支払いは同時に行える
不動産鑑定士は、財務省Ministry of Finance(Kementerian Keuangan)に認可される国家資格である。鑑定基準を決定する機関のインドネシア職業鑑定士協会(MAPPI:Masyarakat Profesi Penilai Indonesia)
が鑑定評価基準SPI(Standar Penilaian Indonesia)を発行している。
MAPPIの会員となっている鑑定士数は約3,500人。
インドネシアの鑑定業界では、国際的企業からの評価などグローバル化に対する意識が強く、早くから積極的に国際評価基準(IVS:International Valuation Standards)を参照してインドネシア評価基準(SPI:Standard Penilaian Indonesia)を作成(改訂)している。一方でインドネシアの土地制度にはアダットと呼ばれる慣習法に基づく種々の権利が一部地域に現存しており個別性が非常に強い。従って、この様なローカルな事情・状況を組み入れてSPIが作成されているので、IVSとは完全に一致はしていない。
土地・不動産の所有権、土地・不動産の登記
日本貿易振興機構(JETRO)「インドネシアの不動産利用制度 」(2010年1月)(p.10,12)
日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る インドネシア 外資に関する規制」
日本貿易振興機構(JETRO)「ビジネス法規ガイドブック(インドネシア)2015年2月」
土地・不動産の登記
法務省「インドネシアにおける強制執行、民事保全 及び担保権実行の法制度と運用の実情に関する調査研究」(2012年3月)(p.31)
土地・不動産の所有権、土地・不動産の登記
IFC「Doing Business」
不動産の鑑定評価
国土交通省「不動産鑑定評価基準の国際化に関する検討業務に係る調査報告書」(2011年3月)(p.82)
不動産事業を行う際の免許制度
森・濱田松本法律事務所「アジア不動産法制」(2018年)
野村総合研究所調べ
不動産購入者を保護する制度として消費者保護法や業者に対する倫理綱領等が存在する。また、中古住宅に対するインスペクションは一般的であり、契約によっては交渉の余地があるが、基本的に費用は買い手が支払う。
不動産の瑕疵に関しては、購入する物件の状態を精査確認するのは買主の責任であるため、契約締結後に見つかった物件の欠陥については、たとえ買主が申し立てやそれらを根拠に契約を破棄する法的権利を持っていたとしても、それらを行使することは現実には非常に困難である。
個人向け住宅ローンは着実に増えており、ジャカルタにおける銀行貸出も一貫して伸びている。金利別は固定金利と変動金利が採用されており、固定金利から変動金利へ変更となる場合もある。しかし、外国人は現地の住宅金融サービスを利用できない。
住宅ローンを中心とした政府系銀行であるBTNは国の出資比率60.13%(2014年末)だが、機能的には商業銀行と位置づけられる。主に住宅ローンの 融資を業務としつつ、預金業務も行なう政府系銀行BTNの補助金付き住宅ローンのマーケットシェアは95.77%(2017年6月)、一般向け住宅ローンのマーケットシェアは約35.4%(2017年3月)となっており、上記いずれもトップで、インドネシアの住宅金融を支えている。
インドネシア中央銀行が旧令『15年第17/10号』を改正し、住宅ローンの規制を緩和した中銀令『2016年第18/16号』を施行した。
物件価格に対する住宅ローンの借入額の比率である融資比率(LTV)の上限を引き上げ、一戸建て住宅の場合、面積70平方メートル超の1戸目の購入者に対する融資比率の上限を、従来の80%から85%に引き上げた。購入者は頭金15%を払えば、残金の住宅ローンを組めることになる。
融資比率の上限引き上げが認められる金融機関は、融資残高に占める不良債権の割合をネット値で5%未満、住宅ローンの貸付総額に占める不良債権比率をグロス値で5%未満とすることも規定した。不動産業界の活性化につなげ、経済成長を後押しする狙い。
住宅所有率を劇的に引き上げることを目指して、政府は2016年に「国民の住宅貯蓄に関する政令2016年第4号」を定め、施行規則(政令2020年第25号)が大統領により署名された(政令2020年第25号)。「国民住宅貯蓄(インドネシア語表記:TabunganPermahanRakyat,orTAPERA)」は、 すべての就労者に国民住宅貯蓄基金への貢献を要求する仕組み(強制加入)。基金の一部は「住宅百万戸プログラム」のための住宅建設に利用される。
一般的な契約期間は住居で1年、事務所で2年となっている。通常賃料は前払いである。契約終了時に貸主の合意があれば借主は契約期間の延長が可能であるが、貸主が拒否することも可能である。契約期間中に借主は契約を解除することができるが、賃料は前払いであるため放棄しなければならない。
消費者保護、不動産行政の方向性、不動産金融、不動産のリース
NNA調べ(2016年8月)業界関係者へのヒアリング
2017年大統領令第50号(インドネシア商業省広報部)
低所得層向け住宅の建設計画・経済政策パッケージ13弾
個人向け住宅ローン
住宅ローン規制緩和・中銀令『2016年第18/16号』
課税基礎額は実際の土地取引価格または政府が毎年定める土地課税対象販売価格のうち高い方が適用される。
土地・建物の権利を譲渡する場合には、譲渡する側に土地・建物の権利譲渡にかかるみなし利益に関して所得税が発生する。この税金は「譲渡総額(課税標準)」の2.5%に設定されている。しかしながら、不動産開発事業を営む納税者が行った簡易ハウスと簡易アパートメントの譲渡に関しては、税率は 1%である。
不動産取得税(BPHTB)は、課税対象取得価額(Nilai Perolehan Objek Pajak:NPOP)に基づき、NPOPは、ほとんどの場合、実際の市場取引価額、もしくは対象となる土地建物の不動産課税評価額(NJOP)のどちらか高い価額である。特定の取引での税額は、その対象となるNPOPから課税免除価額を差引いた金額に、税率(5%)を適用して決定される。
土地・建物税:政府発表の土地の標準価格(NJOP)に応じて課税基準額が決まる。
納税額=課税基準額×0.5%
1982年に、日本は租税条約を締結。
不動産所得(譲渡所得を除く)は、不動産の所在地においても課税され、インドネシアに所有する不動産から賃貸収入を得る場合、インドネシアで課税される。
不動産取得に関する税制、不動産保有に関する税制
日本貿易振興機構(JETRO)「国・地域別に見る インドネシア 税制」
外国資本企業(外国資本が外国投資法に基づき設立した株式会社)は、インドネシアの不動産法制上、原則として内国法人と同様の扱いが保証されており、外国資本企業による土地に関する権利の取得については、外国投資の促進の観点から国が一定の便宜を供与する旨規定している(投資法(2007年法第25号)第21条)。
一方、駐在員事務所は、固有の法人格を有さないため内国法人と同様の扱いを受けることができず、取得しうる不動産に関する権利は外国資本企業に比べて非常に限定されている。
また、1996年6月17日付政令第41号により、インドネシアに居住する外国人に居住用住宅の保有が認められることとなった。ただし、使用権が付された土地に限られる。大統領令2015年第103号にて土地の使用権は30年、引き続きインドネシアに居住する限り更新は20年と変更された。なお、インドネシアでの居住を中止する場合、1年以内に権利譲渡しなければならない。
2018年7月1日付労働大臣規定2018年第10号にて、インドネシアで雇用される外国人労働者は次の要件を満たすことが義務付けられている。
・就労予定の役職要件に応じた学歴を有していること
・就労予定の役職に従った、少なくとも5年間の就業経験を有すること
・インドネシア人労働者、特に外国人の後継となるインドネシア人に専門知識の移転をする準備があること
・納税者番号(NPWP)を有すること(就労期間が6カ月を超える外国人労働者)
・暫定居住許可(ITAS)を有すること
参照 建設業に関する外資規制等
1996年6月17日付政令第41号により、インドネシアに居住する外国人に居住用住宅の保有が認められることとなった。ただし、使用権が付された土地に限られる。大統領令2015年第103号にて土地の使用権は25年から30年、引き続きインドネシアに居住する限り更新は25年延長から20年と変更された。なお、インドネシアでの居住を中止する場合、1年以内に権利譲渡しなければならない。
また、在留外国人の住宅所有に関する政令『2015年第103号』の実施細則に当たる農地・土地計画相令『15年第13号』の改正令『16年第29号』を2016年9月に発布。外国人1人/1世帯につき1区画の土地で、その広さは原則2,000平方メートルまでに制限され、外国人が購入できる住宅・アパートの最低価格も規制された。
たとえば、ジャカルタでは住宅なら100億ルピア以上、アパートは30億ルピア以上。バンテン州と西ジャワ州の場合は、住宅はいずれも50億ルピア以上、アパートはバンテン州で20億ルピア、西ジャワ州で10億ルピア以上など。
現在外国人による不動産投資は活発であり、主にASEAN諸国、日本、韓国、アメリカ、中東諸国などが挙げられる。
外国人が不動産取引を行った場合、借地権の延長に関する問題が発生する可能性が高い。また、外国企業は現地の住宅金融サービスは利用できない。
外資に関する優遇措置もしくは規制
日本貿易振興機構(JETRO)「外国企業の土地所有の可否」
外国人による不動産の取引について
政令(2015年第103号)
農地・土地計画相令『16年第29号』(インドネシア語)
BTMU「アジア新興国の不動産法制2017」
主要都市等におけるマーケット情報
日本貿易振興機構(JETRO)「 国・地域別に見る 投資コスト比較」
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