土地・不動産・建設業

【調査結果】平成20年地価公示に基づく地価動向について(圏域別)

平成20年地価公示に基づく地価動向について(圏域別)


平成20年3月25日
国土交通省土地・水資源局
 

I. 全国

 ・ 平成19年1月以降の1年間の地価変動率は、全国平均で住宅地1.3%、商業地3.8%となり、ともに昨年に続いて2年連続して上昇となった。

II.三大都市圏

 ・ 三大都市圏では、平均で住宅地4.3%、商業地10.4%上昇し、住宅地は2年連続して上昇、商業地は3年連続して上昇となった。
 ・ 都心部では、ブランド力の高い地域や優良住宅地、高度に商業業務機能が集積した地区において、年間30%を超える高い上昇を示す地点が見られた。
 ・ 景気回復が続く中、マンション・オフィス需要、不動産投資等を背景として、各圏域都心部の上昇傾向が継続し、周辺地域へ広がりを見せたものの、昨年後半、上昇基調の鈍化が見られた。
 ・ 地価上昇の周辺地域への広がりは、都心部に近接した地域及び鉄道沿線など都心部への接近性・交通利便性や収益性の高い地域を中心に見られたが、相対的に利便性・収益性が劣る地域では、下落となった。


1. 東京圏
(1)住宅地
 ・ 東京圏では、平均で5.5%上昇し、2年連続して上昇となった。
 ・ 東京都区部は、都心回帰の動きやマンション需要、不動産投資等を背景として10%を超える上昇となったが、都区部及び都心部のそれぞれにおいて前回の上昇率を下回った。また25%を超える高い上昇率を示す地点は、港区及び渋谷区の3地点に縮小した。
 ・ 都下郊外部では、都心と結ぶ鉄道沿線の駅周辺地域を中心に、武蔵野市、立川市、府中市等において、また、川崎市、横浜市、千葉市、さいたま市等においてそれぞれ上昇幅が拡大したが、これは駅周辺の利便性を背景とした住環境の優れた地域でのマンション需要の増大、住宅需要の回復等により上昇地点が増加したためである。
 ・ 圏域縁辺部においては、住宅需要の回復等により上昇地点が大幅に増加したが、一部の地域では下落幅は縮小したものの依然として下落が続いている。これは、通勤・通学の利便性の劣る地域や相対的に宅地供給の過大や需要の低迷が続いている地域である。

(2)商業地
 ・ 東京圏では、平均で12.2%上昇し、3年連続して上昇となった。
 ・ 港区、渋谷区、新宿区、豊島区等の高度商業地においては、30%を超える高い上昇地点が見られたが、これは景気回復が続く中、オフィス需要、不動産投資、都市再開発、地下鉄副都心線の開業期待等を背景とした賃料の上昇による収益性の向上や商業集積による繁華性の向上等が要因となったものである。しかしながら、半期ごとの地価動向を見ると、昨年後半以降、上昇率が鈍化した地点が大半となった。
 ・ 都下の郊外部では、立川市、武蔵野市、府中市等においてそれぞれ上昇幅が拡大したが、これは都心と結ぶ鉄道沿線の拠点都市として広域的な後背地を商圏に有し、駅を中心とした商業施設整備・拡充等により繁華性、収益性等が向上したためである。
 ・ 横浜市、川崎市及び川口市においてそれぞれ上昇幅が拡大したが、これは駅周辺の再開発事業等で繁華性、収益性等が向上したためである。
 ・ 浦安市、市川市及び千葉市では3年連続して平均で上昇となり、さいたま市等でも平均で上昇となったが、これはマンション需要やマンション建設による集客力期待等を背景としたものである。
 ・ また、地域の商圏の中心となるその他の中核都市では、それぞれ上昇幅が拡大し、さらに沿線駅の背後人口の比較的多い市部で上昇となった。
 ・ 圏域縁辺部では、駅周辺の地域ではマンション需要等も見られ、人口増加による集客力期待等を背景に大幅に上昇地点が増加しているが、一部の地域では下落幅は縮小したものの、依然として下落が続いている。これは郊外型大規模商業施設の進出等の影響により既存商業地の集客力の減退等が進んでいるためである。

2. 大阪圏
(1)住宅地
 ・ 大阪圏では、平均で2.7%上昇し、2年連続して上昇となった。
 ・ 大阪市、京都市及び神戸市といった圏域の中心都市では、引き続き平均で上昇傾向を示しており、兵庫県における住環境の優れた従来からの優良住宅地等においては15%を超える上昇率を示す地点も見られたが、これは圏域内で限定的なものである。
 ・ 阪神地域では芦屋市、西宮市等において、郊外部では箕面市、豊中市等においてそれぞれ上昇幅が拡大したが、これは大阪都心への接近性・生活利便性や住環境の優れた地域へ住宅需要が拡大したためである。
 ・ 京都市近隣では京田辺市、宇治市等においてそれぞれ上昇幅が拡大したが、これは利便性や住環境に優れた地域において住宅需要が顕在化したためである。
 ・ 奈良県は、近鉄奈良線沿いの奈良市及び生駒市の利便性や住環境に優れた住宅地の需要が顕在化し、平均で平成3年以来17年ぶりに上昇となった。
 ・ 圏域縁辺部では、下落地点が減少するとともに、ほとんどの下落地点の下落幅が縮小した。

(2)商業地
 ・ 大阪圏では、平均で7.2%上昇し、3年連続して上昇となったが、前回の上昇率を下回った。これは上昇地点は増加したものの、大阪市、京都市等における中心商業地の上昇幅が縮小したためである。
 ・ 大阪市は、平均で前回の上昇率を下回り、とくに北区、中央区等では上昇率の鈍化が顕著となった。また、大阪駅周辺や御堂筋沿いの地域では依然として30%を超える上昇率を示す地点も見られたが、このような地点は、圏域内で限定的なものである。
 ・ 京都市は、平均で前回の上昇率を下回り、とくに中京区、下京区等では上昇率の鈍化が顕著となった。このほか、京都市近接の宇治市、長岡京市等においてそれぞれ上昇幅が拡大したが、これは駅前等の整備による利便性等の向上のためである。
 ・ 兵庫県では、神戸市が平均で2年連続上昇となったが、これは景気回復に伴うオフィス需要等を背景として、神戸市の市内中心部で引き続き高い上昇となったためである。このほか、阪神地域において平均で3年連続上昇となったが、これは大阪市への接近性・交通利便性に優れた都市で上昇が継続したためである。
 ・ 奈良県では、奈良市及び生駒市中心部で観光需要等の回復を背景として、平均で平成3年以来17年ぶりに上昇となった。 
 ・ 圏域縁辺部では、下落地点が減少し、とくに大阪府においては全ての地点が横ばい又は上昇となった。その他の県においても、下落地点が減少するとともに、ほとんどの下落地点の下落幅が縮小した。

3.名古屋圏
(1)住宅地
 ・ 名古屋圏では、平均で2.8%上昇し、2年連続して上昇となった。
 ・ 名古屋市では、守山区、緑区、天白区等の周辺区において上昇傾向が強まり、3年連続して平均で上昇となった。これは景気回復が続く中、周辺区においても利便性や住環境の優れた地域で需要が増大してきたためであるが、一方、先行して上昇した東区、昭和区等の中心区では、前回より上昇率が鈍化した地点も見られた。このほか西三河地域と同地域と名古屋市の中間に位置する尾張東部地区においても上昇地点が増加し、平均上昇率が増加した市町が多数現れたが、これは好調な地域経済を背景とした堅調な住宅需要の持続によるものである。
 ・ 名古屋市では15%を超える上昇率を示す地点も見られたが、これは利便性に優れた中心部の住宅地や住環境に優れた優良住宅地に限定されている。
 ・ 三重県では、桑名市等で一部上昇地点が見られたが、これは名古屋方面に近く、市中心部にも近い利便性、住環境に優れた住宅地で、需要が回復したためである。
 ・ 圏域縁辺部では、依然として下落が続いているが、これは主として名古屋市までの交通利便性が劣る地域や地域経済の衰退等により、相対的に宅地需要が低迷している地域である。

(2)商業地
 ・ 名古屋圏では、平均で8.4%上昇し、3年連続して上昇となった。
 ・ 名古屋市では、超高層ビルの建設が進み、事務所等の集積が高まった名古屋駅周辺や繁華性、収益性等が高まっている市内中心部で30%を超える上昇率を示す地点が見られたが、先行して上昇した地域では上昇率が鈍化した地点も見られ始めた。
 ・ 豊田市、安城市等がそれぞれの平均上昇率が増加したが、これは主として好調な地域経済を背景としたものである。
 ・ 三重県では、四日市市及び桑名市が平均で上昇となったが、これは駅周辺で再開発等商業集積が進み、収益性が向上したためである。
 ・ 圏域縁辺部では、下落幅は縮小したものの、依然として下落が続いているが、これは郊外型大規模商業施設の進出等の影響により既存商業地の集客力の減退等が進んでいるためである。
 

III. 地方圏

(1)住宅地
 ・ 地方圏全体では、平均で△2.7%が△1.8%となり、4年連続して下落幅が縮小した。
 ・ 地方ブロックの中心都市のうち、札幌市は3年連続、福岡市は2年連続して上昇となった。また、仙台市では平成3年以来17年ぶりに平均で上昇に転じ、広島市は平均で横ばいとなった。特に、仙台市青葉区では、20%を超える上昇率を示す地点も見られた。
 ・ その他の地方中心都市でも、まちづくりの取り組み、市街地整備や交通基盤整備等により、大津市及び岡山市は平均で2年連続して上昇となったほか、静岡市及び浜松市は政令指定都市に指定されて以来初めて平均で上昇となった。また、前橋市、新潟市、高松市、熊本市等で上昇地点が現れた。
 ・ その他の地方都市では、人口増加やマンション需要、交通基盤整備等を背景に、滋賀県草津市及び栗東市で2年連続上昇となったほか、茨城県つくば市、福岡県春日市等が平均で上昇となった。また、北海道倶知安町、沖縄県石垣市及び恩納村で観光需要の増大を背景に平均で上昇となった。北海道苫小牧市で工場進出、大規模商業施設開業の影響等により上昇地点が見られた。
 ・ これらの地域以外では、人口減少の影響等により、郊外部を中心に需給が緩んでいること等を背景として、依然として下落している。

(2)商業地
 ・ 地方圏全体では、平均で△2.8%が△1.4%となり、4年連続して下落幅は縮小した。
 ・ 中心都市では、札幌市は3年連続、仙台市、広島市及び福岡市は2年連続して平均で上昇となった。特に、札幌市、仙台市及び福岡市の繁華性、収益性等の優れた一部地域では2年連続して30%を超える上昇率を示す地点も見られたが、これは不動産投資やオフィス需要を背景に収益性等が向上したためである。
 ・ その他の地方中心都市でも、中心市街地活性化や交通基盤整備等を背景として、静岡市、浜松市、大津市、岡山市及び松山市は2年連続平均で上昇し、金沢市、熊本市及び鹿児島市が平均で上昇に転じた。また沖縄県那覇市、石垣市等で観光需要の増大を背景に平均で上昇となった。また高崎市、新潟市、富山市、東広島市及び高松市で市街地再開発事業や駅前区画整理事業等により、上昇地点が現れた。
 ・ その他の地方都市では、新幹線開業後のホテル需要等を背景として、函館市で平均で上昇となった。
 ・ これらの地域以外では、中核的大規模施設の撤退、郊外型大規模商業施設の進出による既存商業地の衰退等の影響により、依然として下落している。

(3)その他
 ・

工業地においては、景気回復による企業収益の改善等を背景として、工場地・流通業務用地等への需要が活発化しつつあり、平成3年以来17年ぶりに全国平均で上昇となった。

 ・ 三大都市圏においては、東京圏では臨海部において物流施設に対する需要を背景として上昇地点が見られる。特に、市川市では湾岸道路沿いの地域において、外環道への期待等を背景として平均で30%を超える高い上昇率となった。大阪圏では、臨海工業地への工場進出を背景として堺市が平均で10%を超える上昇となった。名古屋圏では、伊勢湾岸道路沿線の愛知県臨海工業地の東海市、名古屋市港区及び飛島村で物流用地の需要の増大や交通利便性の向上により高い上昇率を示す地点が現れた。
 ・ 地方圏においても、企業収益の改善等を背景として静岡県、滋賀県及び岡山県が平均で上昇となり、東広島市では2年連続上昇となった。また、新名神高速道路の部分開通を間近に控え工場立地が進む滋賀県守山市で2年連続して上昇地点が現れた。

問合せ先: 国土交通省土地・水資源局地価調査課
(電話)03-5253-8111(内線30-353) (FAX)03-5253-1578

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