土地・不動産・建設業

平成22年地価調査に基づく地価動向について(圏域別)

平成22年地価調査に基づく地価動向について(圏域別)

平成22年9月
国土交通省土地・水資源局地価調査課

(注) 三大都市圏とは、東京圏、大阪圏、名古屋圏をいい、それぞれ、

    東京圏:首都圏整備法による既成市街地及び近郊整備地帯を含む市区町村の区域。
    大阪圏:近畿圏整備法による既成都市区域及び近郊整備区域を含む市町村の区域。
    名古屋圏:中部圏開発整備法による都市整備区域を含む市町村の区域。

 

と定義している。したがって、都府県によっては、三大都市圏と地方圏にまたがっている場合があり、三大都市圏の状況として言及されている数値がその都府県全体のものとは一致しない場合がある。

1) 三大都市圏

1 東京圏

(1) 住宅地
  • 東京圏は、平均で△3.0%と前回の△6.5%よりも下落幅が縮小し、上昇、横ばい地点も僅かに見られた。
  • 東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県はいずれも、平均で2年連続下落となった。
  • 東京都区部は、平均で△3.1%と前回の△10.6%よりも下落幅は縮小した。特に都心部では、前回二桁の大きな下落を示した千代田区、中央区、港区、渋谷区等で、値頃感から住宅地需要の回復が見られ下落幅は一桁に縮小し、利便性や選好性が高い中央区、港区では、マンション・戸建の潜在的需要のある地域で横ばい地点が見られた。
  • 東京都区部都心部における地価公示との共通地点の半期毎の地価動向を見ると、ほとんどの地点において下落幅が縮小し、横ばい地点が多く見られ、中央区及び港区では上昇地点も見られた。
  • 多摩地域は、平均で△3.5%と前回の△7.7%よりも下落幅が縮小した。都心に近い地域では下落幅が縮小傾向にあり、前回二桁の大きな下落を示した調布市、国分寺市等では、住宅需要の回復が見られ下落幅は一桁に縮小した。なお、稲城市では区画整理事業等の進展により横ばい地点も見られた。一方、都心から遠い西多摩地域の町村部では下落幅が拡大した地域も見られた。
  • 埼玉県は、平均で△3.4%と前回の△5.8%よりも下落幅は縮小し、全ての市町村で下落幅が縮小した。都心に近接し利便性や選好性の高い県南部の住宅地は値頃感から需要が回復しているが、県北東部では依然高い下落率となっている。
  • 千葉県は、平均で△2.9%と前回の△5.0%よりも下落幅は縮小し、一部を除きほとんどの市町村で下落幅が縮小した。都心に直結する鉄道沿線の利便性・選好性の高い住宅地では、値頃感から需要が回復し、千葉市花見川区、市川市、八千代市では横ばい地点が見られた。
  • 神奈川県は、平均で△2.0%と前回の△5.4%よりも下落幅は縮小した。特に川崎市では前回△7.6%から△1.3%に下落幅が大きく縮小し、中原区及び高津区でそれぞれ上昇地点が見られた。
  • 政令指定都市のさいたま市、千葉市、横浜市、川崎市及び相模原市はいずれも、平均で2年連続下落となった。
  • 圏域縁辺部では、相対的に交通利便性の低い地域や人口減少により宅地需要が低迷している地域で下落幅が拡大した。
(2) 商業地
  • 東京圏は、平均で△4.1%と前回の△8.9%よりも下落幅が縮小し、上昇、横ばい地点も僅かに見られた。
  • 東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県はいずれも、平均で2年連続下落となった。
  • 東京都区部は、平均で△5.5%と前回の△12.0%よりも下落幅は縮小した。都心部では、昨年いずれも平均で二桁の下落となったが、今回は中央区を除き一桁の下落となった。
  • 中央区は、ブランド力の高い一般高度商業地域を有するが、店舗賃料の低水準や空室率の高止まり等により、前回に引き続き二桁の下落となった。また、千代田区においては、業務高度商業地域における空室率の高止まりに伴うオフィス賃料の低水準や空室率の高止まり等により△8.7%の下落となった。
  • 一方、豊島区においては、大型店舗の進出により繁華性が増した地域において、前回二桁の下落から、今回ほぼ横ばいの地点も見られた。また、中央区の利便性や選好性が高い地域においては、潜在的なマンション素地需要があり、値頃感から横ばい地点が見られた。
  • 地価公示との共通地点の半年毎の地価動向を見ると、都心部のほとんどの地点において後半は下落幅が縮小し、横ばい地点も見られた。
  • 多摩地域は、平均で△3.6%と前回の△7.6%よりも下落幅は縮小した。
  • 埼玉県は、平均で△4.0%と前回の△7.1%よりも下落幅は縮小した。朝霞市、和光市、新座市、富士見市ではマンション素地需要の高まり等から△1%台の下落となった。
  • 千葉県は、平均で△3.4%と前回の△5.8%よりも下落幅は縮小した。前回二桁の下落となった市川市、浦安市では下落幅縮小となっているが、依然県内では高い下落率にとどまっている。また、柏市は空室率の上昇、賃料の低下等を背景に前回より下落幅が拡大した。
  • 神奈川県は、平均で△2.6%と前回の△6.7%よりも下落幅は縮小した。川崎市中原区では、今年3月に新駅が開業し、再開発が進む武蔵小杉駅周辺の地点において上昇地点や横ばいが見られ、平均でも東京圏で唯一上昇となった。また、横浜市戸塚区では、市街地再開発事業の進展により横ばい地点が見られた。
  • 政令指定都市のさいたま市、千葉市、横浜市、川崎市及び相模原市はいずれも平均で2年連続下落となった。
  • 圏域縁辺部では、交通利便性の低い地域や商店街等の集客力が相対的に減退していることを背景に引き続き下落している。

2 大阪圏

(1) 住宅地
  • 平均で△3.6%と前回の△4.5%よりも下落幅が縮小した。
  • 大阪府では、大阪市中心6区が平均で△3.5%と前回の△6.2%よりも下落幅が縮小した。一方、人口減少の大きい北部の豊能町、南東部の河内長野市などにおいて比較的大きな下落となった。
  • 大阪市中心6区における地価公示との共通地点の半期毎の地価動向を見ると、ほとんどの地点において後半は下落幅が縮小し、横ばいの地点も見られた。
  • 堺市では、平均で△4.3%と前回の△4.5%に引き続き下落となった。
  • 兵庫県では、神戸市が前回の△5.1%から△3.3%と下落幅が縮小し、中でも東部4区の縮小傾向が顕著となっている。特に東灘区では、前回の△7.0%から△2.3%と下落幅が大きく縮小した。
  • 京都府では、京都市中心5区が平均で△4.3%と前回の△5.9%よりも下落幅は縮小した。需要の底堅い向日市、長岡京市、京田辺市、木津川市では比較的小さな下落幅となった。
  • 奈良県は△3.5%と前回の△3.6%に引き続き下落幅となった。
  • 圏域縁辺部では、相対的に交通利便性の低い地域や人口減少により宅地需要が低迷している地域で引き続き下落した。
(2) 商業地
  • 平均で△5.3%と前回の△7.1%よりも下落幅は縮小し、上昇、横ばい地点も僅かに見られた。
  • 大阪市中心6区は、平均で△10.6%と前回の△13.3%より下落幅は縮小したものの、引き続き二桁の下落となった。
  • 大阪市内における地価公示との共通地点の半期毎の地価動向を見ると、ほとんどの地点において後半は下落幅が縮小した。
  • 堺市では、平均で△6.3%と前回の△7.5%よりも下落幅が縮小した。
  • 神戸市では前回平均△8.1%から△4.1%と下落幅が縮小し、特に中央区では前回の△12.2%から△4.4%と下落幅が大きく縮小した。
  • 京都市中心5区は、平均で△3.9%と前回の△6.3%よりも下落幅は縮小した。京都市の中京区、下京区内の中心商業地においては、マンション素地需要の高まりや商業機能等の集積により上昇、横ばい地点が見られた。
  • 奈良県は、平均で△3.8%と前回の△3.7%に引き続き下落となったが、奈良市中心部では、上昇地点が見られた。
  • 圏域縁辺部では、小規模店舗を中心とする既存商店街で集客力が相対的に減退していること等を背景に引き続き下落している。

3 名古屋圏

(1) 住宅地
  • 平均で△1.3%と前回の△4.2%よりも下落幅が縮小し、上昇地点が見られ、横ばい地点も少なからず見られた。
  • 愛知県は、平均で2年連続下落となった。
  • 名古屋市は、平均で△1.4%と前回の△6.4%よりも下落幅が縮小し、2年連続の下落となった。市内中心部の千種区や昭和区は、昨年の二桁の下落から下落幅が縮小し、緑区では、平成23年3月に地下鉄の延伸が予定されていること等により上昇地点が見られ、区全体の平均変動率は上昇となった。
  • 名古屋市以外の地域では、西三河地域の豊田市、刈谷市、安城市、岡崎市等では、住宅需要が堅調であり、ほぼ横ばいとなった。
  • 地価公示との共通地点で半期毎の地価動向を見ると、圏域内の多くの地点において後半は下落幅が減少し、横ばい地点も多く見られた。
  • 三重県では、四日市市、桑名市等で下落幅が縮小した。
  • 圏域縁辺部では、相対的に交通利便性の低い地域や人口減少により宅地需要が低迷している地域では引き続き下落した。
(2) 商業地
  • 平均で△2.9%と前回の△7.3%から下落幅が縮小したが、上昇、横ばい地点も僅かに見られた。
  • 愛知県は、平均で2年連続の下落となった。
  • 名古屋市では、平均で△4.3%と前回の△11.9%から下落幅が縮小した。緑区では、地下鉄の延伸等により上昇地点が見られ、平均変動率は上昇となった。
  • 名古屋市以外の地域でも全域で下落幅は縮小し、刈谷市では再開発等の影響で上昇地点が見られ、平均変動率は上昇となった。
  • 地価公示との共通地点で半期毎の地価動向を見ると、圏域内の多くの地点において後半は下落幅が縮小し、横ばい地点が多く見られた。
  • 三重県では、四日市市及び桑名市で下落幅が縮小した。
  • 圏域縁辺部では、交通利便性の低い地域や既存商店街等の集客力が相対的に減退している地域では引き続き下落している。

2) 地方圏

(1) 住宅地
  • 平均で△3.6%と前回の△3.4%に引き続き下落したが、上昇、横ばい地点も僅かに見られた。
  • 地方ブロック中心都市を見ると、札幌市と広島市が前回よりも下落幅が拡大し、仙台市と福岡市が前回よりも下落幅が縮小した。
  • 岐阜市では、平均で△2.7%と前回の△2.4%よりも下落幅が拡大したが、名古屋への通勤の利便性や住環境に優れた住宅地で値頃感により上昇地点が見られた。
  • 静岡県長泉町では住宅地需要が堅調なことから、上昇、横ばい地点が見られ、裾野市、清水町等では横ばい地点が見られた。
  • 新潟市、富山市及び津市では、市内の住宅地における根強い需要により横ばい地点が見られた。
  • 熊本市では、平均で△2.7%と前回の△3.1%よりも下落幅が縮小し、熊本駅周辺の開発・整備の影響により上昇地点、横ばい地点が見られた。
  • 鹿児島市では、平均で△3.9%と前回の△2.7%よりも下落幅が拡大したが、鹿児島中央駅周辺では横ばい地点が見られた。
(2) 商業地
  • 平均で△4.8%と前回の△4.9%に引き続き下落となったが、上昇、横ばい地点も僅かに見られた。
  • 地方ブロック中心都市では、札幌市、仙台市及び福岡市はいずれも下落幅が縮小となった。中でも福岡市は、昨年は△15.9%が△6.2%と下落幅は縮小した。また、平成23年3月の九州新幹線(鹿児島ルート)全線開業に向けた博多駅のリニューアル及び駅前の周辺整備の影響からほぼ横ばいの地点が見られた。
  • 静岡市では、土地区画整理事業の進捗に伴い、前回に引き続き上昇を示す地点が見られた。
  • 伊勢市では、近年の観光客増加等を背景に上昇地点が見られた。
  • 北海道倶知安町では、アジア地域からの外国人観光客の増加等を背景に横ばい地点が見られた。

3) 工業地

  • 全国平均は△3.9%と前回の△4.2%に引き続き下落となったが、上昇、横ばい地点も僅かに見られた。
  • 三大都市圏は、平均で△2.9%と設備投資の抑制等を背景に前回の△4.4%に引き続き下落となったが、市川市及び川崎市で横ばい地点が見られた。
  • 地方圏は、平均で△4.1%と前回の△4.1%に引き続き下落率となり、ほとんどの地点で下落を示したが、唯一、青森県七戸町で、本年12月に開業を予定している東北新幹線新駅に近接する工業地で道路整備等の進展から上昇地点が見られた。
(問合わせ先)
国土交通省土地・水資源局地価調査課地価公示室
(電話)03-5253-8111
(内線30-353)
(FAX) 03-5253-1578

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