平成10年度建設投資見通し(補正後ベース)

建設省 建設経済局 調査情報課

平成10年6月18日公表

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1 平成10年度建設投資見通しの概要


 平成10年度の建設投資は、前年度比0.7%増の75兆1,100億円と、2年ぶりに増加する見通しである。
 

 

  1.  平成10年度建設投資を政府・民間別に見ると、政府投資は 34兆1,600億円(前年度比 4.5%増)、民間投資は40兆9,500億円( 同 2.3%減)となり、建築・土木別には、建築投資が 39兆7,300億円( 同 1.2%減)、土木投資が35兆3,800億円( 同 2.8%増)となる見通しである。
  2.  平成10年度の建設投資を実質ベースで見ると、70兆2,400億円(前年度比0.9%増)となる見通しで、政府・民間別には、政府が 31兆8,900億円( 同4.5%増)、民間が 38兆3,400億円( 同 2.0%減)となり、建築・土木別には、建築が37兆1,000億円( 同 0.8%減)、土木が33兆1,400億円( 同2.9%増)となる見通しである。
  3.  なお、平成9年度の建設投資は前年度比 9.8%減の 74兆6,200億円となる見込みである。このうち政府投資は 同 6.5%減の32兆6,900億円、民間投資は 同 12.1%減の41兆9,300億円と見込まれ、建築・土木別には、建築が 同 12.1%減の40兆2,200億円、土木が 同 6.8%減の34兆4,000億円となる見込みである。
  4.  過去20年間の建設投資の推移を見ると、昭和57、58年度と2年連続で前年度比マイナスとなったものの、59年度には再びプラスに転じ、平成2年度には80兆円台にまで達した。その後も平成4年度の84兆円を最高に平成5年度までの4年間は80兆円台で推移した。しかし、バブル崩壊後民間建設投資が減少し、平成6、7年度と80兆円台を下回った。平成8年度は民間住宅投資の増加により80兆円台を回復したものの、平成9年度は民間住宅投資の大幅な減少をはじめとして政府建設投資、民間建設投資ともに減少し、74兆円台となった。平成10年度は、公共事業予算が当初予算では削減されたものの、総合経済対策により、建設投資は平成9年度を上回り、75兆円程度となる見通しである。
  5.  平成10年度の建設投資額を地域別(10ブロック)に見ると、建設投資額全体及び土木では、関東、近畿を除いて、前年度の水準を上回り、建築では東北、四国、九州を除いて、前年度の水準を下回る見通しである。
  6. 平成10年度建設投資見通し(総括表:Excel形式)

2 政府建設投資の動向


 平成10年度の政府建設投資は、総合経済対策により、前年度比 4.5%増の34兆1,600億円と、平成7年度以来3年ぶりに上昇する見通しである。

 

  1.  平成10年度の政府建設投資は、

   という減少要因があったものの、

   により前年度比 4.5%増の34兆1,600億円となる見通しである。

  1.  このうち、建築投資は前年度比2.0%増の 6兆1,100億円となり、その内訳は住宅投資が 同 13.5%減の2兆200億円、非住宅建築投資が 同 12.0%増の4兆 800億円となる見通しである。
     土木投資は、前年度比 5.0%増の28兆 500億円となり、そのうち公共事業は 同 6.1%増の24兆5,900億円、公共事業以外は、公営ガス等が伸びるものの、全体では 同 2.0%減の 3兆4,700億円となる見通しである。
  2.  平成9年度の政府建設投資は、当初予算において公共事業費等の伸びが確保されたものの、前年度からの繰越しが平成8年度に比べ大幅に減少したと見込まれることに加え、平成10年2月に成立した補正予算の規模が前年度に比べ小さかったことから、前年度比6.5%減の32兆6,900億円となる見込みである。

 

(参考)政府建設投資の概念区分

政府建設投資 建 築 住 宅
非住宅
土 木 公共事業 治山、治水、海岸
道路
港湾、漁港、空港
生活環境施設(公園 、下水道、環境衛生)災害関係
その他の公共事業(農業基盤、林道等)
その他 地方公営関係事業等
(鉄道、電力・ガス、上・工業用水道、その他)

3 住宅投資の動向


 平成10年度の住宅投資は、着工戸数では増加に転ずると見込まれるものの、投資ベースでは2年連続して減少し、前年度比2.8%減の23兆9,700億円となる見通しである。

 

  1.  平成10年度の住宅建設は、住宅金融公庫の基準金利の引下げや経済対策等により、新設住宅着工戸数は、前年度を上回るものと見込まれるが、130万戸台と水準は高くない見通しである。投資ベースでは、平成9年度後半から10年度初の着工戸数水準が低いことから、前年度比2.8%減の23兆9,700億円となる見通しである。
  2.  平成9年度の住宅建設の動向を新設住宅着工戸数で見ると、消費税率引上げに伴う駆け込み着工の反動、低金利等を背景とした需要の先食い、所得の伸びの低迷やリストラ等による雇用不安、景気動向の先行き不透明感等により、前年度を大幅に下回る約134万戸となった。利用関係別には、持家が29.1%減、貸家が16.3%減、給与住宅が8.2%減、分譲住宅0.4%減となっている。また、建築着工統計の居住用建築物の床面積及び工事費予定額においても、平成9年度は、それぞれ 20.7%、20.8%の減少となっている。このため、平成9年度の住宅投資は 前年度比 16.2%減の24兆6,700億円と大幅な減少となった。

    

  (参考)住宅投資の概念区分

住宅投資 政府住宅
民間住宅

4 民間非住宅建設投資の動向


 平成10年度の民間非住宅建設投資(非住宅建築及び土木)は、前年度比3.0%減の19兆円と、2年連続して減少する見通しである。

 

  1.  平成10年度の民間非住宅建設投資(非住宅建築及び土木)は、個人消費の低迷等を背景として企業の設備投資が減少することが見込まれることから、前年度比 3.0%減の19兆円となる見通しである。
  2.  このうち、民間非住宅建築投資は、着工ベースで平成9年度後半より減少傾向にあること、平成10年度においても事務所を中心に着工床面積が減少することが見込まれることから、平成10年度の投資ベースでは前年度比1.9%減の11兆6,800億円となる見通しである。
  3.  民間土木投資は、民間設備投資に関連する土木工事が民間企業の設備投資計画の減少により、減少することが見込まれることから、前年度比 4.8%減の7兆3,300億円となる見通しである。
  4.  平成9年度の民間非住宅建築は、個人消費の低迷等により、サービス業を中心に着工床面積が減少し、投資ベースでは、前年度比1.9%減の11兆9,100億円と、減少に転ずる見込みである。

(参考)民間非住宅建設投資の概念区分

民間非住宅建設投資 建 築 非住宅
土 木 鉄道(JR、私鉄)
電信・電話(NTT)
電力(9電力等)
私営ガス
民間土地造成
民間構築物(その他)


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