一般経済の動き 一般経済の動き (平成12年1月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、年末に比べれば持ち直しているものの、収入が低迷していることから、改善傾向の定着には至っていない。住宅建設は、このところやや減少していたが、直近は、一時的な要因もあり、高水準となっている。設備投資は、総じて下げ止まりつつあり、持ち直しの動きが広がっている。公共投資は、事業の実施は前年を下回っているが、着工などには、第二次補正予算などの効果が現れている。輸出は、アジア向けを中心に増加している。
 在庫は、ほぼ調整を終了し、生産は、緩やかに増加している。
 雇用情勢は、残業時間や求人の増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 企業収益は、改善している。また、企業の業況判断は、なお厳しいが改善が進んでいる。
 我が国経済は、全体として需要の回復が弱く、厳しい状況をなお脱していない。しかし、各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響から、景気は、緩やかな改善が続いている。企業の活動に積極性もみられるようになるなど、自律的回復に向けた動きが徐々に現れている。
 政府は、公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくとともに、21世紀の新たな発展基盤を築くため、経済新生対策を始めとする諸施策を推進する。

 個人消費は、年末に比べれば持ち直しているものの、収入が低迷していることから、改善傾向の定着には至っていない。
 実質消費支出(全世帯)は前年同月比で12月4.0%減の後、1月(速報値)は3.2%減(季節調整済前月比1.6%増)となった。

 住宅建設は、このところやや減少していたが、直近は、一時的な要因もあり、高水準となっている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で12月3.0%減(前年同月比0.8%減)となった後、1月は16.4%増(前年同月比16.8%増)の11万3千戸(年率135万戸)となった。

 設備投資は、総じて下げ止まりつつあり、持ち直しの動きが広がっている。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で11年12月は16.1%増(前年同月比14.7%増)の後、12年1月は0.8%増(同21.2%増)となり、基調としては持ち直しの動きが見られる。
 民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、このところ増加しており、1月は季節調整済前月比18.1%増(前年同月比44.9%増)となった。

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は、ほぼ調整を終了し、生産・出荷は、緩やかに増加している。
 鉱工業生産(季節調整値)は、前月比で12月1.2%減の後、1月(速報)は、輸送機械、化学等が減少したものの、電気機械、一般機械等が増加したことから、0.9%増となった。鉱工業出荷(季節調整値)は、前月比で12月1.0%減の後、1月(速報)は、資本財、生産財等が増加したことから、2.3%増となった。鉱工業生産者製品在庫(季節調整値)は、前月比で12月1.5%減の後、1月(速報)は、非鉄金属、繊維等が減少したものの、電気機械、石油・石炭製品等が増加したことから、1.1%増となった。


 雇用情勢は、残業時間や求人の増加といった動きがあるものの、完全失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい。
 有効求人倍率(季節調整値)は11月0.49倍の後、12月0.49倍となった。完全失業率(季節調整値)は、11月4.5%の後、12月4.6%となった。

 輸出は、アジア向けを中心に、増加している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で12月0.6%増の後、1月は1.4%増(前年同月比6.9%増)となった。

 輸入は、アジアからの輸入を中心に、増加している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で12月0.3%減の後、1月は7.3%減(前年同月比9.1%増)となった。

 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、基調としては緩やかに減少している。
 1月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大し、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅が拡大し、8,561億円となった。

 消費者物価は、安定している。
 総合は、前年同月比で12月1.1%の下落の後、1月は0.9%の下落(前月比0.3%の下落、季節調整済前月比保合い)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告(平成12年3月17日)」による。〕



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