平成12年10月13日発表

運輸経済月例報告 平成12年7月のトピックス



〜交通関連企業の景況感の動向について(速報)〜

交通関連企業約500社に9月1日現在でアンケート調査を実施。
交通関連企業の景況感はいまだに厳しいが、回復の傾向。下半期に向けた見通しも前年9月の調査と比較すると全面的に回復。
最近の景況感では、全体ではまだ「良い」と回答する企業が12%、「悪い」と回答する企業が60%と、「悪い」とみる企業の方が多い。
業種別に見ると、外航海運、航空運送(定期)、旅行業でDIがプラスに。内航海運も大幅に回復。

 運輸省情報管理部では、9月1日時点での交通関連企業の景況感・経営動向等についてアンケート調査を実施している。
 現在、10月中旬の公表に向けて取りまとめ中であるが、その速報を今回のトピックスで紹介する。

1.調査の概要

 このアンケートは、各業種毎に、主要事業者10〜20社とランダムに抽出した事業者10社〜20社を選び出し、全体で504社に対して行ったものである。
 今回は、最近の景況感、今後の見通し、売上高の見通し、人手不足感を調査しており、現在、448社から回答、有効回答率は88.8%となっている。

【対象業種(かっこ内は回答者数)】

◎貨物輸送部門(187社)
外航海運業(27社)、内航海運業(31社)、国内フェリー(22社)、倉庫業(38社)、港湾運送業(29社)、トラック運送業(40社)
◎旅客輸送部門(201社)
鉄道業(JR7社、民鉄29社)、乗合バス事業(42社)、ハイヤー・タクシー事業(36社)、国内旅客船業(20社)、航空運送業(定期7社)、登録ホテル業(36社)、旅行業(24社)
◎輸送関連部門(60社)
造船業(26社)、自動車整備業(24社)、航空運送業(不定期10社)

2.調査結果(速報)の概要

(1)最近の景況感(全体)

 最近の景況感について、交通関連産業全体では、「良い」と回答する企業が13%、「悪い」と回答する企業が60%と、まだ「悪い」とみる企業の方が多いが、3月に行った前回調査と比較すると、DI(「かなり良い・やや良い」と回答した企業の割合から「かなり悪い・やや悪い」と回答した企業の割合を引いた差)のポイントは、25ポイント上昇した。特に、貨物部門では、DIが32ポイント上昇しており、景況感の回復が示されている。これは、我が国企業の生産が回復する傾向にあることを受け、収入面では厳しい状況にあるものの、貨物の輸送量が全般的に上向きになっていること等によるものと考えられる。
 また、回答の内容を詳細に見てみると、「かなり悪い」「やや悪い」と回答した企業の割合が前回調査より9〜10ポイント程度減少しており、景況感に明るい兆しが見えてきていることがわかる。

最近の景況感

  良 い 悪 い 今回DI(a) 前回DI(b) (a)-(b)
全 体 12.5% 59.6% - 47.1 - 72.5 + 25.4
貨 物
旅 客
その他
12.8%
12.4%
11.7%
49.7%
66.7%
66.7%
- 36.9
- 54.2
- 55.0
- 69.3
- 73.0
- 80.8
+ 32.4
+ 18.8
+ 25.8

最近の景況感に関する事業者(全体)の回答状況

(2)業種毎の状況
 業種別に見ると、外航海運、航空運送(定期)、旅行業で「良い」が「悪い」を上回った。また、この3業種のほか、内航海運、JRが前回調査との比較でDIが50ポイント以上回復している。

 最近の景況感
部門・業種 良い 悪い DI 前回(12.3)DI 前回調査との差

貨  物

外航海運(27) 40.7 29.6 11.1 -26.1 37.2
内航海運(31) 19.4 41.9 -22.6 -86.7 64.1
フェリー(22) 4.5 81.8 -77.3 -84.2 6.9
倉庫(38) 5.3 50.0 -44.7 -84.4 39.7
港湾運送(29) 6.9 51.7 -44.8 -63.0 18.2
トラック(40) 5.0 50.0 -45.0 -65.7 20.7

旅  客

旅客船(20) 5.0 80.0 -75.0 -73.7 -1.3
JR(7) 14.3 42.9 -28.6 -100.0 71.4
民鉄旅客(29) 0.0 65.5 -65.5 -71.4 5.9
乗合バス(42) 0.0 85.7 -85.7 -89.2 3.5
ハイヤー・タクシー(36) 8.3 86.1 -77.8 -81.3 3.5
航空運送(定期)(7) 71.4 14.3 57.1 -14.3 71.4
登録ホテル(36) 8.3 63.9 -55.6 -88.2 32.6
旅行業(24) 50.0 20.8 29.2 -28.0 57.2

その他

航空運送(不定期)(10) 20.0 60.0 -40.0 -71.4 31.4
造船(26) 7.7 84.6 -76.9 -100.0 23.1
自動車整備(24) 12.5 50.0 -37.5 -60.0 22.5

(3)今年度下半期の見通し
 今年度の下半期については、「良くなる」と回答した企業が20%、「悪くなる」と回答した企業が31%であり、まだ楽観視できる状況ではない。しかしながら、前年の同時期と比較すると、DIが20ポイント上昇し、特に、貨物輸送分野についてはDIが−3ポイントとなるなど、交通事業者は、今後とも最近の状況が続き、厳しい状況が改善されると感じていることがわかる。

今年度下半期の景況感の見通し

  良くなる 悪くなる 今回DI(a) 前回DI(b) (a)-(b)
全 体 19.4% 30.6% - 11.1 - 30.7 + 19.5
貨 物
旅 客
その他
23.0%
18.9%
10.0%
26.2%
34.3%
31.7%
-  3.2
- 15.4
- 21.7
- 20.2
- 38.2
- 37.9
+ 17.0
+ 22.8
+ 16.2

(4)「最近の景況感」DIの推移
 「最近の景況感」DIは、アンケートを開始した平成4年以降、常に各部門ともマイナスで推移している。交通関連企業全体でみた場合、今回の数値は、平成10年9月以来4回連続して上昇しており、平成8年3月の調査に次いで2番目に高い数値となっている。

景況感DI


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