一般経済の動き 一般経済の動き (平成8年10月)


 我が国経済の最近の動きをみると、設備投資は回復傾向にあり、住宅建設は高い水準で推移しており、個人消費も緩やかな回復傾向にある。また、純輸出の減少テンポは鈍化している。こうした需要動向を背景に、生産は増加傾向にある。以上のように、景気は回復の動きを続けている。そのテンポは緩やかであるものの、民間需要は堅調さを増している。ただし、雇用情勢は改善しつつあるもののなお厳しい状況が続いている。
 個人消費は、緩やかな回復傾向にある。
 実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で8月 0.0%増の後、9月は 4.4%減(前月比 3.0%減)となった。
 住宅建設は、高い水準で推移している。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で9月 9.3%増(前年同月比17.4%増)となった後、10月は 7.7%増(前年同月比 21.4%増)となった。
 設備投資は、回復傾向にある。
  機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で8月は11.1%減(前年同月比11.4%増)の後、9月は 10.2%減(同 3.6%増)となり、全体では緩やかな回復傾向にある。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、おおむね横ばいで推移してきたが、10月は前月比48.2%減(前年同月比13.4%減)となった。
 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、増加傾向にある。在庫は10月は増加した。
 鉱工業生産は、前月比で9月 1.5%増の後、10月(速報)は3.5%増となった。鉱工業出荷は、前月比で9月 1.8%増の後、10月(速報)は 3.3%減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で9月 1.0%減の後、10月(速報)は 0.6%増となった。
 


 雇用情勢をみると、改善の動きがみられるものの、完全失業率は高い水準で推移するなど、厳しい状況が続いている。
 有効求人倍率(季節調整値)は、9月0.71倍の後、10月0.73倍となった。完全失業率(季節調整値)は、9月 3.3%の後、10月 3.4%となった。
 輸出は、強含みに推移している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で9月 4.1%減の後、10月は 8.1%増(前年同月比 9.9%増)となった。
 輸入は、伸びが鈍化しているなか、10月は増加した。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で9月 3.1%増の後、10月は 5.8%増(前年同月比 4.3%増) となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字幅は緩やかな縮小傾向で推移しているが、そのテンポは鈍化している。
 9月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が縮小し、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、891億円となった。
 消費者物価は、安定している。
 10月の全国指数をみると、前年同月比0.5%の上昇(前月比 0.2%の上昇)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告」による。〕