運輸経済月例報告 今月のトピックス 運輸経済月例報告 平成8年2月のトピックス



 景気回復過程における国内貨物輸送の動向(月例ベース)
 今回の景気回復過程の国内貨物輸送は過去と比べ低調
最近の我が国の景気は、平成5年10月を谷として緩やかながら回復基調にあり、8年4月で30ケ月となるが、昭和52年以降3回の景気回復過程における国内貨物輸送の動向と今回の輸送動向を四半期の前年同期比で比較してみると、震災の影響による航空貨物の大幅な伸びを除いて低い伸びで推移している。

景気回復過程における国内貨物輸送は、過去の例では概ねJR貨物、内航海運(貨物船)を除き特別積合せトラック、一般トラック及び航空が景気回復過程以前から対前年同期比でプラスになっており、今回は航空のみが景気回復過程以前からプラスに転じている。

また、景気回復過程における国内貨物輸送は、輸送機関別に違いはあるものの、回復過程に入っておよそ1年で前年に対する伸びがピークとなる傾向が過去の例から読み取れる。

ちなみに、今回の景気回復過程に入ってからの1年後の四半期の伸び率をみると、6年10月〜12月期において、伸びが一番高い航空が 7.6%増、一番低いJR貨物が 1.7%増となっている。過去の例をみると、61年12月からの景気回復過程では62年10月〜12月期において、伸びが一番高い航空が16.9%増、一番低い一般トラックが 5.5%増となっている(JR貨物は減少)。また、58年3月からの景気回復過程では59年1月〜3月において、伸びが一番高い航空が11.9%増、一番低い内航貨物(貨物船)が 6.2%増となっている(JR貨物は減少)。さらに、52年11月からの景気回復過程では53年10月〜12月期において、伸びが一番高い航空が19.4%増、一番低いJR貨物が 1.8%増となっている。これらの状況をみると、今回の貨物輸送の伸び率は景気回復過程に入って1年後の状況が過去のものより低く、また、その後も航空を除いて低い伸びで推移している。

なお、景気動向とは別の要因として、震災による影響で航空が7年1月〜3月期に16.7%増と高い伸びを示し、逆にJR貨物は 9.9%減となっている。

 (注1)JR貨物は、昭和62年3月以前は国鉄の実績である。
 (注2)特別積合わせトラック及び一般トラックは、平成2年11月以前はそれぞれ路線トラック、区域トラックの実績である。