一般経済の動き 一般経済の動き (平成9年5月)


 我が国経済の最近の動向をみると、設備投資は回復傾向にあり、純輸出は増加している。また、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減がみられるものの、個人消費は緩やかな回復傾向にあり、住宅建設は高い水準で推移している。こうした需要動向を背景に、生産は増加基調にある。 以上のように、一時的に回復テンポが緩やかになっているものの、堅調な民間需要を中心に景気は回復の動きを続けている なお、雇用情勢は厳しい状況に あるものの、改善の動きがみられる。
 個人消費は、消費税率引上げに伴う一時的変動もあるものの、緩やかな回復傾向にある。  実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で4月 1.0%減の後、5月は 2.2% 減(前月比 1.7%減)となった。
 住宅建設は、消費税率引き上げに伴う一時的変動もあるものの、低金利の継続等 を背景に高い水準で推移している。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で4月 0.3%減(前年同 月比9.3%減)となった後、5月は 2.7%減(前年同月比 9.3%減)となった。
 設備投資は、回復傾向にある。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で3月は12.7%減(前年同月比0.1%増)の後、4月は 7.2%増(同6.1%減)となり、全体として増加傾向にある。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、前月比で4月 19.6%減の後、5月は 33.0%増(前年同月比 13.8%増)となった。
 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、増加基調にある。在庫は2ヶ月間増加した。
 鉱工業生産は、前月比で4月 0.5%減の後、5月(速報)は3.8%増となった。鉱工業出荷は、前月比で4月 2.8%減の後、5月(速報)は3.8%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で4月3.1%増の後、5月(速報)は 1.9%増 となった。


 雇用情勢をみると、完全失業率が高い水準で推移するなど厳しい状況にあるものの、 改善の動きがみられる。
 有効求人倍率(季節調整値)は、4月0.71倍の後、5月0.73倍となった。完全失業率(季節調整値)は、4月 3.3%の後、5月 3.5%となった。
 輸出は、強含みに推移している。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で4月 8.1%増の後、5月は 4.1%増(前年同月比13.1%増)となった。
 輸入は、おおむね横ばいで推移している。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で4月2.1%増の後、5月は 0.2%増(前年同月比 2.1%減) となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加している。
4月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大するとともに、サービス収支の赤字幅が縮小したため、その黒字幅は拡大し、 5189 億円となった。
 消費者物価は、安定している。  4月の全国指数をみると、前年同月比1.9%の上昇(前月比 2.0%の上昇)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告」による。〕