運輸経済月例報告 今月のトピックス 運輸経済月例報告 平成9年7月のトピックス



  最近の中長距離フェリー輸送の動向  

 長距離航路は、トラックが好調、乗用車は横這い
 利便性の高い航路の利用が増加  

 最近の中長距離自動車航送船(フェリー)による自動車航送台数の動向をみると、中距離航路は低調であるが、長距離航路は各航路とも、トラックが概ね順調に増加し、乗用車は横這いという傾向にある。なお、阪神・淡路大震災による神戸港の被災については、起終点を大阪港等の周辺港にシフトして運航したこと等により、中長距離フェリー全体での輸送量には大きな変化が生じなかった。

○長距離航路(300q以上)の動向を、@関東〜北海道航路、A近畿・新潟〜北海道航路、B関東〜九州・四国航路、C阪神〜九州航路、の各方面別にみてみる。

@関東〜北海道航路では、トラックは、6年度に大幅に増加しその後 も順調に増加を続けており、一方、乗用車は、6年度に増加したものの、その後は減少傾向にある。
 個別の航路でみると、大洗港を起終点とする航路の利用台数は2日に1便から毎日運航となった6年度に大幅に増加し、その後も順調に増加しているのに対し、東京港を起終点とする航路は微増で推移している。これは、大洗港からの航路が東京港からの航路に比べ、所要時間が約10時間短く、アクセスを含めた総所要時間でも有利なこと、及び運航ダイヤが貨物の集配活動等に適した時間(上り下りとも深夜出航、翌日18時〜20時到着)に設定されていること等によるものと思われる。

A近畿・新潟〜北海道航路では、トラック、乗用車とも順調に増加を 続けている。これは、高速フェリーの投入等フェリー事業者による積極的な輸送力増強策と、日本海を直行するフェリーの地理的な優位さが反映しているものと考えられる。
 敦賀〜小樽航路と舞鶴〜小樽航路を比べると、航海距離はほぼ同じであるが、新しく高速フェリーが投入され、所要時間が約8時間短くなった敦賀〜小樽航路は、8年度には対前年度比19%増と大きな伸びとなっているが、舞鶴〜小樽航路は、1%の微増にとどまっており、特に乗用車は、敦賀航路が35%増に対し、舞鶴航路は3%減となっている。これは、所要時間の短さに加え、上り下りとも深夜に出航し、翌日の20時台に到着するというダイヤの設定が利用者のニーズに合致していることによるものと考えられる。

B関東〜九州・四国航路では、トラックは順調に増加しているが、乗 用車は、横這いとなっている。

C阪神〜九州航路では、トラックは横這い、乗用車は減少傾向となっ ている。これは、高速道路の整備が進んでいること等が影響しているものと考えられる。

○中距離航路(100〜300q)の動向を、@北海道〜本州(東北)航路、A阪神〜四国 航路に分けてみてみる。

@北海道〜本州(東北)航路では、概ねトラックは低調、乗用車は好 調に推移している。個別の航路で見ると、八戸港を起点とする航路では、トラック、乗用車とも、減少ないし横這い傾向を示しており、関東周辺からの車が大洗、新潟等にシフトしていることがうかがえる。一方、青森港を起点とする航路ではトラック、乗用車とも概ね堅調に推移している。

A阪神〜四国航路では、トラック、乗用車とも減少傾向にあるが、特 に乗用車は6年度に大幅に減少し、その後も低調が続いている。
 これは、5年12月に山陽自動車道が岡山まで全通し、陸路の所要時間が短縮したこと等により、道路利用にシフトしていることによるものと考えられ、本州四国連絡橋の利用台数が増加傾向を示していることからも裏付けられよう。