一般経済の動き 一般経済の動き (平成10年10月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、全体としては低調である。これは、収入が減少していることに加え、消費者の財布のひもが依然として固いからである。住宅建設は、マンションの不振もあって低水準が続いている。設備投資は、大幅に減少している。中小企業の減少が著しいが、製造業を中心に大企業の減少傾向もより明らかになってきた。公共投資は、過去最高のペースで前倒し執行が進み、10年度第1次補正予算の効果も現われてきている。
 輸出は、アジア向けに下げ止まりの兆しがみられるものの、欧米向けの伸びが鈍化しているため、全体としては横ばい状態となっている。
 生産は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。
 雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数の減少テンポは緩やかになってきたが、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
 また、民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を持っており、手元流動性確保に向けての動きを続けている。
 こうした中、経済の先行きに対する金融市場などでの不透明感はやや薄らぎつつあるものの、依然として強い。
 以上のように、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にあるものの、一層の悪化を示す動きと幾分かの改善を示す動きとが入り混じり、変化の胎動も感じられる。
 個人消費は、全体としては低調である。これは、収入が減少していることに加え、 消費者の財布のひもが依然として固いからである。
 実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で9月1.5%減の後、10月は 1.0%減(前月比 0.9%増)となった。
 住宅建設は、マンションの不振もあって低水準が続いている。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で9月 3.2%減(前年同 月比14.0%減)となった後、10月は 1.7%増(前年同月比12.9%減)となった。
設備投資は、大幅に減少している。中小企業の減少が著しいが、製造業を中心に大企業の減少傾向もより明らかになってきた。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で8月 3.5%減(前年同月比25.0%減)の後、9月は 9.2%増(同14.5%減)となり、基調は減少傾向となっている。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、このところ弱い動きとなっており、10月は前月比12.4%減(前年同月比18.8%減)となった。
 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。
 鉱工業生産は、前月比で9月 3.3%増の後、10月(速報)は 1.2%減となった。鉱工業出荷は、前月比で9月 4.1%増の後、10月(速報)は 1.4%減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で9月 1.5%減の後、10月(速報)は 1.0%減となった。


 雇用情勢をみると、依然として厳しい。雇用者数の減少テンポは緩やかになってきたが、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでの最高水準で推移している。
 有効求人倍率(季節調整値)は9月0.49倍の後、10月0.48倍となった。完全失業率(季節調整値)は、9月 4.3%の後、10月 4.3%となった。
 輸出は、アジア向けに下げ止まりの兆しがみられるものの、欧米向けの伸びが鈍化しているため、全体としては、横ばい状態となっている。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で9月 3.3%増の後、10月は 2.4%増(前年同月比 6.4%減)となった。
 輸入は、減少テンポが弱まり、おおむね横ばい状態となっている。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)は、前月比で9月 3.5%増の後、10月は 3.7%減(前年同月比 8.4%減)となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、緩やかに増加している。
9月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が縮小するとともに、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅が縮小し、8,863億円となった。
 消費者物価は、基調として安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で9月 0.2%の下落の後、10月は 0.2%の上昇(前月比 0.7%の上昇)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告」による。〕