一般経済の動き 一般経済の動き (平成10年4月)


 我が国経済の最近の動向をみると、輸出は、アジア向けが減少していることから、このところ頭打ちとなっている。設備投資は、弱含んでいる。個人消費は、消費性向には持ち直しの動きもみられるものの、雇用者所得の低迷もあって、低調に推移している。住宅建設は、おおむね横ばいで推移してきたものの、足元下落するなど依然その水準は低い。このように最終需要が停滞していることを背景に、在庫は高水準にあり、生産は減少傾向にある。雇用情勢をみると、雇用者数が減少し、完全失業率が既往最高の4%台となるなど更に厳しさが増している。また、民間金融機関において貸出態度に慎重さがみられる。 昨年末以来の経済の先行きに対する著しい不透明感には落ち着く兆しもみられるものの、最終需要の停滞が生産や雇用等実体経済全体に及ぼす影響が強まっており、景気は停滞し、一層厳しさを増している。
 個人消費は、消費性向には持ち直しの動きもみられるものの、雇用者所得の低迷も あって、低調に推移している。
 実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で3月 5.7%減の後、4月は 2.1%減(前月比 3.5%減)となった。
 住宅建設は、おおむね横ばいで推移してきたものの、足元下落するなど依然その水 準は低い。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で3月 1.3%減(前年同月比11.9%減)となった後、4月は 5.7%減(前年同月比16.1%減)となった。
設備投資は、弱含んでいる。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で2月は11.3%減(前年同月比17.9%減)の後、3月は 9.5%増(同 1.4%増)となり、全体として弱含みで推移している。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、このところおおむね横ばいで推移してきたが、4月は前月比23.5%減(前年同月比11.3%減)となった。
 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、在庫は高水準にあり、生産・出荷は、減少傾向にある。
 鉱工業生産は、前月比で3月 2.3%減の後、4月(速報)は 1.1%減となった。鉱工業出荷は、前月比で3月 1.4%減の後、4月(速報)は 2.8%減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で3月 0.4%減の後、4月(速報)は 0.5%増となった。


 雇用情勢をみると、雇用者数が減少し、完全失業率が既往最高の4パーセント台となるなど更に厳しさが増している。
 有効求人倍率(季節調整値)は、3月0.58倍の後、4月0.55倍となった。完全失業率(季節調整値)は、3月 3.9%の後、4月 4.1%となった。
 輸出は、アジア向けが減少していることから、このところ頭打ちとなっている。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で3月 4.4%減の後、4月は 4.5%増(前年同月比 1.3%減)となった。
 輸入は、やや弱含んでいる。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で3月 6.1%増の後、4月は 4.1%減(前年同月比 4.0%減) となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、輸入物価の下落もあって、増加傾向にある。
3月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が縮小し、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、 7,475億円となった。
 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で3月 2.2%の上昇の後、4月は 0.4%の上昇(前月比 0.2%の上昇)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告」による。〕