一般経済の動き 一般経済の動き (平成10年6月)


 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は低調である。これは、実質賃金が減少しており、消費者の財布のひもが依然として固いからである。住宅建設も、低水準が続いている。
 設備投資は、動きが鈍い。
 輸出は、アジア向けが減少しているため、欧米向けは好調だが、全体としてはやや減少傾向である。
 このように最終需要が弱いことを背景に、生産は減少傾向にある。在庫は2か月連続で減少しているものの、依然高水準である。
 雇用情勢は更に厳しくなっている。雇用者数が減少し、非自発的な離職者の増加を中心に完全失業率がこれまでにない高さに上昇した。また、民間金融機関は貸出に慎重な態度を変えていない。
 以上のように家計や企業のマインドが慎重になっていることなどから、最終需要が弱くなっている。この影響が、生産・雇用面にも広まっている。要するに、景気は低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状況にある。
 個人消費は、低調である。これは、実質賃金が減少しており、消費者の財布のひも が依然として固いからである。
 実質消費支出(全世帯)をみると、前年同月比で5月 0.6%減の後、6月は 1.0%減(前月比 0.6%増)となった。
 住宅建設は、低水準が続いている。
 新設住宅着工〔総戸数(季節調整値)〕をみると、前月比で5月 1.1%増(前年 同月比17.0%減)となった後、6月は 3.1%減(前年同月比11.7%減)となった。
設備投資は、動きが鈍い。
 機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で5月は 4.0%減(前年同月比28.6%減)の後、6月は 5.6%増(同18.6%減)となり、基調は減少傾向となっている。民間からの建設工事受注額(50社、非住宅)をみると、6月は前月比29.6%増(前年同月比11.3%増)となったが、このところ弱含み傾向となっている。
 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、減少傾向にある。在庫は 2か月連続で減少しているものの、依然高水準である。
 鉱工業生産は、前月比で5月 2.0%減の後、6月(速報)は 1.3%増となった。鉱工業出荷は、前月比で5月 0.1%減の後、6月(速報)は 0.7%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で5月 1.7%減の後、6月(速報)は 0.5%減となった。


 雇用情勢をみると、更に厳しくなっている。雇用者数が減少し、非自発的な離職者の増加を中心に完全失業率がこれまでにない高さに上昇した。
 有効求人倍率(季節調整値)は、5月 4.1%の後、6月 4.3%となった。
 輸出は、アジア向けが減少しているため、欧米向けは好調だが、全体としてはやや減少傾向である。
 通関輸出(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で5月 0.7%減の後、6月は 1.6%減(前年同月比 1.0%減)となった。
 輸入は、減少傾向にある。
 通関輸入(数量ベ−ス、季節調整値)をみると、前月比で5月 7.6%減の後、6月は 9.8%増(前年同月比 2.9%減)となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、増加傾向にある。
5月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大したことに加え、サービス収支の赤字幅は縮小したため、その黒字幅は拡大し、1兆 919億円となった。
 消費者物価は、安定している。
 全国指数(総合)をみると、前年同月比で5月 0.5%の上昇の後、6月は 0.1%の上昇(前月比 0.4%の下落)となった。

〔本文中、前期(月)比は季節調整値による。〕
〔経済企画庁「月例経済報告」による。〕