運輸経済月例報告 今月のトピックス 運輸経済月例報告 平成10年11月のトピックス



  最近の自動車保有の動向  
  営業用普通貨物車保有台数が前年比で初めて減少  
  乗用車保有台数は、小型が減少し、普通と軽が増加  

 景気低迷の影響を受け、新車販売台数が前年を大幅に下回る状況が続き、また、貨物輸送需要が減少傾向にある中で、自動車の保有状況にも変化が現れてきている。
 貨物車保有台数においては、小型車はかねてより減少傾向にあったが、普通車はこれまで増加を続けてきた。しかしながら、自家用普通貨物車については平成10年3月から、営業用普通貨物車についても10年10月から、それぞれ対前年同月比で減少となった。
 乗用車保有台数においては、小型車が減少、これに代わって普通車及び軽自動車が増加しており、保有台数に占める小型車のシェアが縮小してきている。
 自動車の販売台数を見ると、消費税率の改定があった9年4月から対前年比で減少傾向が続いていたが、軽乗用車については、規格改定が実施された10年10月から大幅な増加となった。

 (貨物自動車)
 貨物自動車のうち、普通車の保有台数は、輸送需要の増大や輸送効率化のための車両の大型化により、一貫して増加してきた。しかしながら、10年3月からは自家用が、同10月からは営業用がそれぞれ対前年同月比で減少に転じた。これは、特別積合せトラックの輸送量が、9年秋から減少を続けていることにみられるように、輸送需要の減少傾向に対応して、保有車両の見直しが行われているためと思われる
 新車新規登録台数も減少傾向が続いており、一方、貨物車の抹消手続きのペースには大きな変化がみられないことから、この保有台数の減少は、代替車両補充の見送りによるものと考えられる。(財)自動車検査登録協力会(以下、「自検協」という。)の調査によれば、10年3月末時点で、普通貨物車の平均車齢は6.64年で、前年に比べ0.31年伸び、平均使用年数も10.33年で同0.20年伸びており、長期使用の傾向にある。
 小型車については、営業用・自家用とも保有台数が減少を続けており、新車新規登録台数も減少している。
 軽貨物車も小型車同様に、保有台数、新車販売台数とも減少を続けている。
(乗用車)
 乗用車の保有台数は増加を続けているが、これを車種別にみると、普通車及び軽自動車は増加しているものの小型車は減少しており、保有台数に占める小型車のシェアが縮小してきている。
 乗用車(普通及び小型車)の平均車齢は、自検協の調査によれば、10年3月末時点で5.33年で前年に比べ0.19年伸び、平均使用年数も9.44年で前年に比べ0.16年伸びており、貨物車と同様に長期使用の傾向にある。
 乗用車の新車販売台数は、9年4月の消費税率改定以来減少傾向が続いていたが、10年10月から軽自動車の車両規格が改定(車長、車幅の拡大等)されたことを契機に、軽乗用車については大幅な増加に転じ、10年(暦年)での新車新規登録(軽は販売)台数をみると、普通乗用車は対前年比18.0%減、小型乗用車は同10.2%減に対し、軽乗用車は3.3%増となっている。
 軽自動車のナンバープレートの返納手続き件数の対前年比をみると、10年1〜9月の間の8.7%減が同年10〜12月には1.8%増と増加に転じており、軽乗用車を中心に買い換え需要が発生したことがうかがえる。なお、この間の小型乗用車の抹消手続き件数は、1〜9月が5.1%減、10〜12月が5.2%減と殆ど変化していない。

(特種用途車)
 特種用途車は、保冷車、冷凍車等特殊な貨物輸送の需要増に対応した輸送サービスを提供する必要から、最近、一般貨物車の保有台数が減少する中で、保有台数が増加している。このなかには、貨物車としてではなく、キャンピングカー等のレジャー目的での特種用途車の増加もあるものと思われる。

(RV車販売の動向)
 オートキャンプ等のいわゆるアウトドアブームを反映して、RV車の販売が好調に推移している。販売台数の対前年比を見ると、9年度下半期に減少を記録した他は、概ね増加傾向にあり、9年4月以降大幅な減少を続けている他の車種に比べ、堅調な販売を維持してきたが、10年10月以降は大幅な減少となっている。新車販売台数に占めるRV車の割合も一貫して増加傾向を示していたが、10年10月以降には減少に転じた。

(注)1.ここで用いた、普通車、小型車、特種用途車等の区分は、道路運送車両法に基づくもので、ナンバープレートの車種の分類番号の区分に相当する。
 2.「平均車齢」とは、現在使用されている自動車の新車新規登録時からの経過年数の平均値をいう(人間の平均年齢に相当)。
 3.「平均使用年数」とは、自動車の新車新規登録時から、廃車までの期間の平均年数をいう(人間の平均寿命に相当)。
 4.「RV車」とは、レクレーショナル・ビークルの略で、ステーションワゴン、ワンボックスワゴン、オフロード4WD及びセミキャブワゴンを総称していう。